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チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
カオルンセングォ毒ガスパラダイス編
131/178

4-51 チャイナガールズ混成部隊VS牙龍会!! その5

 

 リャンリャンは、相手の右横まで瞬時に跳躍した瞬間、鋼鉄並みの裏拳がリャンリャンを襲った。


 白い中国服のお腹の辺りに鉄球のような重い一撃が食い込み、金龍側へ吹っ飛んだ。


 さすがの金龍も叫んだ。


「リャンリャン!!」


 金龍はすぐさま吹っ飛ぶリャンリャンを、受け止める。


 リャンリャンは、うっすらと目を開けると、震える手を出しながら瞼を閉じた。


「きんりゅうしぇんしん、ごめんなさあい……」


「いいわよ、別に。とにかく、お休みなさい……ルェイジーちゃん、彼女を頼んだわ……」


 金龍は、涼しい顔をさせたまま、腰ベルトにぶら下げている縦長のポーチを開け、金色のキセルを取り出した。


 ルェイジーは気絶しているリャンリャンを抱え上げながら、金龍に声をかける。


「金龍シェンシン、相手かなり強いアルネ!! ルェイジーの攻撃受けても、骨一つ折れていないアルネ!!」


 インチンヨウは眉根を寄せたまま、目の前を通り過ぎる金龍に話しかける。


「金龍殿、私も手を貸そうか?」


 金龍は、赤い唇の両端を吊り上げたまま、キセルを口元からはずす。


 色気のある息を吐くと、煙がそこら中に泳いでいた。


「いいえ、ご好意はありがたいけど、これは私と彼とで勝負させてちょうだい?」


「分かった、そなたに任せよう……」


 金龍はそこら中に転がっている手下たちを金色のハイヒールで踏みつけながら、ヤオと対峙した。


「初めまして、チャイナガールズ副指令の金龍と申します……」


 ヤオは龍の首みたいにゴツイ首を、左右に折り曲げて、笑った。


「よう、これはこれは。副参謀殿にお会いして、光栄だぜ。牙龍会副会長、(ヤオ) 国安(グアアン)だ!!」


 金龍は、長いまつげを下ろし、右下に視線を持っていく。


 彼女に誘われたら、どのような男性だろうが、首を縦に振るだろう。


「さすが、裏九龍城国……色々な人々が存在しているわね? あなたは気功ユニット抜きでも、全身の気功がルェイジーちゃん並みに回る殿方ね? 私は、強い殿方は好きですよ……」


