4-61 チャイナガールズ混成部隊VSドラゴンテロリスト!! その10
――10分後。
メイヨウを縛っていた縄を拾い、それで玉座にチーミンを括り付けた。
チーミンは、顔の原型がほとんど分からないぐらいに、膨れ上がっていた。
「て、てめぇら……おぼぉえてぇおけぇよぉ」
ユーは、腕組をさせていて、拳をつくって今にも殴りそうだ。
「ふーん、おねーさんまだまだやっちゃおうかな?」
「ひぃいいい!!」
「そんな叫び声なんて、どうでも良い情報だわ……。ここに妨害する通信機器を設置しているわよね?」
「ま、まずは妨害電波は、入り口の真上にある!!」
シャオイェンは、入り口の上側を見つめる。
拡大すると、レンガが微妙に浮いているところを発見した。
「レイレイ小隊長、あれを見てください」
シャオイェンの同じ方向に視線を向けると、わずか数ミリ不自然に浮いているのが分かった。
「シャオイェン、あそこら辺を得意の蹴りでぶっ壊してきて?」
言われた瞬間に、シャオイェンはそこまで駆け寄ると、3メーターほど跳躍し回し蹴りをさせる。
レンガで敷き詰められたブロックが完全に破壊され、崩れ、ブロックが粉々に落下した。
スマートコンタクトレンズの通信状態が回復し、様々な情報が復旧した。
ユーは、上目遣いでチーミンを睨む。
「メイヨウ様がどこにいるのかは、お、俺にも分からねーんだ!! ただ、これからやることは、し、喋る!!」
ユーは、瞳を細くさせて、相手をなめまわすように見つめる。
「ふーん、嘘はつかない? ついた瞬間にどうなるか、分かってるわよね? それと、メイヨウ様ってどういうこと?」
「こんな状態じゃ、う、嘘はつけねぇ!! メイヨウ様はこの九龍城国の元王族だ!!」
チーミンが、重大な事をあっけなく言うものだから、レイレイとシャオイェンは聞き返す。
「は? メイヨウちゃんが王族? 何言ってるの?」
シャオイェンの瞳が青くなった。
すぐさま九龍城国の歴史アーカイブにアクセスする。
「どこにもそんなこと書いていませんよね……」
「お前たちは、この国の真実を知らなさすぎる!! この国はやべぇ!! そして、俺はメイヨウ様を王族として迎え入れるべきだと思った!! あの方の価値は、他の子どもたちの比ではないんだ!!」
レイレイは、チーミンはこういう男ではあるが、嘘を言っているようには思えなかった。
信用できる理由はないが、信用できる。
レイレイなりの直感が信じろと言っているような感じだった。
「メイヨウ様はな……銀龍や金龍……ましてや龍王みたいに恵まれていなかったんだ!! 俺はあの人の為だったら何でもやってやる!!」
「え……? チーミン……どういうことなの?」
「俺はあの人に仕える、それだけの為にドラゴンテロリストに入った!! もう、他の事はどうでもよかった!! 全てはメイヨウ様の為に!!」
「ねぇ、それ、一体どういうこと? ドラゴンテロリストってただ単に、会に入って壊滅させるだけの団体じゃなかったの?」
「ちげぇ、そんなじゃねぇ!! この裏九龍城国が出来た理由に繋がっている!! だが、俺はこれ以上言えない!! 仮にもお前たちが俺をどんなに保護しようとも、ドラゴンテロリストが俺を必ず殺しに来る!!」
ユーは、瞳を細めると、しゃがみ込んでチーミンを下から覗く。
「ふーん、まあ、いいわ。それで、今後はどういう作戦になるの?」
「まず、ドラゴンマフィアはこれから、大規模テロを起こし、国内全部の住民を追い出す……」
レイレイとシャオイェンは、お互いに目を大きく開き、顔を合わせた。
レイレイは、とある一言を叫ぶ。
「ま、まさか、チャイナガールズ警報!!」
「そうだ、それを起こすことで、住民たちは必ず九龍城国外に避難することとなる。
それから、最少人数であるチャイナガールズと、中国国防部のみが残ることで……」
シャオイェンは、眉根を寄せた。
