表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
カオルンセングォ毒ガスパラダイス編
144/178

4-64 赤いウサギたちの来訪 その3

 

 オレはバニーマムの、その説明をずっと聞いていた。


 そして、口をあんぐりさせてしまった。


「マジかよぉ、そんなのでいいのかよぉ?」


「知ってる? 今までも名作戦は色々あったけど、変態には変態なりの弱点があるのよ」


「でもよぉ、本当にそれって効果あるのかぁ?」


 オレの目の前で、バニーマムは自慢げにブロンドの髪を振るう。


 マイナスイオンがふんだんに含まれた、女の香りがふわりと広がる。


 男だったらたまんねーだろうけどな……。


「だから、彼女を連れてきたわ!」


 ガスマスクをしている、オレよりも背の低い小柄な女の子だ。


 髪はくせ毛のある茶色のショートで、ミリタリーコート。


 しかも赤いバニーガールの格好をしている。


 オレは、それを見つつ思う。


 うちらもキャラ濃いが、テメェらもキャラ濃すぎだぜぇ……。


 女の子はガスマスクをしたまま、もごもごと何かを話しているっぽい。


「左隣のテメェさん、聞こえねぇぜぇ。外せねぇの? そのマスクよぉ?」


「だめよ、シャイさんなの?」


「う、うちも、シャイな子はいるけどよぉ、さすがにそりゃねーぜ……」


 目の前にウィンドウが開く。


 どうやら、音声のみの通信だ。


「初めまして、音声通信で失礼ですがお願いします。

私の名前は、アスペルギルス・フミガータスと申します。私は以前、細菌兵器などを作成する会社に勤めていました。

毒ガスコマンダー鷺沼は、元忍者であり、服部半蔵と同じ流派の秘伝技術を持っており、かつガス研究者の博士でした。

彼とは部署はことなるものの、そこで私も彼も勤めていたのです。

彼のやり方は昔から私は嫌いでした。

ですが、彼は元から服部半蔵のニンジャ修行をしながら博士をしていたのです」


 オレは、頭の中がこんがらがった。


「忍者? 博士? ったくよぉ、頭の中の整理が追い付かねぇ。メチャクチャだぜぇ……」


「それと傭兵です。そして、服部半蔵鷺沼は研究所からのあらゆるデータを持ち出し、逃亡。

1年後、彼は傭兵部隊を作り上げます。

その傭兵部隊の名称はニンジャコマンドーです」


「ああ、解体されたチームだったよなぁ。前はユグドシアル大陸でも合法チームだったが、壊滅したという噂は聞いたことあるぜぇ?」


「ええ、確かに解体されました。というより……」


 バニーマムが、オレのために補足する。


 ヤツは、右手で拳をつくり笑ってやがる。


「私たちがぶっ潰したわ!!」


「なぁるほどぉ、そういうことけぇ……」


「ですが、毒ガスコマンダー鷺沼はあらかじめ仲間に仕組んでおいたパワードスーツを、自動システム化し私たちを食い止め、逃亡しました。

それが、第一次接触の時でしたよね? バニーマム……」


「そうね、あの時は本当にやられたわ。うちの子ウサギちゃんたちのうち、一名やられたのよね……。

まあアスペルギルスちゃんのおかげで何とか一命とりとめたけど……」


「マジか、金はいくらででも出す。うちのホンホンも何とかしてくれないか? 都合が良いのは分かっている。

だが、お前さんたちの力を借りざる負えねぇ……」


「もちろん、ただとは言いませんが、彼をよく知っている私だからこそ、協力できます。それと、まだ話は途中なのですが……」


 オレは右頬に手をかけ、肘をテーブルの上に置いた。


「ああ、わりぃわりぃ。話しを遮っちまったな、続き頼むぜぇ」


「了解です。あの分身の術を、彼は必殺技忍法毒ガス分身の術!! と、叫んでいました」


「……相っ変わらずよぉ、イラつくネーミングセンスだな」


「そして、その分身の術とは、相手が死んだと同時に、オートメーション。

つまり、パーティカルロイド技術による自動筋肉補助制御により、ハックし、操るというのが種明かしです」