 ヤオは腰を落とし、再び右拳を頭の後ろ、左拳を腰の辺りまで伸ばし、少林拳の構えをさせた。


「わりぃな、俺にはカミさんがいるんだ……」


 金龍は、再び色香がたっぷりに含まれた煙を吐いた。


 粒子灯に照らされている、煙は空中で踊り狂う。


「あらら、フラれてしまったわね……」


 金龍はキセルの先端を返す。


 彼女はキセルを縦長のポーチにしまい込んだ。


 ゆっくりと熱を帯びている灰の塊が地面に向かって落ちていく。


 赤い火を残したまま、灰の塊が地面についた瞬間、二人は同時に動きだした。


 金龍は、見えない手の速度で針を取り出す。


「21~30番!!」と、金龍は向かってくるヤオに目と喉元に針を投げる。


 ヤオは、見切っていたのか、太い右腕全てに針が8本刺さる。


 金龍は、涼しい顔をさせていたが、相手に掴まれれば終わりだ。


 針という投射技術のみで戦場を駆け巡っているからだ。


 純粋な暴力には、無力になる可能性が強い。


 銀龍のような人間とは、戦闘の性質も真逆なのだ。


 金龍は、真後ろへはずみ、ヤオとなるべく距離を取りたいところだ。


 ヤオに全ての急所を狙うが、ヤオはうまく右腕と左腕で、かわしていく。


 金龍はポーチに手を添えながら、右側へ再びはずみ、針の番号を叫ぶ。


「31~40番!!」


 だが、ヤオは突如しゃがみ込み、「うう……」とうめき声をあげている白衣を片手で掴んで盾にする。


 白衣にその針が刺さると同時に、突如白衣が叫び後をあげた。


「うぐあがうぐあがうひゃううううううう!!」と、悶え、苦しんだ後、目や口から血を吐き出し死んだ。


 ビャオは盾をどけると、奥歯を噛みしめながら、笑顔をにじませる。


「ほう、こりゃあ、また……良い猛毒だぜぇ……」


 金龍は今までバトルスーツをした相手ばかりをしてきたが、生身でここまでの状況判断、更には戦闘のカンが凄まじく鋭い相手は初めてだった。


 だが、彼女の顔は涼しいままだ。


 ビャオは、とりあえず、片腕で白衣を金龍へ向けて放る。


 馬鹿力で放るので、尋常のスピードではない。


 金龍は再び右へとはねる。


 金龍は、銀龍ほどの身体能力はないが、一応基礎的な体力は持っている。


 白衣は、改修中の屋台につっこんだ。


 そして、ビャオは白衣を持とうと、手を伸ばすと、金龍はすぐさま針を放る。


 ビャオは、すぐさま手を引っ込め、しゃがみ込んだまま金龍を龍の如く睨んだ。


「ほう、やるじゃねーかよ、金龍さんよお……アンタ、うちに来ないか? それだけの度胸、女にしとくほど勿体ないぜ」


 金龍は、ポーチに手をかけたまま、冷笑する。


「来ないの、分かっているくせに。よくもまあ言える事ね……」


「ま、そりゃそーだよな。うちは、一切女っ気がないからなあ……。牙龍会の士気にも関わるったらありゃあしねーんだよ」


「派遣ぐらいだったら、するわよ?」


 金龍は、再びポーチから針を取り出す。


「ただ、うちは高いけどね?」


「いくらだよ!!!」と、ヤオは直立し、金龍が針を突き立てた白衣を蹴りだす。


 人体の重さにも関わらず、サッカーボールのように、金龍へ向かう。


 金龍は再び右側へ逃げる。


 ヤオは、前のめりに駆け出し、間合いを詰める。


 すぐさま金龍の細い首元にゴツイ腕が伸びた。


 片手で、金龍の細い首を捕らえる。


 金龍の両足は浮き上がり「……ぐ」と、苦悶の表情を彼女は浮かべた。


「へっ、大したことねえじゃねえかよお……」


 だが、ヤオは何かの違和感を感じていた。


 緑色のチャイナドレスを着ていて、関公大刀を持っている女性が、佇んだまま何もしないで、こちらを見ている。


