4-58 チャイナガールズ混成部隊VSドラゴンテロリスト!! その7
シャオイェンは、相手の動きがないことに、不気味さを感じつつも、じっと観察していた。
銀龍ターレンからはよく言われていた言葉がある。
持久戦になったら、相手を必ずじっくりと観察すること。
相手が何を狙っているのか?
どういう戦法を用いているのか?
だが、油断はするな、警戒は怠るんじゃねぇ……。
――全て、銀龍の教えだ。
シャオイェンは、あまり感情を出さないあまり、両親からもよく心配されていた。
ふと、そんなことが頭の中をよぎる。
全身がんじがらめになっているような気分だった。
梅花双刀をレイレイに渡したことに後悔などしていない。
最後を信じるのは、己のクンフーのみだ。
下丹田に気を込め、腰を軽く落とす。
先ほどチーミンがテーブルの上に立っていたが、あれはブラフだ。
テーブルの上に立つことで、相手に安心感を与えて、そのままテーブルに向かおうものならば、身体は無事では済まない。
それと、このテーブル真下にもそのカーテンが仕組まれているのは間違いない。
潜ろうものならば、指があっという間に切断されるのは間違いない。
相手は想像以上に厄介だ。
この大理石のテーブルが完全に、籠城、小さな要塞と化している。
初めは、ザコと侮っていた自分に戒めたいところだが、現在のピンチを打開することが最優先だ。
全てオープンチャンネルにしているが、銀龍からの連絡もまだない。
ここの場所自体がすでに通信ができない状態にさせている可能性が強い。
テーブル下はかなり暗く、チーミンの動きが分からない。
シャオイェンの後ろでは、大きな音が鳴っていて、恐らく激しい戦闘を行っているようだが、状況を見るような余裕はない。
こちらがアクションを起こせば、必ず仕掛けてくるからだ。
そして、シャオイェンのテーブルの立ち位置は、かなりの安全場所であるということも理解した。
もし、自分自身がチーミンだったら、自分も必ず安全の場所を確保しなければいけない。
そうしないと、逃げられないからだ。
チーミンはそういうヤツだ。
――正攻法では戦わない。
必ず逃げ道を作っているはずだ。
そこが、勝敗のカギを握る。
真っ暗なテーブルの下から、シャオイェンに二本の針が突如射出される。
シャオイェンは、右側へ転がった。
先ほど、カーテンを切っておいて正解だった。
ちょうどテーブルの真ん中の辺りで、電気を帯びたワイヤーが再びテーブルの下へとするすると巻き戻る。
恐らく、この長い大理石のテーブルの下にいくつかテーザー銃をいくつか隠し持っているのだ。
背後で、変な音がする。振り向くと、カーテンがいつの間にかけられている。
レイレイとシャオイェンとで、隔たれてしまった。
完全にテーブル周辺から外に出れなくなってしまったということだ。
シャオイェンは、鋼鉄製の中国靴で何かできないかどうか考えていた。
そして、目の前には気絶してしまったユーが置いてきてしまった中華包丁が目の前にあった。
これは使えないだろうか?
そして、その中華包丁は、老龍からもらい受けた物であることを思い出した。
この中華包丁は、パーティカルロイド粒子、パワードスーツを装着せずに粒子を流せる、
畜粒子を積んでいる特殊包丁なのだ。
シャオイェンは、その中華包丁を拾い上げた。
中華包丁の柄の部分にスイッチみたいのがついている。
スイッチをつけると、中華包丁が高振動を起こしているのが分かる。
針二本が、シャオイェンを襲う。
シャオイェンは、今度は再び右側へ転がろうとするが、包丁を構えたまま、転がった。
粒子振動を起こしている中華包丁は、仕掛け網を切り裂く。
案の定、イーミンはカーテンを降ろしてきたのだ。
そして、この中華包丁がここを打開するアイテムなのは間違いない。
シャオイェンは、テーブル側に向けて中華包丁を縦横に振るう。
カーテンの扉が開く。
シャオイェンは、ものの見事にテーブルの上に乗ることに成功した。
これで、テーザー銃から逃げなくてよくなる。
こっちも一手封じられたが、向こうも一手封じた。
テーブルの上に立ちながら、包丁を持ったまま両方の眉を撫でる。
なぜ、狙いが正確なのか?