「まあ、その恐怖もよくわかっているぜ、オレ達も体験している。……どうあがいてもぶっ殺されるわけだ」


「毒ガスは暗殺術との相性抜群ですからね。無味無臭、音でしか毒ガスが流れているかどうかわかりませんからね?」


「トチ狂っているオレ達が言うのもあれなんだが、とんでもねぇなぁ」


「彼と、裏九龍城国との相性は抜群すぎます。闇に隠れて、奇襲、ブラフ、あらゆる作戦が組みやすく、やるとするなれば、彼をまず外側へと追い詰めましょう……」


「けどよぉ、どうするよぉ、住民に危険が及ぶのは勘弁だぜぇ。

とりあえずチャイナガールズ警報は出したけどよぉ、どこまで住人が逃げれるか……。出してから、どんぐらいだっけ? 金龍?」


「出してから、まだ1時間も経っていないし、更にこの国の人々の練度も低いと思われるわ……」


「それには及びません。そういう広場を利用し、その場所を逆に一気に作ってしまいましょう」


 オレは、眉根を寄せた。


 なぜならば、九龍城国はかなりの密集地帯が多く、そんな広場は公園ぐらいしか思いつかないからだ。


 だが、その考えをくみ取って、金龍が提案してくれた。


「銀龍、そういうのだったら、現在サッカー競技場作ってるの知ってる?」


「んあ? そんなのやってんの? 知らねぇ……。サッカーって、何だ?」


「スポーツよ?」


 オレの目の前でアスペルギルスちゃんがもごもごしていて、耳にその声が入る。


「なるほど、そこは使えそうですね? 場所は広ければ広いほどいいです」


 オレは、キセルをひっくり返し、灰皿に入れた。


 メイヨウが、しっかりと掃除しているから、灰皿には一切灰がたまっていなかった。


「でもよぉ、どうやって捕らえるよぉ?」


「そのまま牢獄を作ってしまえばいいのです。パーティカルロイド技術は、あらゆる兵器やバリアにより、大体の衝撃には耐えられます。それを利用するのです」


 オレは、気づいた。


「ま、まさか……」


「そうです、パーティカルロイド技術で、ずっとバリアを発生させ続けてしまい、閉じ込めてしまえば、そのまま中国政府に運搬してもらえばいいのです」


「す、スゲぇ、フミガータスちゃん、天才だなぁ!!」


「ま、うちのアイデアマンだけあるのよねー」


「ただし、必要なパーティカルロイドコアは、かなりの数が必要になるかと思います」


「わかった、うちで出してやらぁ!! 綾ちゃんの依頼、パーティカルロイドコアに変更しておいて良かったぜぇ」


「金龍、大丈夫だよな!!」


「そうね、今私たちが持っているパーティカルロイドは、私達だけでも百万個以上あるしね」


 バニーマムは、笑った。


 そのほほ笑みは、生易しいそうに見えて、非常に鋭くエッヂがきいている笑いだったぜぇ。


「あら、なかなか儲けているわね、シルバードラゴン?」


「テメェらほどじゃねぇよ、赤バニさんよぉ」


「じゃ、とりあえずは」


「そうだなぁ」


 オレと赤バニは同時に立ち上がり、静かに握手をした。


「共同結託は承諾ということですね。まずは、そのホンホンという女の子の症状を見させてください……。

それと、ちょっとした研究所みたいなところはありますか? 対毒ガスコマンダー用のガスとワクチンを作成したいもので……」


 オレは赤バニと手を離すと、再び椅子に腰を下ろした。


「そうか、わかった。うちでも取引している研究所があったよな? 金龍?」


「ええ、老龍省の方にあるわ。そこでは私たちでも知らない技術も行われていて、あれはあれで独立しているわ。

まあ、私たちとは共同関係にあるんだけどね?」


「ある意味、オレたちも敵に回したくないところだぜぇ。何されるかわからないことが多い。

けどよぉ、あそこの研究所を取りまとめている爺がまたスケベなんだよなぁ」


「そうね、あの筋肉のかたまりのエロ爺さんよねぇ?」


「おうよ、この間なんてよぉ、ケツ触られたぜぇ。点穴をせめてやったけどな!!」


