表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
カオルンセングォ毒ガスパラダイス編
159/178

5-79 カォルンセングォゴキブリホイホイ大作戦!! その6


 モスグリーン色のテント入り口がめくりあがり、青く輝く瞳の女性たちがゆっくりと一人ずつ出てきた。


「あらあらぁそんなに苦しいのですかぁ?」と、片手には1メーター半ぐらいの槍を持ちながらマーメイが遠くにいる相手を見つめている。


 彼女の槍は、六合花槍(ろくごうかそう)という名称の槍だ。


 イェチンは、両手にナイフみたいな刃を持ちつつ、口を開く。


 匕首ひしゅと呼ばれていて、それを両手もちなので「双匕首そうひしゅ」と呼ぶのだ。


「アイヨー、マーメイ小隊長。ゴキブリ大分弱っているよー」


 そして、もう一人、紫色の長髪を馬の尾っぽみたいに縛っている女の子が、苗刀を片手に叫ぶ。


「ゴキブリ、まだ動いているアルネ!! イェチン、油断大敵アルネ!!」


 マーメイは、口元を歪ませて笑っている。


 その冷たい瞳は、一切笑っていない。


 容赦のひとかけらもない、冷笑だ。


「そうですよぉ、相手の抵抗はこれからもっと激しくなるのですからぁ」


 イェチンの頭上二本の髪と、両端に結っている髪が草木のように揺れる。


「アイヨー、了解……」


 更に隣からは、バニーマムとガスマスクをしている小さな女の子、アスペルギルスがテントから外へと出てきた。


 バニーマムは、ブロンドの髪を振り上げると、両手を腰にあてる。


「あら、どんな味かしら? ヘリウムガス地獄は?」


 アスペルギルスは、首を上げてマムへと視線を運んだ。


「マム、申し訳ありませんが、ヘリウムガスは無味無臭です。よって、味などもありません」


「いいのよ、こういうのは、雰囲気が重要でしょ?」


 再び、毒ガスコマンダーに視線を向ける。


「とにかく、パーティー用で売っているヘリウムガスは、酸素がある程度溶け込んでいます。

ですが、彼を追いつめるために、徐々にヘリウムガスの濃度を減らしていたのです。

即ち、窒息状態ですね。意識は朦朧としていて、正しい判断が出来ない状態であるのは間違いないと思います」


 男は、牢獄の傍でずっとうずくまっているが、何とか呼吸を整えて、両腕を突如広げる。


「拙者はぁあああ!! 中国人全員、絶対にぶっころしてやるぅぅぅうううううううううう!!」


 青龍部隊三人全員揃うと、青い眼光を蚤のようにひれ伏している男に視線を突き刺す。


「そうなんですかぁ、私達は中華人民共和国の方々とはぁ、ちょっと違いますがぁ……覚悟してもらいますぅ。

パーティカルロイド起動、気功ユニットオンですぅ!!」


 そして、ルェイジーとイェチンも、同時に叫んだ。


「「パーティカルロイド起動、気功ユニットオン!!」」


 マーメイは、槍の柄を両手で握りしめる。


 ルェイジーとイェチンは、同時にそれぞれの兵器を構えた。


「アイヤ、ゴキブリ覚悟するアルネ!!」


「アイヨー、ルェイジー。ゴキブリはしっかりと処理しないといけないよ!!」


 男は、しわくちゃになっている顔を青龍小隊へと向ける。


 ギョロギョロと動く目、鷺沼は狂気の瞳を青龍部隊に向けているのだ。


 その顔は弱っている者の姿ではなく、最後まで対抗しようとしている眼だった。


 老龍省までのルートの中、生き残ること全てをかけていたらしく、ダクトの中に様々な武器を隠していたのだろう。


 両手には得意の鎌ヌンチャクに、更には腰の左右にはロケット射出式の鎖鎌。


 背中には、小太刀の柄が左右の両肩に見えている。


 相手もフル装備なのだ。


 意識もうろうの中、それを冷静にこなすことは、敵ながらに尊敬するという所だろうか。


「全員、ぶっころしてやるぅぅぅうううううううううう!!」


 叫ぶ鷺沼に、先手を切ったのはルェイジーだ。


 右側の方から相手に近寄る。


「アイヤ、ゴキブリ、檻に入るアルネ!!」


 叫びつつ、ルェイジーは苗刀を構えて、刺突する。


「うひょおおおおお!!」と、右手の鎖鎌でルェイジーの刺突をギリギリかわす。


 イェチンは、ゴキブリの左側から攻め入る。


 ヒシュを、相手の顔面に目掛けて投げる。


 だが、それと同時に、分銅をイェチンに投げる。


 分銅とヒシュが同時に交差し、イェチンの右胸に分銅がめり込んだ。


 ヒシュは、鷺沼の右ほおをかすめて、通り抜けていく。


