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チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
カオルンセングォ毒ガスパラダイス編
120/178

4-40 鎖が絡む、闇。 その2


 狂気が、声をあげ始めた。


「うひひひひひぃぃいぃいいいい!! どうしたぁ? 銀龍ぅぅぅぅぅうううううううううう!!」


「やっこさん、スゲェぜ……。的確すぎるぜ」


 後ろにいる、イェチンも手を水平に上げて、肩をすくめる。


「アイヨー、こっちが断然不利よー」


「不利じゃねぇ!! 全員突撃だぜ!!」


「分かったわ!! ターレン!!」


 四人は同時に走り始める。


 相手の姿がうっすらと輪郭が見えてきた。


 分銅が、銀龍の頬をかすめる。


「リームォ!!」


「きこぉ、ゆにゅっとぉ、ぜんきゃいー!!」


 リームォが超速で、前衛の二人を突き抜けていく。


「やるなぁぁあああああ!! 忍法毒ガス手裏剣!!」


 服部半蔵は鎌を腰にぶら下げたまま、後ろへピョンピョン跳躍し、手裏剣を二つほど投げつける。


 リームォは手裏剣を全て胡蝶刀ではじき返した。


 手裏剣が地面に落ちると同時に、イェチンは手裏剣を地面の側面にある排気ダクトへ足で蹴り飛ばし放り込む。


 毒ガスが無効になる。


「ひゃぁあああああ!!! さすがだぁああああ!! ぎんりゅうう!!」


 リームォが胡蝶刀で、刃の切っ先を服部半蔵へ横に振るう。


 服部半蔵は、鎌を持ったまま、絡みつかないようにコロコロと後転し、3メーター逃げる。


 銀龍は「速い!!」と心の中で思いを噛みしめ、眉をしかめる。


「ターレン、しゃがんで!!」


 後続のイェチンの声が聞こえた瞬間、銀龍とシェンリュは前のめりになり、地面へ伏す。


 後続のイェチンは、ナイフを二本投げる。


 一本の軌道は、服部半蔵へ。


 もう一本は、天井へ。


 不確定要素だが、天井に向かったナイフは跳ね返り、毒ガスコマンダーへ。


 服部半蔵は身を屈まさせたまま、クナイを二本取り出し、直線状のナイフを落とし、天井から跳ね返るナイフを切り落とした。


「うひ、うひひひひひひぃいいいい!! 忍法……毒ガスクナイ!!」


「アイヨー、ダメだったよー」


「ターレン、再び行くよ!!」


「おうよ!!」


 銀龍とシェンリュは、同時に駆け出す。


 リームォは、超速で斬撃を繰り返す。


 クナイと胡蝶刀が火花を出し合っている。


 お互いに一歩も譲らない斬撃が繰り返される。


「うひゃああああああ!! リームォたん、おじさんとあそぼぉぉぉぉぉぉおおおおおよおおおおおおおお!!」


 リームォが速くなればなるほど、相手のスピードもお互いに凌駕していく。


「ききょーゆにっちょー、もっとぜんきゃいー!!」


 三十回以上、超速での斬撃が繰り返された瞬間、リームォは高速で服部半蔵の股下を潜った。


「足止め、結構!!」


 シェンリュよりも若干リードしていた銀龍が、服部半蔵とまともに向かい合った。


 銀龍は、相手と対峙した瞬間に、右手で相手の顔面目掛けて掌底を放つ。


 服部半蔵は、驚異的な身体スピードでのけ反り、銀龍の鋭い突きをかわす。


 そして、クナイを銀龍の左わき腹めがけて刺そうとするが、銀龍は、あらかじめ拾い上げていたイェチンのナイフで刃を食い止めた。


「さすがだぁあああああ!! ぎんりゅううううううううううううう!!!」


「うっせーよ、テメェ……。ゴキブリらしく黙ってくんねーかよぉ……」


 銀龍は、左側のナイフでどかそうとする。


 お互いに刃を押し返そうとするが、お互いに2メーターほど間合いを仕切りなおした。


「リームォ!!」


 股下を潜り抜けていたリームォは、服部半蔵の後頭部目掛け胡蝶刀を振るう。


 だが、服部半蔵はそのままコロコロと前転を繰り返し、銀龍に目掛けてクナイを投げる。


「死ねぇぇえええええええ!!!」


「ターレン!!」と、そのクナイを八斬双刀で上へと払う。


 シェンリュはそのまま前進し、相手と対峙する。


 そのまま右手で縦、左手で横へと斬撃を放つ。


 服部半蔵は、クナイ一本だけで、シェンリュの斬撃をかわす。


 光速回転しているパーティカルロイド粒子のクナイと刃がかち合い、薄青い粒子が華模様を描き散る。


「うひひひひひ!!! いい、いいんだよぉぉおおおおお!!」と、身体を奥から震わせていた。


 実力は均衡している。


 二人は1メーターほど距離を離した。


 敵の後方にいるリームォが胡蝶刀を振ろうとした瞬間、服部半蔵はすぐに転がり、両足でリームォに蹴りを放つ。


