4-45 銀龍のカ
-------N.A.Y.562年 8月17日 レイレイと同時刻頃---------
銀龍は、レイレイの報告を聞いた後、顎に手をずっとあてていた。
目指すべきは、闇市場。
金龍と再び合流するつもりだった。
レイレイの報告によると、黒龍会のボスはドラゴンテロリストに殺害された。
その意図は何なのだろうか?
そして、何かが引っかかっていた。
ずっと顎に手をあてている銀龍を横目に、シェンリュは声をかける。
「ねぇ、ターレン? 何考えているの?」
「いや、考えれば考えるほど違和感を感じるんだぜぇ……」
「だってさ、黒龍会は壊滅というか、窮地に立たされているから、あとは毒ガスコマンダーだけじゃないの?」
「おいおい、ドラゴンテロリストがいるじゃねぇかよぉ」
「あ、そうだった。ゴチャゴチャしすぎて、よくわからなくなるのよね……」
後ろからついてくる、イェチンがピンク色の唇の口角をあげながら開いた。
「アイヨー、ターレン。シィウェンは倒されたよ。でも、私も何か引っかかるよー……」
なぜ、あの男の戦闘スタイルは日本の居合術のみだったのか。
ずっと、考えていた。
イェチンの隣りにいるリームォもまあるい、口をひらいた。
「ぼしゅにしては、きゃんたんにやらりょた……。おきゃしすぎりゅ……」
銀龍は、ハッとして歩くのを止めた。
簡単に……。
黒龍会はまだいる……。
裏九龍城国の、老師の言葉が気になった。
あんなに簡単に……。
「待てよぉ、まてよまてよぉ……」
レイレイの録画ログを見るには、相手は日本人でクンフーを一切出していなかった。
銀龍の妙な直感が脳内を駆け巡り、一つの答えが浮かんでくる。
黒龍会の会長はヤツではなかった。
黒龍会は、果たして一枚岩ではなかったのではなかろうか?
更に、ドラゴンテロリストが潜伏して噛んでいる。
銀龍はすぐにレイレイに連絡をする。
「レイレイ、今どこにいる!!」
幸いなことにすぐに返答が戻ってきた。
「何よ、ターレン。さっきも報告したとおり、老龍会でパーティカルロイド粒子を補充しているわ。バトルドレスの満状態待ちなのよね」
「奴等もそっちにいるんだよな?」
「ええ、それがどうかしたの? ターレン……」
「気ぃつけろ。シィウェンはアイツは黒龍会の会長じゃねぇぜ……。多分副会長か何だったんじゃねーの?
会長は必ず何かしらのクンフーを持っているはずだ。
だが、シィウェンは違った。まだわからねぇが、黒龍会。いいや、ドラゴンマフィアはメイヨウを使って何かをするのは間違えねぇ」
「どういうこと? あの人が会長じゃなかったら、誰が会長なの?」
「それを、探さないとこの事件は確実に解決しねぇ……。毒ガスコマンダーを生け捕りも重要だが、真犯人を捕まえるのも、重要な事だ。
テメェさんが、それに近づいているのは間違えねぇ。加勢してぇが、オレは金龍と合流しないといけねぇんだ……。ヨウにも聞かれたくないことだ……」
「分かったわ、ありがとう、ターレン……」
銀龍は通信を切った。
「さあてと、また歩くぞ、テメェら……」と、銀龍は銀色のハイヒールを鳴らしながら、地下を再び歩き始めた。
王 神美(神美) (ワン シェンメイ)
年齢31才
女性
身長155センチ
髪は黒。 セミロングで、ヘアピンで前髪をまとめている。
肌の色 色白
瞳 黒
出身 中国(九龍城国)
利き腕 右手
クンフースタイル 双辺太極拳(そうへん太極拳)形意拳と八卦掌のミックス+(鉄扇演舞とお香)
得意技 巧拿拇指法(親指と人差し指を輪っかにし、相手の親指へと垂直に落とす技)
そのまま相手は肘から落ちるように屈みこむ。
得意武器 鉄扇子(カーボンナノチューブ製)
一人称 オレ
誕生日 NAY531年8月1日
部隊 傭兵部隊参謀兼戦略家
BWH 体重 81/57/83 50キログラム
銀色のチャイナドレスを着ていて、膝下よりも長い丈になっている。
