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チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
カオルンセングォ毒ガスパラダイス編
126/178

4-46 老龍会の、会長

 


 -------N.A.Y.562年 8月17日 14時30分---------



 ここは、老龍省の真下の一番奥に来ていた。


 そして、ユーは適当に扉を開けて、笑顔になりながら入る。


 一人の門番らしき赤い中国服を着ている男が、ユーを一瞥する。


「久々だな、ユーか……。後ろの二人は誰だ?」


「チャイナガールズの二人よ?」


「なるほどな。銀龍金龍はいないのか?」


 シャオイェンが、その男に話した。


「二人は今闇市場に向かっているはずです」


「そうか、我々は服を扱うことに長けている」


 シャオイェンは、すぐに理解したのか瞳を細める。


「なるほど、つまり、パーティカルロイド粒子を組み込むことに長けているという意味でもありますよね?」


「そうだ、まあ、入りたまえ……」と、赤い中国服の男は扉を開けた。


 部屋に入ると、様々な服がハンガーにかけられていて、洋服から、中国服、チャイナドレスまである。


 それぞれの服の目の前には、緑色の宝玉がはめられているユニットに直接つながっている。


 パーティカルロイド粒子を補充している、服なのだろう。


 レイレイは、苦笑いなしながら、色々な服を見ていた。


「これ……全部違法よね?」


「おねーさんもたまに着るのよ。会合や、接待などの時はチャイナドレスを着たりするわ」


「どういうの着たりしているんですか?」


「おねーさんはね、何でも着るわよ? 裾が短いのから、長いのまで。なんでも似合うんだぞ」と、ユーはウィンクさせて笑顔のまま、一番奥の扉を開けた。


 一人ずつ扉に入ると、どでかい背中が突如現れた。


 レイレイは思わずそれを見上げる。


 白いTシャツを着ているが、その後ろ姿は二メーター近くあり、背中は鋼鉄をたてられているような筋肉が覗かせている。


 その後ろ姿は、まさしく鋼鉄のごとく硬そうだ。


 白い背中が、上下している。


 どうやら、ベンチプレスをしているようだった。


 空調がきいているため、非常に涼しいが、空調が作動していなかったら、全くもって暑苦しいこと間違いないだろう。


 レイレイは、白いTシャツからのぞく腕に注目してしまった。


 上腕二頭筋から手首まで金の龍が走り、左腕には銀の龍。


 足元は黒いハーフパンツを履いていて、左足には鋼と表現してもおかしくないくらいの太もも。


 右足である、太ももから足首にかけては、赤い龍が走り、左側には青い龍が走っている。


 全て、タトゥーで敷き詰められているのだ。


 そんな風体にも関わらず、ユーはきさくにその背中に話しかけた。


シン 正龙チェンロン会長!!」


「うむ、なんだ。全ては己がクンフーの為、爆裂少林拳は最強なり!!」


「クンフーの途中悪いんですけど……女の子二人連れてきましたよ?」


 白いTシャツの男は、ベンチプレスを床に思い切り置いた。


 床が振動し、二メータほど離れている、レイレイ達の足裏にも伝わった。


 シャオイェンは、無表情のままで、口を開く。


「あれ、いったいどれくらいの重さがあるのでしょうか……」


 白い背中は踵をかえした。


 老人というには似つかわしくない、強靭な体格で、長く白い髭を等間隔で結っている。


 白髪の頭は、綺麗に後ろにまとめあげていた。


「わしは老龍会、会長じゃ。そして……」と、ユーの胸に触ろうとした。


 だが、ユーは素早い手で、男の手を阻止し、そのままツボを刺激させた。


「うおお、いっててててて!!! 久々じゃのうに、何をするのじゃ!!」


 ユーは腕を組みつつ、そっぽを向く。


「何をするのじゃ、じゃ、ありませんよ!! 会長に触らせるようなものなどありませんからね!! ったく、超強いのに、これさえなければ本当に素晴らしい人なのにね!!!」


「何をぉおお!! わしはな、未だこの体格を維持できるのはな、全てこの性欲のお陰なのじゃ!!」


 レイレイは、こそこそとシャオイェンに耳元で囁く。


「ねぇ、このお爺さん大丈夫なのかしら? 今までの会長とは異なる、変な素質を感じるわ……」


「私はそこまでして否定はしませんがね? 哺乳類としては、性欲があることは私も哺乳類なので、得には否定しませんが、でも、あのお爺さんには触らせたくはないですね……」


