4-41 レイレイの怒り その1
レイレイちゃんが、ブチギレる会です!!
あなたは、朱雀部隊のスピードにたえられるか!?
-------N.A.Y.562年 8月17日 銀龍達が戦闘中の同時刻---------
レイレイ達は、ユーに案内されて黒龍会のアジトの入口へ到着した。
黒龍会は、黒龍省の真下の辺りにあったのだ。
ユーが説明するには、想像以上に複雑な経路と隠蔽の為に情報を錯綜させているため、
神龍会にも五爪龍会にもなかなか情報の切っ先を見つけることは出来なかったそうだ。
だが、神龍会がようやく見つけることができた。
チンヨウが所属している神龍会の情報という武器も底が知れない。
彼ら、神龍会は表側の九龍城国の事も把握しているのではないか?
レイレイはそう考えながら、口を開く。
「ユーさんでさえ見つけられなかったのに、チンヨウさんの所はよく見つけましたよね?」
「チンヨウシェンシンと、私達との情報の質の差は明白よ。神龍会はありとあらゆるところに口コミという根を張っているのよね。
だから、情報の速度、正確さもあるわけよ。しかも、情報屋はいっぱいいるんだけど、一つの情報に対して五人ほどの人数をかけているのよね」
「私達は、スマートコンタクトレンズで情報の効率化をしていますけど、裏九龍城国では、情報の大量導入をかけているんですね?」
「そうね、まだここら辺はいいんだけど、他の区域になると通信ができなくなるところがほとんどだからね」
シャオイェンは、キリリとした眉毛を撫でる。
眉毛を整えているのだ。
「なるほど、情報を通信に通してしまうと、情報の価値が下がる理由がわかりました……」
「何よ、シャオイェン。私には分からないわ」
「情報とは、漏れる可能性が高ければ高いほど、価値が下がります。ですが、チンヨウさんの情報の価値は、非常に新鮮で速い。
情報も食材と同じように、新鮮であればあるほど非常に価値が上がるのです」
「なるほどね。私は今までカォルンセングォしか見てこなかったわ。私はまだまだこの国の事を知らないのよね? 改めて痛感したわ」
ユーの姿は、探検服のままなのだが、今回も中華鍋を右手に持っている。
彼女は、吊り上がりの瞳を細くさせた。
「まあ、さすがその情報を新鮮味のある状態で、私達にも提供されているのよね? さすが、チンヨウシェンシン」
「あの、ユーさん? ユーさんとチンヨウさんは本当にどういう関係なのでしょうか?」
「私達は、ただ単に会との同盟組んでいる者同士よ?」
「なんか、二人とも似合いすぎて、付き合ってるんじゃいですか?」
「おねーさんは、ガードは固いのよ?」と、ユーは薄い唇を吊り上げて笑う。
そして、そっと鋼鉄製の扉のドアノブに左手をかけ、後ろにいる少女たちに向けてウィンクをした。
「おねーさんのガールズトークは、また今度ね? レイレイちゃん、シャオイェンちゃん。準備はいい?」
レイレイとシャオイェンは鞘に入っている兵器をゆっくりと抜き出す。
鞘と金属がこすれあう音が、闇夜の中響く。
二人は静かに口調を合わせた。
「パーティカルロイド起動、気功ユニットオン……」
「今度は、こっちからよ!!」と、ユーは扉を手前に引いて開ける。
開けた瞬間、黒服が咄嗟に拳銃を取り出す。
ユーはそのまま細い足に力を入れ、黒服へ近づいく。
右手に持っている特製中華鍋のスイッチを押す。
粒子が中華鍋の金属を瞬間的に高速で回り、熱される。
ユーの方が、初手が速かった。
黒服の胸元に手が届いた時には遅かった。
100度を超える中華鍋が、黒服の顔面にたたきつけられる。
衝撃と、高熱が、黒服のサングラスを溶かしつつ、砕けた。
後続のレイレイは、倒れかけている黒服に向けて、
極限まで鍛えあげられたスラリとしている膝を曲げて、白い腿をあらわにさせた。
赤いハイヒールの足先が黒服の腹にめり込む。
深紅の裾がふわりと上がり、スリットの奥からピンク色の下着がのぞく。
そして、一気に力を解放した。
砕け散った顔を歪まさせた黒服の体躯は、後ろにある木製の扉を突き抜けて、通路内まで吹っ飛んだ。
通路内に黒服は三人。
右側に二名、奥に一名。
それぞれ扉の前に立っている。
奥の黒服は、レイレイに向けて発砲。
弾丸は薄青いバリアに守られ、滑り、天井へ。
レイレイは爆速で近づき、黒服の腕をあっという間に薙いだ。
「ぎゃああああああ!!」
黒服は、片腕を抑える間もなく、レイレイの七星剣によって、前のめりに身体がずれた。
シャオイェンは、右眼前にいる黒服と視線が合う。
黒服は拳銃よりもクンフーで迫ってきた。
シャオイェンは小柄な体格を生かし、身体を右へと傾ける。
せまる拳をそのままかわし、相手は腕を引っ込める。
