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1-11 第一部隊VS空(オカマ)www

 

 そして、舞台は変わり、森林奥を過ぎた、市街地へと変更になる。


 市街地と言っても、簡素なベニヤ板で囲われたようなしょぼいものではなく、


 完全にコンクリートで固められた、現代戦向きの仕様のバトルフィールドとなっている。


 いくつも増築や改築、壊されては建て直されている部分もあり、年齢よりも幼いリームォは色々な所を眺めていた。


 彼女の中では、ここも九龍城国に来たような気分になっている。


 室内は、とっても暗く、電気も通っていないような場所で、荒廃したオフィスビルをそのまま買い取ったかのような感じがした。


 リームォは隣にいる女性に高く顔を上げる。


「おねーたま」


 姉のマーメイだ。


 マーメイはチャイナガールズたちでも一番背も高いが、年齢も高い。


 左目は、ほぼ青い前髪で隠れているが、ファッション的な意味でそういう髪型にしているらしい。


 青く彩られたチャイナドレスの丈も膝上で、背中には青龍の刺繍が縫われている。


 マーメイは顔を落とす。


「なぁに、リームォ?」


「ここ、きゅうりゅうじょうこく、みたい、、、、」


「そうね。早く帰りたいの?」


「リームォ、ここでがんばりゅ、、、、」


 母子のように、手を繋いでいる姉妹の後ろから、両手を頭の後ろにしたまま、ついてくる白い影がある。


 白虎部隊の、ホンホンだ。


 彼女の髪型は、かなり独特で、左右二つに分けた三つ編みを後頭部にまとめている。


 毎日の髪のセットは大変だが、ホンホンは気にしない。


 なぜならば、彼女のポリシーだからだ。


「まったく、仲の良いことねー」


 市街地を選んだのは、ホンホンの案であった。


 とにかく、相手と対峙するには広い場所は避けて通りたい。


 ホンホンは小柄なので、非常に有利になるはずだと見込んで、マーメイたちを説得したのだ。


 その為、このよくわからない空間の歪んだ市街地へと足を運んだのだ。


 マーメイはともかく、リームォも小っちゃいので、相手のスキを突けるし、朱雀部隊である彼女の素早さもなかなかのものだからだ。


 マーメイは、スリットの入った青色の短い裾を、払う。


「なかなか汚れるわねぇ。ホンホンちゃんは、平気なの?」


 ホンホンは真顔で答える。


「平気よ、マーメイは苦手?」


「わたしはぁ、結構苦手よぉ」


 ホンホンは、意外というか、不思議に思った。


 マーメイは、青龍部隊の中でもかなりの攻撃力を持っていて、この間の戦線では、装甲車がいとも簡単にひっくり返っていたからだ。


 そんなのと比較すると、汚れる方なんて任務の為だったら、簡単だからだ。


 リームォは、ホンホンを見さげる。


 ホンホンの方が年上なのに、リームォの方が少し背が高い。


 ホンホンは、それが一番納得していなかった。だが、リームォの頭脳は幼稚園児並なのだ。


 勉強やクンフー修行から逃げる為だったら、どこへでも逃げるのだ。


 その為、しっかりとした教育を受けていない。


「ほんほん、あたちの方が背がたきゃい、、、、」


「うっさいわねぇ!!」


 その時だった。


 マーメイは、長身を屈まさせ、窓ガラスが揺れている。


 異変に気づいたのだ。


「二人ともぉ、静かにしてくださぁい。おかしいですぅ」


 地震かと思ったが、空からミサイルを投下してくるような音がしている。


 窓ガラスの揺れがだんだんと強くなってきた。


 コンクリートと室内の天井を、粉々に砕きながら、屋根から屈強なオカマが空から降ってきたのだ。


 オカマは、両足で着地し、床下のコンクリートにヒビが入る。


 ここは、屋上よりも一階下の9階だ。


 着地時の風圧で、マーメイの横の窓ガラスが全て割れた。


 ホンホンは、どぎまぎしながら叫ぶ。


「うああぁ、オカマが空から降ってきた!!!」


 三人が歩いていた天井屋根の、ありとあらゆる破片が落ちている。


 降着した姿勢から、青いメイド服のオカマが、立ち上がった。


「あらぁ、コンニチハぁ」


 リームォは、相手に指を指す。


「あ、ばけものぉ」


 マーメイは、二人に叫ぶ。


「行くわよぉ、リームォ、ホンホン!!」


 全員の声が揃う。


「「「パーティカルロイドシステム起動!! 気功ユニットオン」」」


 ホンホンは、両手を虎みたいに拳を作り、構える。


 ホンホン式白虎拳だ。


 そして、リームォは小さいのに、更にかがみ、両手をカマキリに構える。


 リームォは、レイレイとは異なる、派生の六合蟷螂拳だ。


 マーメイは、ゆっくりと右手を出し、左手を胸元へと持ってくる。


