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亜人公女物語 ~猫耳の公女、モノリス~  作者: mafork(真安 一)『人工衛星サニー』ほか書籍発売中!
第4章 帝都ヴィエナ

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4―10:公女旋風!

 その夜、帝都中に紙がばらまかれた。華やかに賑わう大通りから、煤けた貧民窟まで。

 屋根からまかれた紙は、まるで季節外れの雪のようだった。

 なお、紙をまいたという男達は、ネズミのように、どこからか現れて、どこへともなく消えてしまったという。『黒星』のしるしを掲げる自警団が、彼らの後を追ったが、貧民街には怪しげな高笑いが響くだけだった。


 ――公女の猫耳にかけて!


 紙をまいた男達は、目を光らせて告げたものだ。


 ――未知を恐れない者よ! 明日の正午に、大聖堂の広場に来るといい!


 市民には、知る由もない。それは歴史の表に出られたことを喜ぶ、地鼠(ちそ)族の亜人達だった。



     ◆



「今日は、特別に安くするよ!」


 市場にも、大量のパンフレットが置かれていた。

 朝の買い物を済ませた人々は、パンフレットを手に取り、読みふける。猫耳を書き出しにあしらった宣伝は、まず奇抜なデザインが人目をひく。文字を読めないものでも、興味本位に手に取るほどだ。


「この紙はなんだ?」

「フリューゲル家のものだそうだ」


 なんでも、と店主は前置きする。指を一つ立てるのは、興味をひく商人らしい演出だ。


「近々帝都に来るらしい。その前準備みたいなもんだろう」

「へぇ」

「皇帝に会いにくるそうだ」

「確かか?」

「ああ。サザンで、そう演説したそうだ」


 運河沿いの市場は、朝の喧噪にあった。運河は都同士をつなぐ。十日以上もかかる港まで、川を使えばその半分の日数だった。

 反面、遡上する時はそうもいかないのが難点だが、運河沿いの市場は情報が取引される場所でもあった。


「イモの炊き出し?」

「南の自治区の食糧不足は、亜人の飯を持ち込んで、解決したそうだ」


 ごくり、と何人かの喉が鳴った。満足に食えていない者も多い。

 収穫の減少は、食料の価格を上げている。そのため帝都の工業は、当日のパンにも困っていた。

 民の一人一人にとって、宮廷など遠くの話だ。が、食卓のパンに関わるとなれば、そうも言っていられない。


「……フリューゲル家か」


 公爵家にして、大貴族。

 人々の視線は、壁に貼られたポスターに移る。描かれているのは、亜人の姿だ。直立した獣のようだった。

 真新しいフリューゲル家のパンフレットと比べ、何年も貼られたままのポスターは、黄色くなり、ひどくくたびれていた。


「公女?」


 次の客は、子供だった。ぷん、とのりの臭いが漂う。


「紙すき場の坊主か」


 商人は笑った。パンフレットの書き出しでは、猫耳が描かれている。そのすぐ下を、商人は指でなぞってから渡してやった。


「読んでやる。シモーネ・モノリス・フォン・デア・フリューゲル……猫耳を持って生まれた、亜人の公女様というわけだ」



     ◆



 フリューゲル家が、宮廷へ向かう日になった。窓から見える、天気はいい。日差しも初夏の熱気をはらんでいる。

 腹をくくってしまうと、意外なほど緊張しなかった。

 モノはすっかり日課になった湯浴みを終える。タオルを優しく当ててもらって、褐色の肌をぬぐっていく。髪をすくと、銀色の髪の毛から、ぴょこんと猫耳が飛び出した。


「グウウ」


 水の虎ならぬ、お湯の虎となって、サンティがモノにじゃれてきた。大きさは、猫と変わらない。

 モノの精霊(イファ)であるサンティは、水の量次第でいくらでも大きさが変わるのだ。サンティはモノにじゃれつき、湯船からモノの髪を引っぱったりしていた。


「サンティ、今日は遊んじゃダメ」

「グウ……」


 不満そうに鼻を鳴らして、故郷からの友達は引き下がった。サンティが桶の中に消えると、侍女が声をかけてきた。


「お召し物を、こちらにご用意しました」

「はい」


 言われるがまま、宮廷へ出向くための衣装に、袖を通していく。

 夕日色のドレスに、桃色の帯。頭には、帽子ではなく、緑色の布を巻いた。


「お化粧はいかがいたしますか」

白粉(おしろい)は……」


 言いよどむ自分に、モノは喝を入れた。まだ、迷っているのか、と。


「お、白粉は、要りません!」


 モノがきっぱりと言うと、侍女は一礼した。褐色の肌をそのままに、頬や唇に朱を乗せてもらった。

 仕上げに鏡を見て、はっとする。

 化粧をして、頭に布をまいた、鏡の中のモノ。それはまだ故郷の島にいるはずの母――オネの姿を思い出させたからだ。


(いよいよだ)


 モノは息をのみ、自問した。


(これで、いいんだよね?)


