4-32 襲来、黒龍会!! その1
黒龍会は、比較的新しい会ですが、勢いは凄いという設定です。
なので、雑魚キャラの数もメチャクチャいます。ww
-------N.A.Y.562年 8月17日 ルェイジー達と同時刻。---------
レイレイは、暑苦しくて起きた。
目の前には下着姿の女性が、純白のシーツの上に横たわっている。
金龍と同じぐらいにスタイル抜群の女性だ。
暗闇の中だというのに、その体躯が白く透き通っていて、ブラジャーの肩紐が緩んでいる。
艶やかな青い色の短い髪が、パーティカルロイド粒子を通した時計の光が彼女の髪を照らしているのだ。
レイレイは目をこすった。
ずっと胸の谷間に埋もれていたからだ。
シャオイェンは別室で寝ている。
ここは、五爪龍会のアジトだ。
地下だというのに不快ではなく、むしろ外で生活しているときとあまり変わらないので不思議だ。
ありとあらゆる施設が揃っているので、自然と生活できる。
レイレイは、ピンク色のブラジャーに、ブラジャーと同色のパンティのままリビングへと向かった。
頭の左右にお団子を作っていないので、くせっ毛が背中まで流れている。
「あーあ、やっぱり髪長すぎかなー……」と、髪に指を通す。
指に引っかかりながら、髪を流した。
リビングには、テーブルが一つあって、テーブルの上にはバラが飾ってある。
――その時だ。
「ぐほう!!」と、玄関先に飾ってある花瓶が割れる音が響く。
レイレイは、リビングから出入り口の方へ顔を向けた。
暗がりの中、体格の良い大男が玄関の所で横たわっていた。
たまたま打ちどころが悪かったのか、仰向けになって気絶している。
レイレイのスマートコンタクトレンズが、夜間モードに切り替わる。
右目に眼帯をしていて、ちょび髭のおじさんだった。
レイレイは叫ぶ。
「苏 蔚さん!!」と、傍に寄ろうとしたが、開いたままの扉から中国服を着ている男が一人入ってきた。
大男を踏みつぶしながら、普通に入ってくる。
色は薄緑色だが、中国服に黒龍会のバッヂが胸元についているのも確認できた。
更に、その男の顔もハッキリとわかった。
男の顔は、歯をギラギラに見せていて、ひどく歪んでいて笑ってるのだ。
見るからに性根が悪そうだった。
「よう、おめーさんたちよお、黒龍会の齐 一铭様のご登場だぜ!!」
レイレイは、腰を落とし、螳螂拳のかまえをさせる。
「黒龍会!! 襲撃ね!!」
「おうおう、そうだぜ、裏も表もこの国を丸々転覆させてやる!!」
レイレイは、眉毛を吊り上げて鼻で笑う。
「ふんっ、面白い冗談ね!!」
後ろからぞろぞろと黒服達がウェイの後ろに何人も入ってくる。
レイレイが寝ていた隣の部屋からシャオイェンがスポーツブラ姿のまま出てくる。
「なんでしょうか、うるさいですね?」
状況を察知したシャオイェンは、すぐさまレイレイと同じように構えた。
「なるほど、面白いですね。生身での戦闘は久々です!!」
「おまえら、ざまーねーぜ!! なーはははははは!! チャイナガールズだろぉ? テメェら。
バトルドレスがなけりゃ、単なるガキの女じゃねーかよ!!!」
レイレイは、頭を前に傾け笑う。
「そお? 血の味を嫌というほど、味合わせてやろうかしら?」
「うるせぇよ、ガキ!! 貧乳!!」
レイレイは、口をへの字にさせて、その言葉に思わず反応した。
「うっさいわね!! 私はシャオイェンよりも7センチも上よ!!」
シャオイェンは構えを崩さないまま、無表情だ。
「なるほど、その通りですが、胸が大きい人は肩が凝るといいます。私は肩が凝らないので前向きに考えています」
天井にある粒子灯がついた。
ここは、リビングだが、通路左手には床屋さんのすわる椅子が三つに奥へと並んでいる。
すぐ隣には金髪オールバックで、下品な風体の男のイーミンが立っている。
後ろには五人以上の黒いスーツ姿の男たちが並んでいる。
シャオイェンは顔を後ろへ向けた。
五爪龍会の会長が、突っ伏していたのだ。
その姿は、先ほど見た赤い中国服に、エプロンみたいなものを着用している。
「ほほ、来客じゃのう……」
レイレイはシャオイェンに指示をする。
「シャオイェン、龚 勇志会長をお守りして!!」
老人は手を後ろに組んだまま、優雅に笑っていた。
「ほっほっほっほ……わしはまだまだ動ける。シャオイェン殿、感謝するぞい……」