 イェチンは真下に落下し、右胸をおさえた。


 うまく、ヒシュで分銅を弾いていた。


「きさまらぁああああああ!!!」


 そう叫ぶと同時に、ルェイジーの腹に蹴りをくらわす。


 ルェイジーは苗刀を握ったまま、4メーターほど吹っ飛ぶが、そのまま四肢に力を入れて、後ろへ下がる。


 マーメイは、相手の直前に到達すると、槍先を相手に向けて突く。


 一発、二発、合計数十回、刺突をするが、服部半蔵は全て両手の小太刀で爆速で刃先を弾く。


「はっ!!」と、最後のひと突きをマーメイがしようとしたところ、目の前の服部半蔵の眼前が黒い煙で見えなくなる。


 マーメイが気付いた時には、既に見失っていた。


 辺りを探すため、瞳が隠れている前髪を左右に揺らすが、いないのだ。


 マーメイは、すぐさまルェイジーに指示を出す。


「ルェイジーさぁん!!」


 ルェイジーは、くんくんと鼻を動かし始めた。


 彼女はハッとすると、青龍正体が待機していたモスグリーンのテントに指を差す。


「アイヤ、あっちに毒ガスっぽい匂いがするアルネ!!」


 マーメイは、おっとりとした口調で、微笑んだ。


「ありがとぉぅ、ございますぅ。気功ユニット全開!!」


 マーメイは、チャイナドレスの裾が浮くことも気にせず、大股を一歩だけ踏み込む。


 ハイヒールの踵が、茶色い土にめり込む。


 彼女の鍛え上げられた太ももからお尻にかけて裾が完全に浮き上がると、黒いレースのティーバックがのぞく。


 なりふり構わず、槍を右手でテントに向けて投射した。


 音速クラスの槍は、青い光の筋を描いて、テントを突き抜ける。


 破るというより、テントや置かれてあったテーブルなどがほとんど溶解しているのだ。


 ルェイジーはすでに溶けたテント側の奥へと跳躍していて「アイヤ!」と叫ぶ。


 眼前に人の形をした、ゆがみが見えた瞬間に、ルェイジーは苗刀を縦へ振るう。


 土が、奥へと煙を巻きあがる。


「マーメイ小隊長、こうがくめいさい、アルネ!!」


「あらあらぁ、またぁ、なかなかのものですねぇ……」


 マーメイが、瞳を細めると、転がっている相手へと近づき、青いハイヒールで丸まっているそれを蹴り飛ばした。


 相手はほぼ見えないが、感触で分かる。


 小太刀を交差させて、マーメイの怪力を何とか防御したのだ。


 イェチンは「気功ユニット全開!!」と、大声で叫ぶ。


 マーメイの背に向けて声をあげる。


「マーメイ小隊長、行くよー!!」


 マーメイは、中腰のまま四肢全てに力を入れた。


 イェチンは、マーメイの大きな背中を二歩、駆け上り、何十回も横へ回転しながら宙を駆る。


「ゴキブリは、ほんっとうに大嫌いよ!! 旋风脚涉及一切!!(全てを巻き込む旋風脚)」


 回転速度が最大に達し、一気に足刀が振り下ろされる。


 この時、服部半蔵鷺沼は最大のミスをおかした。


 イェチンの技の場合は、他の者達とは異なり、追加効果があるのだ。


 それは、真空状態に達した蹴り技は、相手が防御しようが、何をしようが、頭から足元まで真空の刃が駆け巡ること。


「うぎゃああああああ!!」


 イェチンは、ゆっくりと立ち上がると、相手側の光学迷彩が完全にはげた。


 ありとあらゆる部分が、黒装束をズタズタに切り裂いたのだ。


 ブロンドの美女は、かすかな笑みをこぼす。


「さすが、華の青龍部隊!! 私達とは異なる戦略ね!!」


「ちょこざいなぁあああああ!!」と、黒装束の男は狙いをガスマスクをしている小柄な女性に顔を向ける。


 マーメイは「しまったですぅ!!」


 叫ぶと同時に鷺沼は小柄な少女の裏に回り、首元に腕を回して小太刀の刃先をガスマスクに突き付ける。


「貴様ぁあああ!! アスペルギルスかぁああああ!!」


 バニーマムは、平然とした顔で、人質になっているアスペルギルスを見つめた。


「あら、今回は手出しするつもりはなかったけれど、こういう場合はイレギュラーよね? バニーセブン?」


 ガスマスクの奥から、もごもごとさせて、アスペルギルスは口を開く。


「そうですね、こういう場合は手出しもありなのではないでしょうか? バニーマム」


 バニーマムは、カバーグローブをしている右手を開く。


「いい? 私たちの可愛い可愛い赤い子ウサギちゃんに手を出すということは、わかっているわよねぇ?」


 彼女の笑顔は、唇が裂け、目が赤く炎みたいに視線が揺らぐ。