まるで、盗聴器で見られているような錯覚だ。
テーブル下のチーミンが、下品な大声を響かせる。
「うひゃひゃひゃひゃ!!! シャオイェンたんよお、粒子振動の武器持ったところで、一手封じたと思うなよ?」
シャオイェンは、この一言で気づいた。
間違いないのだ、粒子振動の兵器とは気づくわけないのだ。
テーブルの下側から覗けば、単なる中華包丁にしか見えないからだ。
シャオイェンは、無表情のままそこらじゅうへと首を回す。
入り口方面にカメラらしきものなどない。
チーミンの攻撃が始まった。
テーブルの真ん中あたりの所から、粒子振動で切断するチェーンソーが突き抜けて、シャオイェンの所まで進んでくる。
シャオイェンは、バク転を三回転ほど繰り返し、逃げる。
振り向きざまに中華包丁を十字に切る。
カーテンを越えて、飛び込む。
大理石のテーブルから逃げ切ったシャオイェン。
背中の痛みをこらえるも、大理石の方面、踵を返した。
チーミンが、ゴーグルらしきものを頭にしていた。
彼は仁王立ちをさせ、チェーンソーを振りかぶる。
「死ねぇやぁあああああああ!!!」
粒子振動式のチェーンソーは、大容量で重いせいか、振りかぶるのが遅い。
地面にチェーンソーが食い込み、レンガ造りの地面に一筋の線が入った。
熱振動で切るため、レンガ造りの床といえどあっという間に切れてしまう。
シャオイェンは、相手の左側へ一気に回り込んでいた。
「何となく、トリックは分かっていました。すごく単純でしたね。人の体温だけをサーチする特殊ゴーグルをしていましたね? 気功ユニット全開!!」
シャオイェンの身体から指先にかけて、気が巡る。
シャオイェンは、完全ゼロ距離状態のチーミンの胸骨に指先をかけた。
「あなたは、殺すわけにはいきません。なぜならば、メイヨウさんの場所を知っている可能性が強い!! 食らいなさい!! 最快的速度决策技术(赤き閃光の突き)!!」
シャオイェンの硬く握られた拳が、チーミンの胸骨に食い込む。
チーミンの骨が砕け、ヒビは肋骨まで広がり、奴を吹っ飛ばすには十分だった。
「うぎゃあああああああ!!」と、チーミンはテーブルまで吹っ飛び、テーブルの上を5メーターほど滑っていって、止まった。
シャオイェンはカーテンにぶつからないように、チーミンの傍までやってきて、彼を見下ろす。
長い舌を出して、白目を剥いていた。
確実に気絶したのを確認すると、シャオイェンはレイレイに通信。
<キャラクター設定①>
朱 曉燕(晓燕) (シュ シャオイェン)
年齢16才
女性
身長155センチ
髪は赤 髪型は、短髪。右耳に、梅の花の髪飾りをしている。
肌の色 黄色
瞳 赤
人種 中国(山東省)
利き腕 両方
クンフースタイル 梅花蟷螂拳(連続攻撃を得意とする)
得意技 赤き閃光の突き 最快的速度决策技术(Zuì kuài de sùdù juécè jìshù)
得意武器 梅花双刀
一人称 自分
誕生日 NAY546年3月11日
部隊 朱雀
BWH 体重 73/50/74 61キログラム
実直で、まじめな女の子。
だが、ストレートすぎるが故、分析癖は他の部隊員の追随を許さず、
セリフの量も膨大になりがち。
カンフーは、本当に実直、まじめで、まっすぐな技を撃つと、
部隊長である、黎 麗々(レイ レイレイ)からも評価をもらっている。
服装は、中国服に、しちぶだけのパンツをはいている。
とても、さっぱりしていて、ボーイッシュ。
その為なのか、あまり感情を表立って表情を変えることは少なく、
空気読まず膨大な言葉を出てしまうのが、たまにキズ。
だが、それを含めて皆から慕われている。
趣味は、ボーイッシュとはかけ離れている、女の子らしいピアス集め。
現在は、九龍城国の「紅龍省」に住んでいる。
マンション「紅木楼」の101号室に住んでいる。
<キャラクター設定②>
齐 一铭
黒龍会所属。
色は薄緑色の中国服を着ている。
シィウェンの手下。
死んだ魚の瞳のようにやる気のない表情が多い。
男性、31歳。
金髪の髪をオールバックにしていて、金色のネックレスをしている。
入会したばかりなので、クンフーもそんなに強くないのと、
ヌンチャクを振り回すが、自信で扱えない。
ヌンチャク片手に、スタンガンという、よくわからない戦闘スタンスになっている。
スタンガンを所持している。
非常に、頭が悪く、ゲスイ手口を使う。
そこら辺のありとあらゆるものを、武器に使用したりするので、侮れない所もある。
レイレイ達の初戦では、惨敗に終わったが、再戦の時には結構追いつめたり、
戦法を変更することで、結構な勝負にまで持っていくことができるようになった。
それと、狡猾な性格なので、仕掛けものに関しては、かなりのやり手であり、
相手の怒りを誘ってこっちに有利になるように仕向けることが大得意。
が、所詮は雑魚なので、結局レイレイ達にあっという間にやられる。
そして、実はドラゴンテロリスト。
チャンツィイーの手下。