「シャオイェン、良かったわ。あなたに全肯定されたらどうしようかと思ったわ……」


「さすがに、私も女性としての自覚はありますから……」


 鋼鉄でかためられた男は、華奢なレイレイ達を一瞥する。


「んで、どうしたんじゃ? その女の子たちは誰なんじゃ?」


「誰というか、チャイナガールズ知ってるでしょ?」


「おお、わしが背中のタトゥーを刻んであげた銀龍金龍じゃな。あれは彼女たちが20歳ぐらいの時じゃったな……。まあ、活躍は噂では聞いているから元気じゃろうて……」


「この子たちは、銀龍金龍の部下たちよ? で、お金払うからパーティカルロイド粒子を補充してあげてくれないからしら?」


「ほう、もうそろそろ切れそうかというかの……。いいじゃろ……」


「ちょ、ユーさん。悪いですよ……」


「あなた達、必要最低限しかお金持ってきていないでしょ? 裏九龍城国でもお金は重要よ? それとも、あのエロジジイに胸でも触ってもらう?」


「金はよい、触らせてくれれば、いくらででも!!」


 ユーは、瞼を細め、筋骨隆々の老人をにらんだ。


「会長、私はまだ自衛手段はあるけれど、彼女達に手を出したら、はったおすわよ? それとも、奥さんに例の情報を流してもいいのかしら?」


「さすが、チェンユーターチェじゃな!! ワシとの交渉手段をしっかり持っているわい!!」


 シン 正龙チェンロンは、自身の左横にある木製の扉に、視線を向ける。


「しょうがないわい、そこの女子更衣室に入り、ピンク色のガウンがある……それに着替えて、チャイナドレスを渡してくれ。満状態になるには、大体30~40分ぐらいじゃな……」


 ユーは、訝しげな表情のままだった。


「なんか、怪しいわね、おねーさんも一緒に行くわ」


 シャオイェンも、一緒に瞳を細める。


「ユーターチェ、お願いします……」


「ま、どのみち脱がないと、粒子補充できないから、行くわよ!!」と、レイレイは女子更衣室に入った。


 部屋の中には、銭湯にあるような縦長に長いロッカーが五列ほど並んでいて、壁に組みつけられていた。レイレイは早速、赤いチャイナドレスの背中側、首元にあるチャックを一人で器用に下ろす。


 白く若い肌に、上下ピンク色の下着姿になった。


 シャオイェンは、赤いパンツスタイルの中国服なので、すぐに脱ぐことができた。


 脱ぎ終わると、シャオイェンは白いブラジャー姿になる。


 黄色く、若く、健康的な肌なのは、どちらかというと、シャオイェン側なのだ。


 二人はピンク色のガウンを着用し終えた。


 ユーはそこら中に目を光らせて、何かを探していた。


 棚の向かい側の壁、天井のダウンライトの辺り、更には洗面所らしきところもだ。


「むう、ないわね。おねーさんは、それでも警戒するぞー」


「ユーさん、何探しているんですか?」


「盗聴器と盗撮機……。以前、私の盗撮が流出したことがあったから、色々と追ってみると、発信元はあのエロジジイだったのよね!!」


 レイレイは、へーと言いつつ、ロッカーの扉を閉める。


 ユーは、何かに気づいたようだ。


「へー、そういうこと?」と、微笑させる。


「どうした……」と、レイレイが言い切ろうとした瞬間、ユーはロッカーの扉を開けて、突如足先を突っ込んだ。


 ロッカーは鉄製にも関わらず、へこみ、突き抜けた。


「よいしょ」と、ユーは手を突っ込んで、何かをつかんだのか「あったあった」と、指先で一つまみぐらいの、小さな黒い物体を見せた。


 レイレイとシャオイェン、ユーとで同時に黒い物体を見る。


「これって、盗聴器ですよね?」


「そうね、ったく、あのエロジジイ、本当に油断もスキもないわね!!」と、部屋を出て行った。



<キャラクター設定>


シン 正龙チェンロン


性別 男性

身長 190センチ

年齢 65歳

体格 細身、白髪交じりの長い髭を胸元辺りまで下ろしている。

クンフー 爆裂少林拳

所属 老龍会

髪型 白髪交じりの長髪を頭の後ろで結っている。


赤い中国服に、頭は完全につるっぱげ。

超筋肉ムキムキのエロジジイ。

ユーには必ずちょっかいを出したり、お尻を触れようとするが、大体阻止される。

白髪交じりの長いひげに、全身、龍のタトゥーが入っている。

右腕には金の龍、左腕には銀の龍。背中には黒い龍。右足には赤い龍。左足には青い龍。


彼が持っているクンフー爆裂少林拳は、他の者達の追随を許さない、驚異的な破壊力、スピード、どれをとっても最強である。

かつ、パーティカルロイド粒子を高速振動させた兵器ですら、彼の皮膚を通すことなど不可能であり、

銀龍や金龍の持っているタトゥー技術を全て総合させたバリアとなっている。

その為、バリアなどを使用するときなどは、虹色のバリアが発生すると言われているが、誰も見たことがない。

その前に、全てが決着をついてしまうという、伝説の人物でもある。


技術は広まってなんぼだと考えていて、チャイナガールズとはまた別の方向の技術を持っている。

非常にしたたかで、大胆に行動を重ねる人物。

パーティカルロイド粒子と気功ユニットそのものを、肌に彫りこむことで、

脳波のみで起動、停止、気功ユニットの送量を驚異的に流し込めることが最強の武器。


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