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生まれる世界を間違えた  作者: 南樹
第一話
2/7

の2

見慣れた景色をぼーっと見るでもなく足を動かしていると学校に到着する。


いつもは始業のチャイムの鳴る10分前には教室の中にいて、

クラス内の友達と適当な雑談をしたり、本を読んだりして過ごす。


でも今日はいつもとは違い、

教室に行く前に学校内を適当に歩いてみようかな、とぶらぶらしていた。


それが間違いだったのだ。

いつもと違うことをしようとすると、大抵よくないことが起きる。

ジンクスなんかではないが、大抵そうなのだ。

今までがそうだったのだ、例に漏れず今日もそうなってしまった。


目的もなく中庭を歩き、校舎内に戻ろうと渡り廊下に向かう。

風よけの為に、大きめのシートが貼ってある渡り廊下だ。

ちょっと見にくいとは言え、気付かなかった僕が悪い。


中に入ろうと曲がった時だった。

ドンッ、と誰かにぶつかってしまった。


「・・・ぁ」


と、か細い声が漏れたのが聞こえた。


クラスメイトの梨園(なしぞの) (かすみ)がそこにいた。

彼女の体は軽く、僕にぶつかった衝撃で尻餅と両手をつく形で倒れてしまった。


「ご、ごめん!よく見てなくって!本当にごめん!!」


慌てて謝るが、内心はもっと慌てている。

(どどどどどどどどどうしよう!話したこともない女子とぶつかっちゃった!

やばい!キモいとかふざけんなとか言われるんだろうな・・・!とにかく平身低頭謝らなきゃ!!)


「大丈夫?!ケガしてない?本当ごめん!」


彼女は表情を変えずに、

右手を見て

左手を見て

静かに


「・・・大丈夫」


と、とても透き通っているが、どこか無機質な声色でそう言い立ち上がった。


(声カワイッ!いや、違うか。でもケガがないみたいで良かった)

「本当に?痛いとこない?ほんとごめん、梨園さん!僕の不注意だ」


「いえ、私も気づいていませんでした。お互い様ですね。では。」


また静かに、今度はハッキリとわかるくらい無機質にそう言い。

軽く会釈をして、梨園さんは校舎の中に入って行った。


(うっわー・・焦ったぁ・・・!大丈夫みたいだったけど、あの言い方・・・絶対怒ってるよなぁ・・・)


朝のHRの時間が迫ってはいたが急ぐ気にはなれず、

僕は少しだけゆっくり歩きながら教室に向かった。

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