4-67 闇の中の夢
-------N.A.Y.562年 8月18日 04時00分---------
レイレイは、額に大汗をかいて眉根を寄せて寝ていた。
真っ黒な闇の中、背筋をピンとさせていて、全身真っ黒いレディーススーツの女性の背中が、目の前にあった。
彼女は振り向くと、青白い顔でレイレイを見下すような、歪んだ顔で笑う。
「あら、私の名前はツィイー。あなたはメイヨウ様の事を真剣に考えているのかしら?」
レイレイは、目の前の黒い女性に視線を合わせて、訴える。
「私は、メイヨウちゃんの為だったら、この命をかけれるわ!!」
その女性は、胸の下で腕を交差させ、冷ややかな顔をさせて笑う。
「ふーん、命ねぇ……」
彼女の右下に、赤い中国服を来ている小さな女の子が、レイレイを見上げていた。
黒く、大きな瞳だ。
「レイレイ様……何で私を助けてくれなかったのですか?」
「そ、そんなことないわ。私はあなたを助けようと必死だった!!」
彼女の、黒い大きな瞳が揺らいでいる。
「本当にでしょうか? もし、本当に助ける気があるのでしたら、私はすでにあなたのおそばにいます……」
レイレイは、その言葉が胸の奥に突き刺さる。
錯覚なのか、痛みのあまり返す言葉も出ない。
強引に彼女に近づこうとすると、突如何者かに彼女が担ぎ上げられた。
担ぎ上げたのは、丸いサングラスに面長の顔。
ダブルジッパーのライダースジャケットを羽織っている男だった。
「おっとぉ、メイヨウ様に触れようなんざ……無礼だぜ……」
青白い顔の女性と、丸いサングラスをしている男性は同時に踵を返し、真っ暗な世界へと消えて行こうとする。
レイレイは、右手を広げ全力で叫んだ。
「待って!! メイヨウちゃんは私たちの家族なの!! 返して!! 返してよ!!」
レイレイは、目頭に涙をためて叫んでいた。
だが、前に進もうとするが、左手首に何かを掴まれていて、進めない。
顔を後ろへ向けると、シャオイェンが左手を掴んで離さなかった。
「レイレイ小隊長、それ以上は進んではなりません。それ以上進むと取り返しのつかないことになります。毒ガスで殺されてしまいますよ!!」
左手首の感覚がなくなった瞬間、目の前に、ガスマスクの顔が浮かんだ。
「しねぇぇえええええええ!!!」と、男性らしき声がすると、レイレイの赤いハイヒールの足元には、
手裏剣が地面に刺さっていた。
そして、ガスが漏れる音がゆっくりと静かに聞こえてくる。
「う、うそよ、私は何が何でもメイヨウちゃんを助けないといけないの!!
私は、まだ立ち止まれないわ!!」
上半身を起こして、レイレイは叫ぶ。
「メイヨウちゃん!!」
レイレイは、ハッとした。
チャイナガールズの事務所にある、黒いソファーの上でレイレイは大汗をかいていた。
息もあがっていて、肩も揺れている。
しばらくすると、左胸下側の肋骨が痛み、右手で反射的にそえる。
「ぐ、夢だったのね?」
そして、傍には銀龍がレイレイの足元で上半身を預けて寝ていた。
「ターレン……」
パーティカルロイド機能もオフ状態になっていたので、いつの間にかタオルケットもかけられていた。
パーティカルロイド粒子を巡らすことで、粒子が全身にいきわたり、身体の体温調節も脳波によりコントロールされるのだ。
夜になると、設定次第では自動的にオフモードになる。
スマートコンタクトレンズで、脳波指令を送れば、再起動も可能なのだ。
だが、レイレイは完全に処置などできずに、そのまま眠ってしまっていたのだ。
膝に何か感触を感じたので、そこへ見下ろすと銀龍の小さな顔がある。
レイレイは、嬉しいような悲しいような、何とも言えない表情で唇の両端をあげた。
「ターレン、私のために……ありがとうございます……それとトイレに行きたいんですけど……」
レイレイは、膝に力を入れようとしたら、銀龍がゆっくりとまつ毛をあげた。
「んあ? う、うおお、レイレイか!」
「あの、た、ターレン。ちょっとトイレへ行きたいんだけど……」
「ああ、悪りぃ悪りぃ」
「それと……タオルケット、ありがとうございます」
暗がりの中、銀龍のチャイナドレスがうっすらと銀色に浮かび上がる。
「ま、おめーさんの事だから、どうせ調節機能の処置をやっていねぇんだろうと思ったぜ……」
「はい、その通りです」と、レイレイは肋骨の辺りに右手を添えたまま、ソファーから立ち上がる。
レイレイは脱衣場奥にあるトイレに向かおうと、出入り口のドアノブに手を触れると、その動きを止めた。
「ターレン……」
「あんだよ?」
