4-26 ルェイジーちゃんの暴走。
ルェイジーが鳴き始めた。
「アイヤー!! ああああああああああああ!!!! ショーキチ、食べたかったアルネーーーーーーーーーーー!!!!」
気功ユニットとパーティカルロイド粒子が混ざり合い、今まで見たことないようなエネルギー反応が起きる。
黒服がユーに銃口を向ける。
三回トリガーを引くが、ユーは中華鍋で弾丸をはじき、中華包丁の柄で顎を砕き、中華鍋を男の顔面へと横に振り切る。
黒服のサングラスが砕け散り、顔面に食い込む。
そして、メインストリートに置いてあった、テーブルと椅子に突っ込んだ。
仰向けに倒れた黒服に向かって、パンツスタイルの青い中国服を着ている可憐な少女が、黒服に顔面に両足をめり込ませる。
その女の子は両手にナイフを持っていた。
ユーとその女子と視線が合うと、その女の子はひらりと跳躍し、他の所に加勢しに行く。
「あら、どこの女の子かは分からないけれど、可愛いじゃない!! おねーさん感心しちゃう!!」
戦闘していた、チンヨウが銀龍の傍へとやってくる。
「む、どういうことだ? ルェイジー君に何が起きている?」
「チンヨウの旦那ぁ、ルェイジーのやつぁ、相当やべーぜぇ? 食い物の恨みが一億倍になって帰ってくるぞ……」
金龍が捕捉する。
「私達のバリア技術って、背中のタトゥーが全てなのよ。
気功ユニットとパーティカルロイド粒子の貯える量が多くてかなりバランスいいのよね。
だけど、ルェイジーちゃんみたいな子は信じる力が強いから、
気功の量とパーティカルロイドのバランスが悪くなると……暴走するわ!!」
「テメェら、とにかく、こっからなるべく離れろや!!」
銀龍と金龍、ヤーイー、リームォは気功ユニットを全開にして、既に闇市場の外壁上部へ逃げている。
チンヨウにユー、チャオも負けじと、とにかく急いで闇市場から脱出を試みる。
そして、ルェイジーの身体の周辺からパーティカルロイドのバリアと気功エネルギーのハイブリッドができあがる。
青いバリアが時折出力されたり、止まったりしている。
そのたびに、ルェイジーの周辺にある木製の椅子が、バリアに沿って切断されていく。
ファリンとイェチンも情報を聞いてか、銀龍と合流して、とりあえず逃げていた。
全員は、市場を見渡せる大きな階段を登り終え、息を切らした。
周辺には黒服どもはいない。
だが、遠くの方で、黒服達が五人ほど吹っ飛んでいくのはよく見えた。
銀龍の横にいるユーも絶句した。
「凄まじいパワーね。おねーさん、ぞくぞくしちゃう……」
ユーの横にいるイェチンも言葉を漏らした。
「アイヨー、ルェイジーああなったら、どうしようもないよー」
「ルェイジーの良い所でもあり、悪いところでもあるぜぇ……ったくよぉ」
黒服たちは泣いているルェイジーに向けて発砲する。
弾丸は虚しく次々と滑っていく。
「食べ物の恨み、知るアルネーーーーーーーー!!」
ルェイジーは涙をこぼしながら、2メータほど跳躍。
チャイナドレスの裾が完全にめくりあがり、お尻のクマさんパンティがのぞく。
瞬間、軽くミサイルが撃ち込まれるような衝撃が地面に走る。
ありとあらゆる、木製のテーブルや椅子が粉々になり、黒服10人ほどが完全に吹っ飛ぶ。
「アイヤーーーーーーー!!! お、な、か、空いた、アルネーーーーーーーーー!!!」
あまりの叫び声に、丸々としている大男が何事かと気づき、メインストリートでルェイジーと対峙した。
両腕には布を巻き付けていて、身体もただの巨漢ではない。
シャオディンだ。
「な、何がおきているダス!! あれは、銀龍の手下ダスか!!」
