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チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
カオルンセングォ毒ガスパラダイス編
102/178

4-23 第三部隊VS服部半蔵鷺沼!! その2


 服部半蔵とレイレイは、同時に叫ぶ。


「服部半蔵鷺沼、参る!!」


「気功ユニット全開!!」


 鷺沼とレイレイの剣の軌道が激しくかち合う。


 外れたら、双方とも即死だ。


 シャオイェンは30メータ先で火花が激しく散っているのがよく見えた。


 そして、背後からひたすら銃を撃ち続ける中国国防部を見ていた。


 シャオイェンは、釣りあがっている眉を、寄せた。


「メイヨウちゃん、ごめんなさい。わたしは覚悟を決めました!!」


 強く目をつぶっているメイヨウに一言だけ声をかける。


「気功ユニット全開!! ゲスイ手ばっかり使う輩には、やはり、これですね!! レイレイ隊長、後ろは任せました!!」


 メイヨウから全速力で、離れ、相手に駆け寄る。


 バリアーは跳弾し、メイヨウの足元をかすめる。


 メイヨウの中国服をかすめたので、右側二の腕の辺りの服が切れる。


 レイレイは、相手の直前に到着し、眉根を寄せて叫んだ。


「最快的速度决策技术(赤き閃光の突き)!!」


 相手の鳩尾にシャオイェンの拳がめり込み、力が抜ける。


 パワードスーツすら意味がなく、相手の鳩尾だけでなく、その威力は相手の肋骨全てを砕く。


 ベルトにぶら下げていた刀を両手に装備させ、相手の身体をバツ字斬りにした。


 さらにその奥から銃を連発している死体がいる。


 シャオイェンは双つの刀を振り回し、すべての銃撃を弾いた。


 どこを狙おうが、弾丸を弾く。


「すみませんが……私はやられるわけにはいかないのです!! そして、必ず任務を遂行する。

それが、たとえ軍隊ではないにしてもなのです!!」


 相手に急激に接近したとき、再びバツ字斬りにさせた。


 シャオイェンは、40メータほどにいるレイレイに声をかけた。


「レイレイさん!! これを!!」と、相手から奪った弾倉を床へ転がし投げる。


 レイレイは、激しい斬撃を繰り返しながら、コンクリート製の床に転がった弾倉を瞬時にしゃがんで、拾った。


「さっすが、私の相棒ね!!」


「うひゃあああああああ!!!」


 服部半蔵は叫び続けている。


 レイレイは片手で半蔵の刀を受け止めた。


「あんたのその忍者刀? パーティカルロイド粒子でできているわね!! 私の七星剣と刃をかわせているのが、証拠よ!! そして、あんたキモイのよっ!!」


 二人は一度3メータほど距離を離した。


 レイレイは息継ぎをし、叫んだ。


 同じ速度の斬撃、かなり相手は強敵だ。


 レイレイの七星剣の速度はチャイナガールズのなかでもダントツだからだ。


 その速度に合わせて、同じ斬撃を重ねてくる。


 相当な手練れだ。


「気功ユニット全開!!」と、レイレイは闇の中で叫ぶ。


 服部半蔵は不気味に笑った。


「うひ、うひ、うひ、うひひひひひひひひひぃいいいいいやぁああああああ!!!」


 そして、レイレイは服部半蔵に向けて、弾倉を放り込む。


「くらいなさい!!  无形的速度削减(見えない速度の斬撃)!!!」


 目の前に放り込まれた弾倉をレイレイは瞬間的に何十回とも切った。


 弾倉が完全にクラッカー弾のようになり、服部半蔵の目の前で赤白く弾ける。


 刀を寄せていた服部半蔵の忍者刀も完全に粉々になり、パーティカルロイド粒子が回らなくなった。


「拙者はぁ、拙者はぁああああああ!!」


 そして、レイレイは七星剣で相手の胸元を両手で切ろうとしたら、相手側の反応速度も尋常ではなかった。


 金色の剣の切っ先が服部半蔵の黒装束をかすめ、相手は菱形の刃を投げてきた。


「忍法毒ガスクナイ!!!」


 レイレイはそのクナイをはじき返した。


 前方の地面にクナイが刺さり、妙な音がした。


「レイレイ小隊長、それは恐らく毒ガスが出ています!! 速くこっちへ!!!」


 レイレイはすぐさま後ろへ振り返り、シャオイェンのほうへ駆け寄る。


 リボンが揺らめく通路へレイレイは走る。