 遠目から見ていると分からないが、よく目を凝らすと彼女は笑顔ではある。


 しかし、うっすらと開いた瞳が緑色に光って、ヤオを見つめているのだ。


 更にヤオは、隣りにいる緑色のチャイナドレスを着ていて、顔の大きさとは似合わないサングラスをしている女の子にも注目した。


 両手には、独特な兵器を持っていて、そのサングラスの瞳の奥がうっすらと緑色に光っているのだ。


 ヤオは、その違和感が何なのかようやく理解した。


 そして、金龍の赤い唇から何かがボソリと声が聞こえた。


「……しき……鍼灸術……番……」


 その瞬間、ヤオの全身が鉛を流し込まれたように、力が抜けた。


 金龍はせき込みながら、呼吸を何とか整える。


「ごほっ……シュェリー式鍼灸術、91から99番よ……」


 ヤオは膝から急に落ちた。


 本人にも、何が起きたのか分からないようだった。


 口が重々しく、身体全身が何かに封じられるように四肢に力が入らない。


 喋ることも、息を吸うことも全て重い(・・)のだ。


「があぁ……な、なにを……」


 金龍は、背筋を丸めたまま、何とか立ち上がる。


 彼女は、地べたに這いずるヤオを見下げていた。


 その瞳は、暗がりの中で、金色に光っているのだ……。


「あなた、私の針をなめないでちょうだい? 91~99番。対人の中でも最終手段なのよ。

針って言うと、どうしても私の基本戦闘スタイルを浮かべてしまうのかもしれないけれど、実はね? ここら辺の空気中に、細かい針が漂っているのよ? わかるかしら? 大丈夫よ、あなたみたいな人殺してもお金にもならないから、殺すことはないわ……私はね、守銭奴なのよ……」


 金龍は髪をまとめている髪飾りに手を沿える。そして、三本のうち二本抜いた。


 その針を、うつ伏せで動かなくなっているヤオの両肩にその針を差し込んだ。


 動けなくなっているヤオに、全身に激痛が走る。


「聞こえているかどうか、分からないけれど、この番号の針は人体を操る針なのよね? つまり、あらゆる神経を操ると言っても過言ではないわ……」


 龍の形相の男は、叫び続けていた。


「これは拷問にも使えるし、尋問にも使えるわ? これでも気絶しないあなたは本物の、タフな漢ね……」


「うぐあおおおおおおおおおお!!!」と、叫ぶと白目をむいて気絶した。


 金龍は相手が気絶したことを確認すると、針を抜いて、器用に髪をまとめ上げて、お団子頭一つを作った。


「あなたは、とっても素敵だったわよ? また戦いましょう?」


 ヤオは、全身を痙攣させながら気絶していたのだった。


 金龍が見下げている間、後ろから声が聞こえる。


 金龍はメインストリート方向に顔を向けた。


「よお、ようやく終わったか……」


「あら、銀龍……いつからいたの?」


 中国キセルをくわえたままの銀龍は、倒れている白衣を退けるように大股を広げながら、金龍へと近づいてくる。


「いつって、さっきだぜぇ? ったくよお、牙龍会がルェイジーを狙ってくるなんてよぉ……」


 金龍は、腰ベルトにぶら下げている、長いポーチから金色の中国キセルをくわえた。


「あらあら、本当かしら? 本当は随分前からいたんじゃないの?」


「へっ、久々のテメェさんの戦闘ぶりを見たかったというのは、ありだろぉ?」


「ま、それはそれで、いいけど……。それと正式にチンヨウさんと協力関係を結ぶことも同意を得たわ……」


「おお、サンキューな。さてとぉ、そろそろ大詰めといきますか?」


 銀龍周辺に、チャイナガールズ達が集まってくる。


 リャンリャンを抱えているルェイジーから始まり、可憐なイェチン、小さいリームォ、飛び込み癖のシェンリュ、お嬢様なリーシー、恥ずかしがり屋のファリンが全員銀龍の元へやってくる。