目の前で、バリアを放ちながら、紫色のポニーテールの女の子がゆっくりと歩いてくる。
「うわーーーーーーーーーん、アルネーーーーーーーー!!!」
彼女は泣きながら、ありとあらゆる物体を壊していく。
流石の、シャオディンも冷や汗をかいた。
「パーティカルロイド、フルパワーアルネーーーーーーーーーー!!!」
ルェイジーは突如、目の前にある大男に向けて、拳を握る。
周辺を囲っているリンゴやバナナが砕け散る。
建物のコンクリートもルェイジーのバリアによって、触れるだけで粉々に砕ける。
チャオも銀龍たちの傍で口を開けたままだ。
「これは、やばいな。なんであのバリアだけでコンクリートが次々と砕けていくんだよ……」
金龍はチャオを一瞥する。
「バランスが崩れるとね、彼女の中の気功ユニットが全開になって、パーティカルロイドのバリアの切り替えが滅茶苦茶になるのよ。
つまり、今の彼女の状態だとバリアのオンとオフをひたすら繰り返しているのよ。
彼女に触れようとすれば、バリアのせいであっという間に腕が切れるわよ」
「うげぇ、えげつないぜ」と、チャオは口をへの字に曲げた。
地面にある石畳の破片も浮き上がり、彼女のチャイナドレスの裾を巻き上げていく。
「か、神の所業ダスか? だが、おれも一人の黒龍会のもんダス、ボスの言うことだったらなにがなんでも
銀龍の手下を倒すダス!!」
銀龍の後ろにいたファリンが指をさす。
「あ!!! ターレン、あれ、あいつだよ!! 例の事件の時に戦ったあいつだよ!!」
銀龍はファリンの言われ通りに、視線を向ける。
瞳が薄青くなり、スマートコンタクトレンズにより巨漢の男に拡大される。
「あの体格、間違えねぇ。あいつ、黒龍会所属だったのかよ……しかし、まあよくやるぜぇ。
忠実なのは構わねぇが、無謀としか言いようがねぇ……」
シャオディは、両腕に巻いている包帯を外した。
大男の両腕には炎のような柄のタトゥーが入っている。
「これを使うしかないダスね!! バリアを融合させて打ち消すダス!! パーティカルロイド起動ダス!!」
銀龍はそれを見逃さなかった。
金龍は銀龍に声をかけた。
「銀龍、アレ綾ちゃんと一緒の時だったわよね」
「ああ、裏九龍城国でもオレ達のハイブリッドタトゥーが使われているのかよぉ。
一体誰がアレを売ってんだ?」
泣きながら、ゆっくりとルェイジーが歩いてくる。
「わーーーーーーーん、ご飯欲しいアルネーーーーーーーーー!!!!」
一歩ふむたびに、周辺にある木製のテーブルや椅子が巻き上げられ、砕ける。
ネオンの看板もルェイジーのバリアに触れるたびに粉々に砕け、落ちたりする。
シャオディは、ルェイジーに両方の拳を叩きこもうとして、拳をバリアへ入れる。
シャオディの腕のみのバリアは相殺しあい、ルェイジーの胸にポヨンと当たった。
一瞬にして、全ての時が止まった。
銀龍は腰ベルトにぶら下げているポーチから中国キセルを取り出し、くわえた。
「あ……真の地雷踏んだなこりゃ……」
ルェイジーのバリアが停まり、ルェイジーは胸元へと視線を下ろした。
両拳が、むにゅりと自身の胸に当たっているのだ。
「アイヤー……」
「こ、ここ、ここ、これはダスね……。不可抗力ダス!!」
「気功ユニット全開、アルネー!!」
「い、いや、ダスからダスからーーーーーー!!」
「問答っ、無用っ、アルネッ!!」
ルェイジーは鋼鉄よりも固く両拳をつくる。
そして、急激にしゃがみ込み、跳躍し目の前の大男の腹に向けて両足でキックを放つ。
「ド変態、アルネーーーーーーーーーーーーー!!」
ルェイジーの両足は、シャオディの腹へと直撃し、吹っ飛ぶ。