「でも、銀龍の点穴を攻められても、平気な顔していたわよね?」


「ったくよぉ、参ったぜぇ。あんのエロ爺……。体格通りの防御力が高すぎだ。

しかもよぉ、最近は裏九龍城国にも手を出しているらしいけどな……」


 バニーマムも座り終えると、瞼を少し落とし気味に笑う。


「じゃ、早速だけど、まずは裏九龍城国と、表側の九龍城国の今までの国内すべてのGPS(地図)データを頂戴?」


「それと、あなた達は省として区画を分けていますが、共通の作戦事項のために全てアルファベットと数字で区画指示を行うようにします。

目的は、毒ガスコマンダーの捕獲ということでいいですよね?」


「それとよぉ、ドラゴンテロリストの排除も入れてくれ。レイレイの情報によると、恐らくだがあのツィイーという黒龍会の会長のやつはメイヨウの為だったら全部捨ててやるという感じだぜぇ。

あの手の女はよぉ、誰よりも執念を感じるぜぇ……」


「分かりました、我々も全面協力とまではいきませんが、ある程度の備えはさせてもらいます。

バニーマム、それで異論はないですよね?」


「もちろん、やつをぶちのめすには、ちょうどよいわ!!」


「では、今作戦の作戦名はどうしましょうか? バニーマム?」


「そうね……。カォルンセングォ、ゴキブリホイホイ大作戦でどうかしら?」


 オレは、キセルをくわえたままにやけちまったぜぇ……。


「なぁるほど……そりゃあいいぜぇ……」


 バニーマムの作戦名は、いくつか知っているが、どれもバカにしている感じの作戦名にしている。


 けどよぉ、中身の本質はオレたち以上に綿密に立案するのが、勉強になる時もある。


 バニーマムはオレの目の前で、胸元に右手拳を作り立ち上がった。


「じゃ、決まりね!! ゴキブリをホイホイするわよ!!」



・各省ごとの特徴。


九龍城国内では、各省ごとに様々な特徴が出ている。それを以下に記す。




老龍省……住民は老人が多く、最もお金回りが少ないところでもある。

病院の内科が多い。

その為、最近では龍王がサッカー競技場を作って、経済を回そうという流れがある。

それと、病院も結構多い。



碧龍省……緑が多く、人工的に作られた自然が多い地域。

山というほどではないが、公園や、自然なところを作り上げているので、

普通に鳥が住んでいる。

よって、住民はその公園を管理する人や、自然を利用したいと思っている人が住んでいるので、

人口の比率は少ない。



紅龍省……パーティカルロイド粒子などの熱工学などを利用している地域。

見た目は普通の住宅街なのだが、ここの地域はパーティカルロイド粒子を利用して、

ガスのようなシステムを作っているところ。



黄龍省……電気街、日本で言うなればアキハバラみたいなところ。

電脳九龍城というゲームセンターがある。

その為、銀龍が好きそうなBL本や、ファリンが好きそうな本なども売っている。

パーティカルロイド粒子の仕様頻度も黄龍省がダントツだ。



青龍省……各地域の中でもかなり蒸留水の使用率が高い。それは、つまり飲食店などが非常に激戦区であり、一般家庭の人々もかなり多いという意味でもある。

かなり栄えていて、非常に夜でも人が遊んでいたり、ぶらついていたりする。



黒龍省……口コミなど、非常に住民たちのコミュニティがとても濃い省。

情報は財産であり、文化であると人々は思っていて、ネットよりも口コミの方が信頼性がある。

防犯カメラの設置数もダントツに多いが、住民の人々は情報によって守られていると思っている。



牙龍省……老龍省は内科が多く、牙龍省は外科が多い。

自動AIシステムによる救急車があって、ここでは緊急の用事はほとんどないので、ほぼ救急車などない。



白龍省……九龍城塞の頃の状態の、文化的なものが多い省。

その為、文化遺産が多いので、お城のような形のアパートや、

お寺が多い。最も中華人民共和国の名残がある地域。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