 直撃することはなかったが、リームォは腕を交差し、何とか攻撃を免れるが、10メーターほど真後ろへ吹っ飛んだ。


 シェンリュは八斬双刀を鞘にしまって、深呼吸をさせる。


「気功ユニット全開!! パーティカルロイドフルパワー!!」


 彼女の身体全身に幾何学模様が赤くなり走る。


「通过攻击返回强大攻击的手牌(強力な攻撃を攻撃で返す黐手)!!」


 全ての演算が、予測演算へと切り替わる。


 シェンリュのスマートコンタクトレンズが、全ての情報をゆっくりと伝えてくれるのだ。


 服部半蔵がシェンリュに左でクナイをつく。


 シェンリュはスローモーションに見える直線状の攻撃を、左腕を絡ませて外へ払う。


 毒ガスコマンダーの左腕が腰へとのびる。


 鎖鎌に手をかけ、驚異的なスピードで横へ薙ぐ。


 超高速で計算された動きは、シェンリュにとっては容易い。


 シェンリュは、鎌の切っ先が伸びる手前、裏拳ではじく。


 弾いた腕に鎖を巻き付けようとする。


 シェンリュはしなやかにその腕を引っ込める。


 鎖はらせん状に宙を描き、空ぶる。


 シェンリュは、一歩踏み出し、方拳をつくりあげるとバリアが発生する。


 服部半蔵はせまる方拳に腕を交差させると同時に、ハニカム構造の薄青いバリアが発生する。


 シェンリュのバリアは、服部半蔵のバリアを六角形状のバリアを飛散させ、拳が入る。


 毒ガスコマンダーは、真後ろへ吹っ飛んだ。


「うひゃあああああああああああ!!!!! たのしいなぁああぁああああああ!!」


 声が遠のいて、声は聞こえなくなった。


 軽く地響きがした。


 壁に激突したのだろう。


 銀龍は、リームォの安否を確認。


「リームォ、大丈夫か!?」


「だいじょうびゅ……。てきゅがとおりしゅぎゅて、かびょにぶちゅきゃっちゃ……」


「今から急いで、そっちへ行く!!」


 銀龍は、金龍に回線を繋ぐ。


「金龍、そっち側は!!!」


「あのね、ヨウさんが私たちの命令を聞いていなかったい。それと、こっちはゾンビであふれかえっているわ」


「あん? どういうことだ?」


「私の忠告を聞かずに、パワードスーツを装着させたままの兵士をそのまま投入したみたい」


「それはよぉ、おかしすぎるぜぇ?」


「ちょっと待って、AI解析しながらアクセスしてみるわ……。なるほどね……」


「何がわかった?」


「ヨウさんはね、彼らに調査を依頼しているわ」


「何の調査だ?」


「ドラゴンマフィアの調査を指示していた……」


「調査だぁ? ドラゴンマフィアと絡みがあるっていうことか? 大佐がよぉ……」


「決定づけるのは早いわ……」


「あいつは、何を企んでいる?」


「さあ? とりあえず、銀龍、毒ガスコマンダーは?」


「ああ、オレの目の前で気絶している……」


「そう、お手柄ね?」


 銀龍は、黒装束を着たまま、大の字で仰向けになっている服部半蔵を見下ろした。


 落ちている鎖鎌を銀龍は後ろ方向へ蹴り飛ばした。


 鎖鎌は地面をスルリと転がって行った。


「リームォ……ガスマスクを外せ。」


 リームォは、ゆっくりとガスマスクを外す。


 瞳を開けたまま、舌を出していた。


 瞳はカメレオンみたいに丸くなっている。


 だが、その瞳がぐるりと動いた。


「ぎんりゅうううううううううう!!! 殺す、殺して、殺して、殺して、殺してやるぅぅううううううう!!! 」


「テメェ!!」と、銀龍は掌底を相手の顔面、鼻へと押し付けた。


 相手は鼻から血を出して、後頭部を地面へ打って気絶した。


「ねぇ、ターレン? あの鎖鎌、おかしくない?」


「あん?」と、銀龍は耳を澄ませた。


 シューっと、ガスの音が鎖鎌からしている。


 銀龍は、再び気絶している服部半蔵に視線を落とした。


「狂っていやがらぁ!! テメェ自身もタダじゃねぇはずじゃねぇのかぁ? テメェら、とりあえずオレについてこい!!」


 銀龍は、あらかじめヨウからもらった地図情報を頼りに排気ダクトファンがある場所を辿っていく。


 メンバー全員が、銀龍の背中を追っていく。


 どう進んだのか分からなかったが、気づけば地図外の、金庫みたいな部屋を見つけた。


「んでぇ、これよぉ? 随分と厳重管理されているじゃねーか……」


「なにこれ? 地図にもないところね……」


「シェンリュ、この金庫みてぇの壊せるか?」


「うーん、分かんないけど、やってみるわ」


 八斬双刀は、レイレイの七星剣みたいにそんなに長い刃ではない。


 幾度か円形に沿って穴を開けてみる。


 リームォも協力してくれて、何とか銀龍が屈んで踏み込める程度の穴を開けることができた。