背中は、大きく開いていているチャイナドレス(1型のバトルドレス)
と、背中が見えていない、現在の1.5型のバトルドレスを使っている。
主に、背中が開いているのは、非番時やプライベート時に1型を着ていて、
戦闘時には1.5型のチャイナドレスを着用している。
銀龍の入れ墨は、
龍が上から下へと流れるようにタトゥーが入っている。(降龍)
両耳には扇の形をしたイヤリングをしている。
全身銀色になっているため、
その姿から、通称「銀龍」とも呼ばれている。
ミンメイの実の姉である。
背中のタトゥーは、チャイナガールズの中でも唯一無二の忠誠心のあらわれでもある。
部隊内でも、交渉力が武器となっている、指揮官の役目を担っているキャラクター。
ただし、少々感情的になりすぎて、金龍よりは交渉事が苦手な所もある。
チャイナガールズ発足時にもかかわっていた人間で、初期メンバーでもある。
伝説の傭兵とも知り合いで、バニーマムとも面識がある。
バニーマムとは、実は傭兵の4年に一度の、オリンピックみたいなのがあり、
それでお互いに優秀な成績をおさめている。
というか、二人とも結構ライバル視している。
部隊内では結構大雑把な性格で、竹を割ったようなくらい、さっぱりとしている。
言葉の扱いは荒く汚いが、根はすごく優しいところもあり、自分自身にあまり素直なところは見せない。
部隊内では、相手が何を考え求めていることに対して察知する能力が高く、
その人柄ゆえか、金龍の部下でも、相談役を担うところが多い。
頭の回転が尋常に早く、誰よりも戦略の変更、融通が利く。
キセルヘビースモーカーのため、中国キセル(銀色の龍の装飾が施されている)を右手、
カーボンナノチューブ製の、鋼鉄扇子を左手に持っている。
お香が趣味で、敵対する相手をお香でしびれさせたり、動けなくすることや、幻覚で相手をふらふらにすることもできる。
かなりガサツな性格もあり、大股広げて、公衆の面前でも恥ずかしげもなく下着を見せてしまったりすることもある。
ちなみに、全く関係のない話ではあるが、中国では下着の盗難率が低く、
むしろ、下着なんか見てどうすんのよ!? という、文化なのだ。
その為、下着なんか見えてしまっても、シェンメイは、だからどうなんだという感じなのだろう。
彼女は幼いころから、九龍城国のお姫様みたいな立場だったので、この組織を運営しつつ、
どこかで後ろめたさはずっと持っていた。
その為、自身の給料を全て九龍城国の各拠点(九つ)の孤児院にポケットマネーをつぎ込んでいる。
心の底では本当は優しいお姉さんであることが伺える。
「先生」という言葉を使うように心がけているのは、本来は男性に使用するべき言葉なのだが、
仕事中にはむしろ「男」に勝るようなものを求められるため、隊内ではそういう風に使うように
チャイナガールズや周辺の者にまで伝達している。
本来、女性は「小姐」シャオジエだが、全員切り替えるのが面倒くさいので、そのままプライベートでも
銀龍や金龍を「先生」シェンシンと呼んでしまっている。
九龍城国内に帰れば、各孤児院に顔を出しつつ、子供と遊んだりしているが、チャイナガールズ全員が揃っているときは表立ってそんなそぶりは一切見せない。
<銀龍のバリアについて>
銀龍は、バリア1枚だが、密度の濃いバリアで鉄壁のバリアを出せる。
パーティカルロイドシェルと気功ユニットを両立させているのが、銀龍の背中にある銀色の龍のタトゥーで、
通常の三倍のパーティカルロイドを吸収することができる。
バリアも銀色である。
バリアの密度について。
バリア一枚につき、その六角形の個数は30~40個と言われているが、
銀龍の超高密度バリアの場合は、100~300個。
ミサイルや核に耐えられるぐらいの超高密度な性能。
バリア発動持続時間は、12時間。
一般兵士が扱っているバトルドレスでは、持続時間は2~3時間ほどで、6倍。
かなり長い。