「ですが、ヨンジー様……」
「ほほ、わしはここで床屋をやっておる。黒龍会のお前さんたちも知ってるよのう。
客人をもてなしたいところじゃが、それよりもお前さんたちを怖がらしてしまうかもしれんかのう」
「うっせーよ、クソジジィ!!」
イーミンと言われる男は、中国服からスタンガンを右手に、腰ベルトにぶら下がっている白いトンファーを左手に一個ずつ手に持つ。
「てめーら、やっちまいな!!」と、黒服をかき分けて奥の通路へと逃げた。
レイレイは、腰にてをあてて、ため息をついた。
「はー、ザコキャラらしいセリフね?」
イーミンの後ろにいた黒服達が、一斉に拳銃を構える。
「シャオイェン!!」
レイレイとシャオイェンはすぐさまテーブルに近づく。
レイレイは、テーブルのうえの花瓶をどけて、背中から転がり、テーブル下まで鮮やかにしゃがみ込む。
花瓶は地面に落下し、弾丸と一緒に粉々に砕け散った。
シャオイェンはレイレイの隣へ。
二人の細い足元を、弾丸がいくつか横切る。
全体重をかけて同時にテーブルを一気に倒した。
鋼鉄製のテーブルは、完全に盾となり、二人を守る。
笑顔のまま、ヨンジーはハサミをエプロンから両手で取り出す。
「ほほ、あくまで拳銃は拳銃じゃ」と、白いエプロンの残像を残し、黒服のありとあらゆる服を一気に切り裂く。
黒服はあっという間に丸裸になった。
レイレイは、横に倒したテーブルからそっと顔を出す。
「なに、あのお爺さん。滅茶苦茶強いんだけど?」
黒服達が戸惑っている間、ヨンジーに銃口が五つ向けられる。
ヨンジーは、鋏を投げると、黒服のサングラスを突き抜け、右目に鋭利な鋏の切っ先がめり込んだ。
「ぐぎゃああああああ!!」と、黒服がひるんだ瞬間、老人は驚異的な速度で、今度はもう一人の右腕を鋏でつかみ、手首を一気にその腕を下げる。
銃を持っている男の右腕から一度に鮮血があふれ出て、左手でおさえる。
その鋏は相手の鳩尾に一刺しすると、黒服の体躯が地面へ落ちた。
ユーは、やっと起きたのか、「うるさいわねー、おねーさんもう少し寝たいのよ」と、あくびをしながら扉を開けて出てくる。
完全に近接状態で、黒服はユーに銃口を向ける。
ユーは笑顔のまま、黒服の顔面に向けて鋭い爪で肉ごと顔面を縦に切り裂く。
「ぎゃあああああ!!」
黒服は顔を抑えようとするが、ユーはすぐさま黒服の拳銃を奪い去り、トリガーを引く。
弾丸は黒服の頭を貫通し、黒服は倒れた。
ユーの真横にいた男は、黒い下着姿の女性に拳銃をすぐさま向ける。
瞬間、老人が直立不動のまま通り過ぎると、男の右手がもげた。
ヨンジーはただ通り過ぎただけでなく、右手には真っ赤に染まった櫛が握られている。
一瞬のうちにして櫛でのこぎりのように男の右手を切ったのだ。
「がああああああああ!!」と、男は左手で腕を抑えようとするが、弾丸の軌道は男の頭蓋骨を突き抜け、真後ろへ倒れた。
黒服の後ろにある鏡に穴が開き、ひび割れた。
「あーあ、結構鏡って高いのよ?」
ユーは、左側のリビング方面へと向いた。
「ねえ、レイレイちゃん、ちょっと小麦粉を取ってきて? 砂糖でも構わないわ? それと中華鍋も!!」
レイレイは訝しげな顔をさせた。
こんなところで料理するわけでもないのに、なぜそんなものが必要なのだろうか?
「はやく!! いいから小麦粉をこっちへ!!」
レイレイはコンロの真横に置いてあるキッチンへと視線を運ぶ。
粒子コンロの上には中華鍋が置いてある。
角っこには、10キログラムの小麦粉があるのだ。
結構重そうだ。
レイレイはピンク色のブラジャーとパンティ姿のまま、ホフクをする。
銀龍から教わったことがあるのだが、身を低くすればするほど弾丸は当たりにくい。
そして、キッチンへとようやく到着した。
・ユーの中華鍋について。
ユーが持っている中華鍋は、料理用兼武器である。
今回登場した中華鍋は、クンフー中華鍋と呼ばれている物だ。
製作しているのは、シェンイン重工業。
粒子コンロを必要としない、世界初、鍋が熱くなるようになっている。
取っ手の部分にはパーティカルロイドシェルが組み込まれていて、スイッチを押すことで食材を調理することが可能である。
ちなみに、劉龍飯店の劉さんも実はシェンイン重工業の中華鍋を愛用している。