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1-12 銀龍ターレン、ケンカをかう。


 銀龍は、ぶっ飛ぶオカマをみて、にぎりこぶしをふる。


「 マーメイのやつ、やりやがったな!!」


 金龍は、珍しく視線を鋭くさせる。


「銀龍、ちょっと待って……。なによ、あれ」


 遠くの影がむくりと起き上がる。


 金龍の示す方向に、瞳を向ける。


「おいおい、マジかよ」


 綾がレンズを両目に添え、口を開いた。


「あらあらぁ、ようやく一枚剥がれたわよね」


 オカマのメイド服は、ところどころ破けているが、金龍が言っているのはそういうことではない。


 上半身が完全にあらわになっていて、限界まで鍛え上げられた肉体の、みぞおちの部分に緑色の丸い宝玉なようなものが直接埋め込まれているのだ。


「おいおい……ありゃあ、パーティカルロイドコアじゃねーかよ」


「そうよ、今まではパワードスーツにしか搭載できなかったけれど、昨日も言ったとおり、彼女たちが望んで施術を頼んできたの」


 その異様な光景に、金龍も固唾をのむ。


「どうりで硬いわけね」


 銀龍は、指をたてて手で髪をごしごし掻く。


「えっとよぉ、確かバトルドレス一着につき、パーティカルロイドコアいくつ必要だっけ?」


 金龍は、少し眉をしかめさせた。


「ちょっとぉ、それぐらい覚えなさいよ。私たちだって飛龍(フェイロン)を持っているんだから」


「わりぃ、わりぃ、あ、そうだ。10分の1だ。バトルドレスを10着分だ」


 金龍は、隣にいる年端もいかない女の子に口を開く。


「メイヨウ、お茶をくださいな」


「わかりました、金龍様」


 その子は花柄の髪飾りを揺らしながら、茶器セットをジープから取り出す。


「銀龍、そうよ。パーティカルロイドコア1個分で、パワードスーツが動作する」


 女の子は、ようやくテーブルに到着し、急須にお湯を入れお茶をそそぐ。


「完全、超小型な要塞じゃねぇかよ」


 綾は、クスクスと突如笑い始めた。


「ふふ、あなた達とずっと付き合っているのは、本当に楽しいわねぇ」


「綾様、どうぞ」と、綾にもお茶が注がれる。


「ありがと」と、カップに口をつけた。


「いい? 普通の低レベルの傭兵集団だったら、卑怯だ! や、私に直接殺しにかかってくるものだけど、むしろあなた達は、そんなことを一切しない。私は、ビジネスとしてもプライベートとしても、超一流としか付き合わないの」


 金龍は、綾の言いたいことを察しているが、銀龍は眉をしかめながら、首の根っこを掻く。


「んあ? どういうことよ、綾ちゃん」


 ハミルトン綾は、顔を歪まさせ、笑う。


 その笑顔は、銀龍と同等レベルの醜悪な笑顔だ。


「あの子たちはねぇ、ほとんどの傭兵から断られたのよぉ。バニガ、ああ、バニーガールズのマムたちにすらも断られたのよぉ」


 金龍は、綾の言葉を捕捉した。


「つまり、演習をしたくてもできなかった、完全大量破壊兵器部隊だったということね」


「そうよぉ! 持っている剣があったとしても、使わなければ、整備代というコストもかかるし、錆びちゃうじゃない!! 彼女たちも二重の意味で使わないとぉ!!」


 銀龍は、テーブルに肘をつき、顎に手のひらをあてる。


「ったくよぉ、実験台じゃねーんだからさぁ。オレ達はあくまで人間だぜぇ」


 しかし、銀龍も負けじと、顔を前かがみにさせ、綾以上に唇の端を歪ませた。


 彼女の瞳が、灯篭のようにぼんやりと銀色になる。


「良い度胸だ、綾ちゃん。その喧嘩買ったぜ……」




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