「わたし、絶対にメイヨウちゃんを助け出してみます……」
「ああ、期待しているぜぇ? 朱雀部隊隊長……」
レイレイは、銀龍に笑顔で顔を向けると、ドアノブを回し扉を潜ったのだった。
<キャラクター設定①>
黎 麗々(レイ レイレイ)
年齢15才
女性
身長154センチ
髪は黒髪 髪型は、お団子頭左右2つ 布では覆われていない。 右耳に七星剣のイヤリングをしている。
肌の色 色白
瞳 茶色
出身 中国(福建省)
利き腕 両方
クンフースタイル 七星蟷螂拳
必殺技① 无形的速度削减(見えない速度の斬撃)
必殺技② 红色残像的推力(赤き残像の突き手!!)(突き手をいくつも放つ)
得意武器 七星剣
一人称 私
誕生日 NAY547年4月10日
チャイナガールズ入隊時 NAY557年8月1日(11歳ごろ入隊)
部隊 朱雀小隊
BWH 体重 80/53/85 59キログラム
朱雀部隊リーダー。
若年の割にはかなりのしっかりもので、武道を重んじ、相手が強いと思ったら、必ず敬うように教育されている。
チャイナガールの中でもスピードスター。
赤いチャイナドレスを着ていて、丈が長いドレスを好んで着ている。
チャイナドレスの背面には朱雀の刺繍がされていて、朱雀の刺繍が、気功ユニットになっていて、
気功ユニットを使用したときの反射速度や移動速度は、弾丸よりも早く移動すると、大げさながらにも言われている。
チャイナドレスの、両腕の左右は長さが異なっていてアシンメトリーになっている。
髪型はお団子を左右に結っていて、お目目パッチリ。
右耳には小さい七星剣の形をしたイヤリングをしている。
イヤリングは、部隊内で七星剣であらゆる戦果を挙げた者に送られるような勲章。
兵器は、七星剣が得意で、クンフーは七星蟷螂拳をメインに戦う。
七星剣を両手に持ったときの戦闘力は異常で、一般兵がどんなに束になっても、勝てない。
得意のクンフーは、見えない突き攻撃や、見えない刀捌きで、次々と様々な物を切っていく。
足の速さも断トツで、初速最大スピードが、100キロ出せる。
現在は、九龍城国の「紅龍省」に住んでいて、マンション「紅木楼」の301号室で一人暮らしをしている。
シャオイェンとはお友達兼戦友で、相棒。
実家は香港の生花店。
お父さんとお母さんは一般人で、彼女は父と母の為に一生懸命お金を仕送りしている。
<キャラクター設定②>
朱 曉燕(晓燕) (シュ シャオイェン)
年齢16才
女性
身長155センチ
髪は赤 髪型は、短髪。右耳に、梅の花の髪飾りをしている。
肌の色 黄色
瞳 赤
人種 中国(山東省)
利き腕 両方
クンフースタイル 梅花蟷螂拳(連続攻撃を得意とする)
得意技 赤き閃光の突き 最快的速度决策技术(Zuì kuài de sùdù juécè jìshù)
得意武器 梅花双刀
一人称 自分
誕生日 NAY546年3月11日
チャイナガールズ入隊時 NAY558年8月1日(12歳ごろ入隊)
部隊 朱雀小隊
BWH 体重 73/50/74 61キログラム
実直で、まじめな女の子。
だが、ストレートすぎるが故、分析癖は他の部隊員の追随を許さず、
セリフの量も膨大になりがち。
カンフーは、本当に実直、まじめで、まっすぐな技を撃つと、
部隊長である、黎 麗々(レイ レイレイ)からも評価をもらっている。
服装は、中国服に、しちぶだけのパンツをはいている。
とても、さっぱりしていて、ボーイッシュ。
その為なのか、あまり感情を表立って表情を変えることは少なく、
空気読まず膨大な言葉を出てしまうのが、たまにキズ。
だが、それを含めて皆から慕われている。
趣味は、ボーイッシュとはかけ離れている、女の子らしいピアス集め。
現在は、九龍城国の「紅龍省」に住んでいる。
マンション「紅木楼」の101号室に住んでいる。
・マンション紅木楼について。
九龍城国内にある「紅龍省」の川沿いあるマンション。
付近には大きな公園があり、住民たちも健康の為にクンフーを行っている。
このマンションは、チャイナガールズがいくつか購入しているマンションで、
税金対策のいっかんなのだが、単なる空き室があっても損なので、
チャイナガールズの寮として、格安待遇で借りられるマンション。
以前は、レイレイやシャオイェンの師匠が借りていたらしいのだが、
現在は二人が借りている。
劇中でも説明しているように、レイレイは301号室
シャオイェンは101号室に住んでいる。
近いので、二人ともよく会いに行ったりしている。