「もう、嫌な予感しかしないですね。私達のみだとしたら、狙われる人はただ一人……」
ユーは、真剣なまなざしで、シャオイェンを見上げる。
「……龍王を暗殺し、メイヨウちゃんを新しい龍王にさせるわけね……。こうしちゃいられないわ!!」
レイレイとシャオイェンに、緊急通信でチャイナガールズ警報の連絡が入る。
「まさに、扇動されている作戦ね!! ターレンに連絡しないと!!」
「どのみち、毒ガス排除をさせるにしても、住民の方々には避難してもらうしかありませんね……」
「龍王よりも、メイヨウ様の方が相応しい!! それをお前たちはこれから苦渋を飲まされつつ味わうんだ!!」
レイレイとシャオイェンは同時に頷いた。
そして、ユーを見下ろしたまま、レイレイは話す。
「ユーターチェ、そのクソ野郎が逃げないように見張っておいてください。私たちは、毒ガスコマンダーを必ず追い出し、そして……」
シャオイェンは、眉毛を撫でる。
「龍王様を守りましょう!!」
チャイナガールズの警報の画面が出た後、レイレイに通信が入る。
銀龍の声だ。
「あーあ、初めて出さざるを得なくなっちまった……」
「ターレン、誰がこのことを知らせたの?」
「っつーかよぉ、オープンチャンネルで今知ったから、チャイナガールズ警報、今出したわ。
毒ガス国中に仕掛けられているんだったら、何が何でも探さねぇといけねぇ。
ヨウさんとも連絡が繋がらねぇし……。
だが、一つだけ分かったことがある。ヨウのヤツ……黒龍会会長を探していたみたいだ……」
「は? なんで?」
「だったら、オレ達の言葉をガン無視して、行動していた理由が全部納得いくんだぜ?」
「そうね、確かに腑に落ちるわね」
「それと、レイレイ、ケガは大丈夫か?」
「肋骨やられたわ」
「へぇ、珍しい……。相手も相当手練れだったみてぇだな?」
「う、うん……」と、レイレイは左胸下に手をあてる。
「五行拳しか使わなかったけど……強かったわ」
「まあ、今度手合わせしてみてぇやつだぜ……。傍に、ユーさんがいるだおろぉ?」
「彼女にそこは任せておけ。オレ達は、一度作戦を練り直すために、地下から地上で合流。
チャイナガールズの事務所で全員一同、集まりやがれ!!」
「了解、ターレン!!」
レイレイは、ユーを見下ろした。
「ユーターチェ、ここは任せていいですか?」
「もちろん、おねーさんにお任せあれ!! あなた達、気をつけなさいね!! あの黒龍会会長、とんでもない奴だから……」
「了解です、ユーターチェ!!」
レイレイとシャオイェンは、崩れ落ちた出入り口に駆けて行った。
<キャラクター設定>
钱 狱
五爪龍会の副会長。
20代前半の女性で、髪は青色でボブぐらいの長さ。
美味しいご飯を作るのがとても得意。
齐 一铭
黒龍会所属。
色は薄緑色の中国服を着ている。
シィウェンの手下。
死んだ魚の瞳のようにやる気のない表情が多い。
男性、31歳。
金髪の髪をオールバックにしていて、金色のネックレスをしている。
入会したばかりなので、クンフーもそんなに強くないのと、
ヌンチャクを振り回すが、自信で扱えない。
ヌンチャク片手に、スタンガンという、よくわからない戦闘スタンスになっている。
スタンガンを所持している。
非常に、頭が悪く、ゲスイ手口を使う。
そこら辺のありとあらゆるものを、武器に使用したりするので、侮れない所もある。
レイレイ達の初戦では、惨敗に終わったが、再戦の時には結構追いつめたり、
戦法を変更することで、結構な勝負にまで持っていくことができるようになった。
それと、狡猾な性格なので、仕掛けものに関しては、かなりのやり手であり、
相手の怒りを誘ってこっちに有利になるように仕向けることが大得意。
が、所詮は雑魚なので、結局レイレイ達にあっという間にやられる。
そして、実はドラゴンテロリスト。
チャンツィイーの手下。