コンクリート製の壁すら突き抜けて、大男は転がっていく。
勢いはとどまる気配がなく、看板だろうが、椅子、テーブルを砕きながら突き進んでいく。
教会の内部の女神像を砕き、様々なものを巻き込んでいって、闇市場の外壁の階段下へと激突し、ようやくその衝撃は止まった。
「うわー、肉体残っているといいんだけどな……」と、銀龍はキセルをくわえたまま話す。
チンヨウは一言だけ、残した。
「さすが、神童と言われていただけある」
「まじか、裏九龍城国では神童かよ!! まあ、わかるけどな……」
「さてと、ルェイジーにしっかり飯を食わせにいくけぇ……」
チンヨウはユーに話しかけた。
「ユーさん、あなたの出番だな……」
ユーは探検服の袖をまくった。
「おねーさん、戦うコックだからおまかせあれえ!!」
銀龍の瞳が薄青くなる。
「おう、こっちは大丈夫でぇ、そっちは大丈夫か、シャオイェン……。なに? 黒龍会にさらわれた? だが、どうしてだ?」
オープンチャンネルなので、金龍も聞いていた。
「でも、メイヨウちゃんがさらわれるのって……なんで?」
ユーとチンヨウは首を傾げる。
「メイヨウとは……」
ヤーイーは彼女の事を説明する。
「裏九龍城国にいた、元スラムの子よ。また、何でさらっていったの? 黒龍会って、何なの?」
李 瑞季(瑞季) (リー ルェイジー)
年齢14才
女性
身長147センチ
髪は紫色 ポニーテール
肌の色 黄色
瞳 黒
人種 中国(河北省塩山県)
利き腕 右利き
クンフースタイル 劈掛拳(八極拳ベース)+空腹拳
得意技① 二の打ち要らずの拳 两个没有拳头的战斗 Liǎng gè méiyǒu quántóu de zhàndòu
得意技② 地面をも揺るがす猛起硬落摇动地面猛起硬落 猛烈に飛び上がり、激しい勢いで着地する。
得意技③ 猛虎硬爬山
完全なカウンター攻撃、片足と肘を同時に突きだし、最大限踏み込む技。
得意武器 苗刀(刀みたいな形をした、中国の刀)
一人称 ルェイジー
誕生日 NAY548年9月12日
所属部隊 青龍
BWH 体重 82/52/80 53キログラム
河北省塩山県に住んでいたが、あまりにも大飯ぐらい過ぎるので、
九龍城国に捨てられてしまった、九龍城国の孤児。
10歳の時に、ご飯をくれた銀龍に拾われた。
小柄なわりには、超パワフルファイター。
天才ともいわれていて、劈掛掌の使い手。
年齢が上がれば、次期小隊長ともいわれている。
小隊長と言われているが、妙なムードメーカー。
アルネが多く、皆からはたまにやかましいと言われる。
ひざ下よりも丈が長い青いチャイナドレスに、花柄が装飾されている。
肩袖は、Tシャツぐらいの長さ。
下着は、クマさんパンティ。
まだ年端もいかない子なので、多少子供っぽいところがあり、
ちょっとおバカさんに思われる発言もある。
パワフルさはどのくらいかというと、体当たりして、戦車が吹き飛びます。
部隊内でも一番大食いで、ご飯が一杯食べれるという純粋な動機でチャイナガールズに入隊した。
口癖は、必ず「アルネ」とつける。
バトルドレスガールズでは、この語尾を、方言として解釈していて、
「アイヤー!!」もその一環。
九龍城国に帰ると、銀龍に紹介されたお店でアルバイト兼住み込みで、
「劉龍飯店」というウェイトレスもしている。
ちなみに、お腹がすけばすくほど威力が増す酔拳? のような拳を持っている。
大飯ぐらいなせいか、料理もかなりうまく、何でも作れる。
小隊内では超重宝されているのだ。
将来は、中華料理屋と孤児だったため九龍城国内に孤児院を開きたいらしい。