いつの間にか黒服の腕がバームクーヘンの形をさせて、赤いしずくを垂らしていた。
自信の腕が、右下にあるのを確認した瞬間、足を滑らした。が、それは足を滑らしたのではなく、自身の身体が胸元から四つに分解されていたのだ。
「ぎゃああああああああああ!!」と、レイレイの傍にいた黒服が叫んだ。
身体の四肢が入らなくなり、レイレイに前のめりの状態だった。
背中からは金色の剣が、突き抜けていた。
レイレイの瞳が、真っ赤に光る。
「メイヨウちゃんを……返しなさい!!」
その叫び声を聞きつけたのか、レイレイの眼前にある木製の扉から銃声が5発した。
木製の扉は焦げた穴を穿ち、レイレイはそのまま黒服を盾にして、弾丸をかわす。
レイレイは即座に黒服を地面へ投げ捨て、ドアを蹴破る。
3メーター先で、黒服がしゃがみ込んだままリボルバーに装填していたが、レイレイは軽く跳躍。
赤いチャイナドレスの裾が流れるように漂い、黒服を頭から、股下まで七星剣を一気に下ろした。
熱振動で、頭蓋骨、背骨、骨盤と貫通し、人間の二枚おろしが完成する。
通路側にいるユーが叫んだ。
「おねーさんは、他の細かい部屋を見てくるわね。多分、その部屋の奥に会長はいるはずよ!!」
声だけで確認し、レイレイは叫んだ。
「ユーさん、お願いします!!」
<キャラクター紹介>
黎 麗々(レイ レイレイ)
年齢15才
女性
身長154センチ
髪は黒髪 髪型は、お団子頭左右2つ 布では覆われていない。 右耳に七星剣のイヤリングをしている。
肌の色 黄色
瞳 茶色
出身 中国(福建省)
利き腕 両方
クンフースタイル 七星蟷螂拳
得意技 无形的速度削减(見えない速度の斬撃)
得意武器 七星剣
一人称 私
誕生日 NAY547年4月10日
部隊 朱雀
BWH 体重 80/53/85 59キログラム
朱雀部隊リーダー。
若年の割にはかなりのしっかりもので、武道を重んじ、相手が強いと思ったら、必ず敬うように教育されている。
チャイナガールの中でもスピードスター。
赤いチャイナドレスを着ていて、丈が長いドレスを好んで着ている。
チャイナドレスの背面には朱雀の刺繍がされていて、
朱雀の刺繍が、気功ユニットになっていて、
気功ユニットを使用したときの反射速度や移動速度は、
弾丸よりも早く移動すると、大げさながらにも言われている。
チャイナドレスの、両腕の左右は長さが異なっていてアシンメトリーになっている。
髪型はお団子を左右に結っていて、お目目パッチリ。
右耳には小さい七星剣の形をしたイヤリングをしている。
イヤリングは、部隊内で七星剣であらゆる戦果を挙げた者に送られるような勲章。
兵器は、七星剣が得意で、クンフーは七星蟷螂拳をメインに戦う。
七星剣を両手に持ったときの戦闘力は異常で、一般兵がどんなに束になっても、勝てない。
得意のクンフーは、見えない突き攻撃や、見えない刀捌きで、次々と様々な物を切っていく。
足の速さも断トツで、初速最大スピードが、100キロ出せる。
現在は、九龍城国の「紅龍省」に住んでいて、マンション「紅木楼」の301号室で一人暮らしをしている。
シャオイェンとはお友達兼戦友で、相棒。
実家は香港の生花店。
お父さんとお母さんは一般人で、彼女は父と母の為に一生懸命お金を仕送りしている。
朱 曉燕(晓燕) (シュ シャオイェン)
年齢16才
女性
身長155センチ
髪は赤 髪型は、短髪。右耳に、梅の花の髪飾りをしている。
肌の色 黄色
瞳 赤
人種 中国(山東省)
利き腕 両方
クンフースタイル 梅花蟷螂拳(連続攻撃を得意とする)
得意技 赤き閃光の突き 最快的速度决策技术(Zuì kuài de sùdù juécè jìshù)
得意武器 梅花双刀
一人称 自分
誕生日 NAY546年3月11日
部隊 朱雀
BWH 体重 73/50/74 61キログラム
実直で、まじめな女の子。
だが、ストレートすぎるが故、分析癖は他の部隊員の追随を許さず、
セリフの量も膨大になりがち。
カンフーは、本当に実直、まじめで、まっすぐな技を撃つと、
部隊長である、黎 麗々(レイ レイレイ)からも評価をもらっている。
服装は、中国服に、しちぶだけのパンツをはいている。
とても、さっぱりしていて、ボーイッシュ。
その為なのか、あまり感情を表立って表情を変えることは少なく、
空気読まず膨大な言葉を出てしまうのが、たまにキズ。
だが、それを含めて皆から慕われている。
趣味は、ボーイッシュとはかけ離れている、女の子らしいピアス集め。
現在は、九龍城国の「紅龍省」に住んでいる。
マンション「紅木楼」の101号室に住んでいる。
钱 狱
五爪龍会の副会長。
20代前半の女性で、髪は青色でボブぐらいの長さ。
美味しいご飯を作るのがとても得意。