「貴様ら、だまれぇええええええ!!! この女がどうなってもいいのかぁあああああ!!」


 だが、彼女たちは無視して言葉を続ける。


「私は、製薬会社に勤めていて、様々なことを学びました。

命は生かすも殺すも人次第。私は、あなたのやり方には納得することはできませんでした」


「おまえはぁああああああ!!!」


 刃が彼女ののど元に近づいた瞬間、マムは自身の巨躯を動かした。


 突如、鷺沼が膝を崩した。


 青龍小隊も何が起こったのか、気付くのに数秒かかった。


 赤いハイヒールを蹴り上げ、マムは見えない速度で鷺沼のすねを蹴っていたのだ。


 単なるローキックなのだが、重みが全く異なる。


 鷺沼の黒装束もパワードスーツのはずなのだが、スピードとパワーが両方同時に備わっている破壊のキックだった。


 鷺沼が姿勢を崩すと同時に、刃をマムへと向ける。


 マムはその小太刀を超対刃グローブで握り、小太刀を受け止めた。


「ほうら、どうしたんだい?」


 鷺沼のパワードスーツもかなり高性能なはずだが、その刃は一切動かすことはできないようだった。


「う、うぎゃああああああ!!!!!! せっしゃはぁああああ!!!!」


 マムは、あらわになっている目を大きく見開く。


 青い瞳が赤く光り、相手を委縮させるには十分だった。


「ほうら、なんとかしてみなよお? 私の握力に勝てる奴は、滅多にはいないからねえ?」


 マムが一言告げると、その刃は刃こぼれどころか、粉々になった。


「うひぃぃぃいいいいいいいい!!!」


 鷺沼は、すぐさま背を向けて、スタジアム場外、観客席の方面へと向かって行った。


 ルェイジーとイェチンは、追いかけようとしたが、マーメイが止めた。


「二人ともぉ、おやめさなさぁい」


 二人は、同時に足を止めて、顔を後ろへ向ける。


「マーメイ小隊長なんでよー?」


「こういう時はぁ、白虎部隊の方々にぃお任せしましょう」


 ルェイジーは、両方の眉を吊り上げて叫ぶ。


「アイヤ、ゴキブリ殺す、アルネ!!」


「殺してはぁ、いけませんよぉ。今回はぁ、生け捕りなのですからぁ」


「そうだった、アルネ!!」


 マーメイの瞳が、薄青くなる。


「すみませぇんマーメイですぅ。ターゲットがぁそちらへ向かいましたぁ」


 マーメイの内耳からヤーイーの声が入る。


「了解、こっちでもう一度手荒く送迎するわ!!」



<キャラクター設定>


毒ガスコマンダー鷺沼(服部半蔵鷺沼)


年齢48才

男性

身長157センチ

髪は真っ白 ガスマスクをしている

肌の色 色白

瞳 茶色

出身 日本(沖縄)

利き腕 両手

戦闘スタイル 忍術、毒ガス

得意技 複数(主に攪乱戦法)

得意武器 鎖鎌、刀

一人称 拙者はぁ!!

誕生日 NAY514年3月3日

体重 60キログラム 


超中国ヘイトな、博士であり、傭兵であり、忍者であり、ドラゴンマフィアとも絡みがある。

格好は、普段はガスマスクをしたまま、白衣を着ているが、

脱ぐと特殊パワードスーツ服部半蔵(細菌や毒ガス兵器対応パワードスーツ)という名前の忍者装束を着ている。

日本と中国は友好的な感じに戻っては来ているが、鷺沼は中国では異常に差別を受けまくっていたので、

中国政府に毒ガスでテロを起こそうとしたところ、バニーガールズの協力を得て、中国政府に捕まってしまい、拘束されていた。

だが、ツィイーの計画により、脱走。

困った中国は九龍城国の、傭兵集団チャイナガールズに解決を依頼。

扱う兵器は、毒ガスをメインに、忍者刀や、鎌ヌンチャク、鎖鎌など。

弱っている人間なども容赦なく殺すので、以上なほど異常。

中国政府の依頼は、殺すのではなく、生け捕りをしてほしいとの事だった。

バニーガールズのフミガータスのことも知っており、至上最悪の存在とも言われている。

武士道を好んでおり、なぜか一人称は「拙者」と言っている。

笑いかたは、「うひひひ!うひ、うひひひひひひ!!」と、気色の悪い笑いかたをする。

ヘリウムガスが一番大嫌い、そして、フミガータスが作成した、「ルェイジーヘリウムガス」により、悶絶し、一時的に気絶。

毒ガスコマンダーの毒ガスはナチスドイツが発見したと言われている「サリン」である。

サリンは、致死性のガスでもあるが、皮膚に入るようにもなっているので、ガスマスクをしただけでは防げない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