 そして、気功ユニットにもっと気を流した。


 彼女のクンフーは、八極拳だ。


 それぞれの構えを、オカマは待ってくれている。


 そして、マーメイもそれを理解して、口を動かした。


「なるほどぉ、わざわざ待ってくれたんですねぇ」


 オカマは、巨大な赤い唇を動かす。


 誇張してしまうと、マーメイの顔がそのまま入りそうだ。


「そうよぉ、あなたはとっても美人ねぇ。それに、隣の妹さんも可愛らしいじゃない、、、、」


 マーメイは、ほんわかしている雰囲気を出しているが、


 笑顔で、殺気たっぷりに、オカマに返す。


「あらぁ、リームォに手ぇだしたらぁ、どうなるか分かっていらっしゃるんですかぁ?」


 その瞬間だ。


 ホンホンが切り出す。


「ホンホン式、白虎拳!」


 ホンホンが、相手に向けて突進していく。だが、相手があっという間にいなくなり、拳は空を切る。


 そして、今度はマーメイとリームォの真後ろに、オカマが天井を破壊し着地。


 マーメイは裏を取られ、「しまった」と振り向きざまに、リームォがマーメイに突撃してきた。


 マーメイの体躯でも吹っ飛ぶぐらいの勢いだったので、そのまま前方に吹っ飛びつつ、マーメイは身体を前方に一回転。


 ハイヒールで勢いを止め、視線をオカマへ。


 オカマの蹴りをかわすと同時に、リームォが全力でマーメイごと突撃してきたのだ。


 オカマは、にたりと笑う。


「良いカンしてるわねぇ、その子ぉ、、、、、」


 ホンホンは、マーメイのそばへ。


 全員、構えなおし、体勢を立て直す。


「リームォありがと」と、あることに気づきオカマの左側面を見た。


 オフィスの壁がほとんど砕け散り、窓ガラスどころか、壁が消し飛んでいるのだ。


 マーメイもパワーファイターだが、相手も超絶的パワーファイターだ。


 オカマは、両手の拳を握り、関節を鳴らす。


 ゴキリゴキリと、不気味に響く。


 たった一発の蹴りで、バズーカを撃ったような破壊力だ。


 しかも、いつでもその破壊力を出せるように、最小の行動で最大の破壊力を出すことが可能なのは間違いない。


 つまり、初動が速いということ。


 マーメイはホンホンとリームォに合図を出す。


 ここは、連携でくぐり抜けるしかない。


「行くわぁ、みんな!」


 ホンホンは、跳躍し、相手の顔面に拳を繰り出す。


 が、余裕でかわす。


 リームォは、相手の金的めがけて拳を突き出す。


 クリーンヒットした。


 が、相手はにやけていた。


「あらぁ、お嬢ちゃん、そんな下品な攻撃ぃ、どこで覚えたのかしらん」


 リームォは、相手の急所めがけて戦おうとしている。


「リームォ、危ないわよ!!」


 その瞬間、リームォは相手の股下を抜け、相手の後方へ避難。


「皆さぁん、ありがとぉ」


 マーメイが、黒髪のオカマに急接近した。


「わたしのぉ、八極拳はぁ、威力は大きいのですよ!」


 マーメイの急激な接近に、さすがのオカマの顔が少しだけ歪む。


 気功ユニット、全開!! と、マーメイが叫ぶ。


 マーメイの青いチャイナドレスのスリットから太ももから腰の辺りまで肌色がのぞく。


 青い前髪で隠れていた 舞い上がり、左目が顕わになる。


 そして、相手に最大限の一歩を踏み出した。


 足元のハイヒールは、床に突き刺さり、コンクリートの地面が、マーメイを中心に5メータほど陥没する。

 

 ハイヒールに突き刺さった、コンクリートの破片が、ふわりと浮き上がる。


 そして、オカマのみぞおちに目掛け、最大の気功を肩に注入する。


「覚悟しなさいぃ!! 摧毁一切貼山靠(あらゆるものを破壊するてつざんこう)!!!!!」


 驚異的な威力とスピードのあまり、オカマのバトルドレスのバリアが自動的に発生する。

 

 覆っていた、青い六角形の模様が次々と飛散し、砕け、オカマの皮膚が波打つ。


 地震を目の前で感じるような、そんな皮膚の揺れ方だ。


 そして、ついに要塞が吹っ飛んだ。


 その勢いは物質的な意味を持たさず、あらゆるコンクリート、壁、鉄骨、全てを突き抜け、オカマはついに9階の建物から投げ出された。


 ホンホンとリームォは巻き込まれる予感がしていたので、あらかじめマーメイの後ろに避難していた。


 あらゆる壁が全てえぐられてしまって、遠くの方の地平線が見えている。


 外は青空だ。


 ホンホンは思わず、オカマの壁を突き抜けていった大穴を見ながら、「すげー」と口をもらしてしまった。


 だが、マーメイは息を荒くし膝を軽く落とした。


「さすがにぃ、疲れましたぁ」


 と、リームォは気遣ってか、姉の背中を撫でる。


「おねーたま、、、しゅごい、、、、、」



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