4-37 レッドバニーガールズVS毒ガスコマンダー鷺沼 その1
-------N.A.Y.561年 7月3日 21時00分---------
ヨウは、自信が計画した服部半蔵鷺沼捕獲作戦が失敗した今、最終手段であるレッドバニーガールズを上海へと呼んだ。
応援要請をしてから、もののわずか30分程度で上海へと到着したという連絡を貰った。
大雨が降ってきたので、ヨウは仮設テントの中で待機している。
仮設テントの中央には粒子灯がともされていて、外のネオンの光りよりも明るい。
中国国防部からは服部半蔵を見かけたという情報すらなく、ヨウは顔に出してはいないが、非常に焦っていた。
テントの隙間から、日本人形のような長く黒い髪をしている女性が入ってきた。
その女性は、ウサギ耳のカチューシャをしている。
粒子灯に照らされて、なお白く生える若い肌。
彼女は、ヨウの傍へ到着するなり、大きな黒い瞳がヨウを見上げる。
「中国国防部のヨウ大佐ですね?」
バニーガール姿の女性に、中国話で話しかけられたのでヨウは少し戸惑った。
「初めまして、中国国防部のヨウと言います」
「こちらこそよろしくお願いします。私の名前はヨノイチサラと申します。今作戦のパイプ役が主な仕事です」
「現在の状況はどうなのでしょうか?」
「現在、我々は上海上空から落下傘し、中水道へ侵入しました。
上海の地下道を逃げ回っている、毒ガスコマンダーですが、彼の弱点を知る者が、我が部隊にいます。
中水道の排水の件はありがとうございます」
「いえ、こちらもそれぐらいしなければ、奴を生け捕りすることは出来ない。それで、彼の弱点は?」
「彼の弱点はすぐさま拡散されてしまう可能性があるので、ここでは口外することは出来ませんが、我が部隊のアスペルギルス=フミガータスという者が知っています」
「分かりました。さすが、速いですね、レッドバニーガールズ」
絹のように艶やかな髪が揺れる。
「ありがとうございます。ですが、我々を侮って貰っては困ります。
乱立している傭兵の中でも我々が最もバランスよく優れていると自負しています」
彼女の黒い瞳が、ウサギのように真っ赤になっている。
「私達は、私達の仕事をするまでです。そして、あなた方から頂いている報酬分以上の働きをしなければ、傭兵としての存在意義など意味がありません……」
「分かりました、あなた達はとにかく毒ガスコマンダーを追ってください。我々はなるべく一般人の被害を出さないように、交通整理などをします。
それと、現在大雨ですが、中水道は排水、せき止めするようには既に行っています。
よろしく頼みましたよ!! ヨノイチサラさん!!」
「了解です、レッドバニーガールズは一度契約したら、契約解除まであなた達を裏切ることはありません。ですが、ウサギの前歯は非常に鋭く、人の指など容易くかじれます。
ないとは思いますが、あなた達が裏切り行為を行った瞬間、命の保証はありません」
「私はこれでも、国に仕えている身です。あなた達のうわさも嫌というほど聞いています。あの十字聖教騎士団すら撒いたあなた達だ。
そんな気など起こすこともできません」
「お互いに、良きパートナーでいきましょう、ヨウ大佐殿……」と、サラは全部の言葉を吐き出したら、OD色の弾薬が入っている鋼鉄製の箱に腰を下ろした。
サラの瞳が薄青くなる。
バニーマムと通信しているのだ。
「マム、状況はどうでしょうか?」
「サラ、あなたの言うとおり、この地下水路の地図が役にたったわ!!」
「かなり追いつめているみたいですね……」
「でも、さすがに最新式のスマートコンタクトレンズでも、動きに対応するのがようやくなのよね!!」
「マムの体格では、かなり狭苦しいでしょうが、あなたは指揮をしていればいいのです」
バニーマムの話の途中で、銃撃音が入る。
「全く、小銃ぶっぱなすだけでも一苦労よ!!」
「とにかく、彼を追い詰めていってください。それと、国防部側の兵士たちは半数ほどやられました。
ハッキングを利用しての攻撃は特に注意をしてください」
「分かったわよ、ターゲットが逃げたわ、サラ!!」
「B-21地区から、A-31地区まで移動しました。マム、そのまま情報を送るので、そちらへ向かってください」
「分かったわ」
~キャラクター紹介~
与野弌紗良
年齢25才
女性
身長160センチ
髪 黒色 長髪
肌の色 色白
瞳 黒色
人種 日本人
所属 後方支援
利き腕 右手
後方支援部隊担当 チームリーダー
戦闘時以外は、
メガネをかけていて、整備担当。
非常に冷静沈着で、マムとはよく事前ブリーフィングを行っている。
ネットワークを得意としており、あらゆる手でハッキングをかけ、最高のプロパガンダを送りつけたり、
ハッキングをかけ、パワードスーツを乗っ取り、自在に操ったりすることが出来る。
戦闘時には、スマートゴーグルをかけ、視覚と、スマートゴーグル内に表示される情報を解析しながら動ける。
特殊なドウランも持っていて、電極と組み合わせて使用すると、自身が半透明になる光学迷彩を持っている。
トリプルタスクを利用し、仲間の状態も逐一管理している。
日本外人部隊少女工科学校に部隊所属、元セーラーガールズ。
セーラーガールズにいたときに、合気道を行い、その魅力にとりつかれ、有段者となった。