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生まれる世界を間違えた  作者: 南樹
第一話
3/7

の3

外が見えるほうの窓側の一番後ろ。そこが僕の席。


出席番号は「あり」で一番なのだ。席替えまではずっと一番前の席だった。

何かと先生の目につきやすいのだろう位置は

教材の片付けの雑用だったり、授業中に目があっただけで当てられたりと散々だった。

6月に入り、今学期初の席替えで一番後ろ-しかも窓際-を引き当てたときは、

嬉しくて小躍りしそうになったほどだ。


席に着いてカバンを置くと、


「どったのー?今日はギリギリだねー?」


間延びした声で話しかけてきたのは、隣の席の間宮(まみや) (つむぐ)だ。

彼を一言で表すなら、漢字ではなく平仮名で「のんき」というのがしっくりくる。


「うん、ちょっとね。学校にはいたんだけど、教室来る前にぶらぶらしてた」


「ほぉー?なんか面白いもんであったんかいなー?」


「いや、紫陽花(あじさい)が咲き始めてたくらいだったよ」


「もーそんな季節かー。もーちょっとしたら梅雨だなー。じめじめすんのやだなー

 ん?どしたん?」


間宮と話しながら、僕の目線は梨園さんに向かっていた。


「いや、ちょっと‥ね。さっきぶつかってこかしちゃってさ。

 怒らせちゃったみたいなんだよね」


「ほ~ん。すんっげぇ静かな子ってイメージだけどなー。怒らせたんだー。

 何?転んだ拍子にラッキースケベでもしたの?」


「いやいやいや!そんなまさか!僕は転ばなかったし!」


「ケガさせちゃったとかー?」


「いやー‥わかんない。梨園さんは大丈夫って言ってたし、お互い様だって言ってくれたけど‥」


「じゃーいいじゃーん。怒るようなことなくない?あるあるの気のせいなんじゃなーい?」


「うん、まぁ僕の気のせいかもしれないんだけどね。ってそのあだ名はやめろって‥」


「いいじゃんあるあるー。俺のこともつむつむって呼んでいーんだよー?」


有村有輝には有るが二つだから「あるある」なんて、そんな安直なニックネーム。

呼ばれるのにはもう慣れたけど・・・僕はつむつむとは絶対に呼ばないかな。


間宮は気のせいだって言うけど、梨園さんのあの冷たかった感じは気のせいだったのかな。

なんか気になる。

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