「皆、大丈夫!?」


 シャオイェンは、メイヨウを担ぎ上げながら走る。


 右へ左へと、リボンが流れる所へと通路へと走っていく。


 三人はようやく落ち着けそうな通路を見つけ、足を止めた。


 シャオイェンは、ひたすら目をつぶっているメイヨウを下ろす。


 メイヨウはガタガタと身体を震わせていた。


 彼女は隣にある、小さな鉄格子を見つめた。


 南京錠がかかっている。


 シャオイェンは凛々しい顔をさせたまま、細い顎をぬぐう。


「レイレイ隊長、なぜこちらなんでしょうか?」


「リボンよ、リボンが排気ダクトの流れを作ってくれたわ」


「よく気づきましたね。ここまでくる間に戦闘ログを見ておいて正解だったわ。それと、なんかよくわからないけれど、排気するスピードもあげているみたいだわね。銀龍ターレンの時よりも流れるスピードが違うわ」


 レイレイはメイヨウを見下ろしていた。


「もう、大丈夫だからね? メイヨウちゃん」


 寒いのか、恐怖なのか完全にわからない状態で、メイヨウは震えている。


「大丈夫よ、とりあえず安心して?」と、レイレイはメイヨウを抱き寄せた。


「私たちは、必ずあなたを守るわ。あなたに何かあったら私もターレンに顔向けができないから……」


「だ、だいじょうぶです。ありがとうございます。わたしがもっと動ければ、わたしがもっと強ければ!! こんなことには!!」


 シャオイェンは、両腕を胸元で組む。


「9歳のあなたには、そんなことを頼むこと自体……荷が重すぎます。人にはそれぞれの適材適所というものがあるのです。

メイヨウさん、あなたにも相応しいのはこの闇の中ではなく、明るい世界なのです」


「も、もうだいじょうぶです、レイレイ様……」


 レイレイはメイヨウから離れ、チャイナドレスの裾をひらつかせて立ち上がる。


「さあてと……銀龍ターレンに報告しなくちゃ!!」


 メイヨウはレイレイを見上げる。


「ちょっと待ってください!! だれかの声がきこえます」


「シャオイェン、何か聞こえる?」


「いえ、何も……」


 メイヨウは、隣にある片開きの鉄格子へと指をさす。


「このとびらの奥からきこえます!!」


 レイレイは鉄格子の前で、しゃがみ込む。


「よく聞き取れないけど、確かに。あれ? 聞こえなくなったわ……」


 メイヨウは中国服のポケットから一本の針金を取り出す。


「こわいけど、こわいけど、わたしは行きます!!」


「やはり、あなたはチャイナガールズの一員ね。わかったわ、わたしも同行するわ。

シャオイェンは入口手前を警戒して!!」


「レイレイ小隊長、了解です」


 メイヨウは手慣れた手つきで南京錠を外し、鉄格子の扉を開けた。


「へぇ、やるじゃない」


「いぜんはこれでなんとか生活していました……」


「そうなんだ、若いのに苦労しすぎよ……」


 レイレイはメイヨウに続いてしゃがみながら、鉄格子をくぐる。


 彼女が立てるぐらいに、中は少し広めに作られていた。


 奥には金庫のようになかなか頑丈そうな鉄製の扉がある。


 真ん中にある円状の物を回して開けるタイプのものなのだろう。


 メイヨウの力では無理なので、レイレイはそれを回して開けた。


 開けると、排気ファンの音が静かになっている……だけのはずだった。


 その瞬間、レイレイはメイヨウに覆いかぶさった。


「メイヨウちゃん、ダメ!!! 早く鉄格子に戻って!!」


 メイヨウは何かを察したのか、涙を流し始めた。


 レイレイは、警戒しながら地獄の門をくぐる。


 その凄惨な遺体がざっと20人ぐらいあった。


 そこら中に、コンクリート製の壁をかきむしりすぎていくつにも爪痕が重なっている。


 全員、みすぼらしい格好をしている。


 排気ダクトはフル回転していて、この部屋内にはガスはもうすでにないようだ。


 扉の目の前には、名も知らない子供が、真っ赤な手でその鋼鉄製の扉をひたすら叩いた跡が残っている。


 レイレイは、下唇を噛み締め、加減を越えて、血がにじみ出ていた。


「私は……私は、許さないわ!!」


 戦闘時にも冷静な方だが、レイレイの真っ赤な心の炎が胸の奥から熱くなった瞬間だった。


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