 イェチンとリームォは外で警戒してもらっている。


「ターレン、外で待ってるよー……」


「りーむぉ、けいかいしゅりゅ……」


「おう、頼むぜ……」と、銀龍はしゃがみ込みながら扉を潜る。


「ターレン、なんかさ、あれじゃない? 銀行強盗みたいじゃない?」


 シェンリュは、四つん這いになりながら、銀龍のスマートなお尻を見ながら潜った。


「ふう、こりゃ、開けるのにも苦労するわ……」


 潜ってみて初めて分かったことだが、扉の厚さは2メーターほどあったのだ。


「うわ、これは!!」


 扉を潜ると、そこら中に遠心分離機や、2メーターほどのろ過装置などがいっぱいあった。


「おいおい、これはよぉ……。どう考えても毒ガス製造機だぜぇ……。


 九龍城国内ではよぉ、毒ガス兵器なんて作るようなことは聞いたことないぜぇ。


 シェンリュ、とりあえず全部一切触れるな」


「わ、分かったわ、ターレン」


 蒸留水装置、ろ過装置、遠心分離機、一通りの装置が揃っている。


 金龍から連絡が入る。


「こっちも何とか終わったわ。それで、どうする? ヨウ大佐に連絡するの?」


「いや、しねぇ。ヨウが何を考えているのかわからねぇし、ヨウの狙いがハッキリしない限りは、この件は伏せておくぜ」


「正しい判断ね。相手の出方を見た方が良いかもしれないけれど……。銀龍の色々な装置を共有情報で見ていると、多分相当な量の毒ガスがあるはずよ」


「こいつぁやべぇな。久々にチャイナガールズ警報を出さざるをえねーかもしれねぇ……」


「とにかく、闇市場で合流しましょう?」


「ああ、分かった」


 銀龍とシェンリュは扉を潜り抜けた。


 即座にイェチンが銀龍に話しかける。


「ターレン、どうだったよ?」


「大量の化学兵器を開発していた。しかもよぉ、うちの国は毒ガスなんて作っちゃいねぇ。出資は、黒龍会ぐらいしかねぇしな……」


「アイヨー、毒ガスそんなに大量に使うとしたら、国をマヒさせるぐらいしか思いつかないよー……」


「そうだぜ、それしかねぇ。黒龍会は相当本気だぜぇ……」


 四人は、闇の中、市場ヘ向けて歩いて行った。



陶 深緑(深緑) トウ シェンリュ



年齢17才


女性


身長168センチ


髪は茶色 ショートボブヘアー 九龍城国の辺りから左前髪を三つ編みにしている。


肌の色 黄色


瞳 深緑


人種 九龍城国(碧龍省)


利き腕 右手


クンフースタイル 詠春拳


得意技 通过攻击返回强大攻击的手牌(強力な攻撃を攻撃で返す黐手)!!


得意武器 八斬双刀(二刀流)広場の青龍刀を短くしたような兵器。ちょっとノコギリっぽい。


一人称 アタイ


誕生日 NAY545年7月21日


所属部隊 玄武


BWH 体重 77/49/68 50キログラム




中国服にパンツスタイル。


着やせするタイプ。


守り的なキャラクターなのに、性格そのものは負けず嫌い。


自信を「アタイ」と呼んだりする。


強くなることに純真で真っ直ぐ過ぎるのが、たまにキズで、性格もドストレートなため、猪突猛進。


シュェリーも、「交渉事には最も不向きな性格」と言われている。


極めて真面目であるが、まじめさが行き過ぎて、冗談をも真面目に受け止めて勝手に突撃することも。


その為、かなり猪突猛進なので、対戦相手にはあっさり負けてしまうことがあるが、


それでも自身のクンフーを極めようと邁進している。


銅龍省の「猫猫喫茶」というメイドカフェ兼猫カフェで働いている。


ハミルトン綾が、九龍城国内でメイドカフェをプロデュースするとのことで、銀龍に「テメェにも勲章を


あげらぁ!!」と言われて来てみたら、メイドカフェの手伝いをするということとなった。


その性格が幸いなのか、皆の為にあえて防御を行うため、


色々なメンバーから不用品を貰ったり、一緒にご飯に行ったりする。


実は猫好き。だが、住んでいるアパートが猫禁止のため、飼えない。






通过攻击返回强大攻击的手牌(強力な攻撃を攻撃で返す黐手)!!について。


シェンリュの場合は、気功ユニットとパーティカルロイドを全てフル活用することで、


ありとあらゆる攻撃を、視覚化、人間の速度を超越するくらいの超高負荷の情報を伝えることにより、


ある程度、攻撃方法を予測することが可能。


だが、その力は高負荷状態になる為、全身に渡る気学模様も赤くなり、他のキャラクターが行っても反応が追い付かない状態になる。


パーソナルコンピューターで言うなれば、高負荷状態、クロックアップのイメージ。



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