「そうね、そろそろ大詰めね。そして……」


 銀龍と金龍は、しかめっ面のチンヨウと、両手を頭の後ろに添えているチャオを見つめた。


「我々、裏九龍城国、神龍会と拳龍会も手伝わさせてもらう!!」


 銀龍と金龍は、同時に視線を合わせると、頷いたのだった。



<蒙(金龍)の、武器「針」について>


医療用も含めると蒙の針は10種類にも及ぶ。

ちなみに、番号ごとでふられているが、20番=20本ではないことはあしからず。


人体には、全部のツボ。全身全部で354個のツボが存在している。



1~20番


主に医療用に使用するための、針の番号。

心身ともに回復するための針のため、

殺人、暗殺には全く使用されることはない。



21~30番


長さ10センチにも及ぶ通常使用の、武器針。

素材は、普通の鉄。

彼女の基本武器で、両手の、指の間に握りこみ、投げたり、ついたりする。



31~40番


暗殺用針を用いている。

素材は、アルミニウム。

そのため、猛毒を針に塗り込み、パワードスーツやバリヤーの隙間をぬい、急所めがけてさすことも可能。

ただし、威力はそこまで強くなく、バリヤー一枚のみしか壊せない。



41~50番


対バトルドレス用特殊針①

バリヤーを壊す能力は、1.5枚のバリヤーを壊せ、

かつ粒子を大量に流し込み、高負荷をおわせて、バトルドレスの機能を壊す特殊性針。

素材は、純鉄。

純鉄とは、鉄を99パーセントまで高めた、銀のような物体。

他の鉄と比較すると、純度が高いため、抵抗がほぼなく、

粒子の流れは、100パーセントに近いため、

粒子が通る時のスピードも最高速度に達する。

流せる粒子は、電気で言うなれば200Vクラス。

そのため、蒙専用の特殊グローブをしたりもする。

パワードスーツの隙間に針を突き刺し、行動不能にさせることができる。



51~60番


対バトルドレス用特殊針②

バリヤーを壊す能力は、ドゥアルバリヤーを壊せ、

かつ粒子を帯びる特殊性針。

素材は、純鉄。

41番台とは異なり、威力もパワーアップ。

電気ならば、500Vクラス。

粒子を流すための、軽量小型バッテリーも必要。



61~70番


対バトルドレス用特殊針③

素材は、カーボンナノチューブを利用した素材でできている。

バリヤーを壊す能力は、2.5枚まで可能。

51番台は、電気を通すなどだったが、

51番台からはパーティカルロイドを流し込めるようになっている。

そのため、戦闘不能にさせることもできるが、

パーティカルロイドを過多に流し込み、コアユニットを完全破壊可能にすることができる。



71~80番


対バトルドレス用特殊針④

素材は、カーボンナノチューブを利用した素材でできている。

バリヤーを壊す能力は、トリプルバリヤー(3枚)まで可能。

パーティカルロイドを流し込めるのは、51番台とはさほど変わらないが、

物理的に、パワードスーツの鋼鉄をも貫くことが可能。



81~90番


ミサイル、大量破壊兵器対応特殊針。

実は、81~85番までが、ミサイル対応針。

熱線や、振動させる技術を持っていて、主にデコイや、小さなコアユニットを針に詰め込んでいて、

パーティカルロイドを流し込み、爆発、膨張させることが可能な針。

そのため、大きさも今までの針とは異なり、長さ30センチにも及ぶ。

85~90番までは、各特殊針の中でも、蒙が持っている、通常兵器の中では威力の中では史上最強の針で、

素材はアルミニウム。

チャイナガールズしか、できない芸当である、音速で針を投げることが可能。

しかし、条件は、電磁レールガンとは異なり、

パーティカルロイドを針に溜め込み、針の周辺を粒子で包むことで、摩擦を極限までなくし、彼女の投射で放つというものである。

そのため、レールガンの色は青いと言われているが、白い炎になる。

投射速度は、お手製レールガンなので、威力は若干劣るが、

電力などが必要としないため、第一次資源戦争時には核に近づくほどの脅威の技術として、

歴史に残っている。




91~99番


気功ユニットを最大限に利用する、特殊針。


素材は、金でできている。

主に、相手に対して、操る、内気功を流し込み、人体を操る。

脳に直接障害をおこさせるなど。

人体を操るため、筋力を一時的な能力アップや、痛みを取り除いたりもできる、万能針。

更には、この番号の中でもアスベスト並みに細かい粉塵のような針を空気中に漂わせ、

相手のツボにも刺激させることが可能。

パワードスーツ抜きだったら、驚異的な暗殺針にもなる。

結局、どれだけ戦争が発達したとしても、人対人であることに変わりはないので、

この針が後番にもってきている理由が分かる。

ちなみに、シュエリーはこの番号の針を胸の間に5本ほど、お団子頭に、3本刺さっている櫛も、実はこの針。

彼女のチャイナドレスの胸元が空いているのは、そのためである。


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