 壁に貼られた地図を見やる。夜通しを準備に費やして、なんとか作戦は間に合いそうだった。


「公女シモーネ・モノリス。準備はできましたか?」


 次女フランシスカが様子を見に来た。

 豊かな赤色の髪に、今日は位階を示すための高い帽子を被っている。歩くたびに、錫杖が涼しげな音を立てていた。


「覚悟はいいですね?」


 フランシスカが念押しした。

 モノは頷く。強い決意を打ち出すと、緊張したのはかえってフランシスカの方だったようだ。


「……本当に」


 ごくり、と白いのどが動く。


白粉(おしろい)も、帽子もいいのですね?」

「いりません」


 はあ、とフランシスカが嘆息した。目を閉じて、何度か祈りの言葉を唱えている。


「まさか、帝都を堂々と歩いて、宮廷へ向かうとは」


 それがモノが提案した作戦だった。

 本当はテオドール達が手引きをして、こっそりと宮廷へと向かう予定だった。モノの作戦とは、その真逆のことである。可能な限り目立ってから、宮廷へ乗り込もうというのだ。


「あなたは時折、すさまじいことを考えつきます」


 姉の言葉に、モノは困ったように頬をかいた。


「んに、そんな」

「……褒めてないですよ」


 モノは今後の流れを、整理してみる。ずいぶんと情勢に明るくなっていた。


「宮廷では、まず大臣に会うんですよね?」


 ロッソウ大臣と面会する。後は、彼が様々な条件と引き替えに、皇帝との面会を都合する。大臣、そして皇帝、と段階を踏んで大物に面会していく手はずだ。


「その通り。手順があります。駆け引きですね」


 なお、南部に援軍を発するかどうかの決定は、聖ゲール帝国の皇帝が行う。派遣するのは、『常備軍』という皇帝が所有する軍勢だからだ。


(皇帝が村の長だとしたら、大臣は長を助ける人ってことだよね)


 わかりやすくするため、モノは身近な例で考える。いきなり長に面会するのは、確かに村でも難しい。


(でも、隠れたたまま宮廷に行くのだと……)


 モノが漠然と感じたのは、足りない(、、、、)という思いだった。

 自分で伝えたいことを持ったせいかもしれない。

 紙や人づてに、フリューゲル家のことを伝えるだけで、帝都の人々が支持してくれると思えなかったのだ。運河の悪臭や、咳をもよおす空気に、湿って不衛生な地面。

 モノが目にしたことは、想像を超えることばかりだ。


「ちゃんと話した方が、いいと思うんです」

「……今のままでも、陛下へのお目通りの目処は、十分についていたのですよ?」


 フランシスカが説明してきたプランは、宮廷での活動に重点を置いてきた。

 あくまでも、重要なことを決めるのは宮廷だ。民衆の人気とアクセルの善戦をテコに、有力な貴族を取り込み、ロッソウ大臣と取引し、しかる後に皇帝へ――いわば、精巧な仕組みの、力学の発想だ。

 サザンでの暗殺未遂など、相手を揺さぶる格好の材料だ。


「意地の悪い言い方をすれば。あなたは帝都の人々を扇動し、宮廷を動かそうとしています」


 思いで、この十万都市を動かす。

 乱暴な言い方をすれば、支持者の数にものを言わせて、力業で皇帝への面会を勝ち取るというやり方だった。


「確かに成功すれば、交渉の主導権はフリューゲル家のものになります。相手側が出す条件など、ないも同然になるでしょう」


 利を認めつつも、フランシスカは慎重だった。


「危険も、あります。亜人のしるしを晒せば、頼みの市民でさえ、かえって反感を抱くかもしれません」


 フランシスカの嘆きも、もっともだった。堅実な条件で皇帝への面会を勝ち取る――それが当初の絵で、しかもほとんど成功しかかっていたのだ。


「……帝都の人には、直接、話した方がいいと思うんです」


 モノは言った。

 次女の話を理解しつつも、翡翠色の瞳はもっと先を見ていた。


「お姉様。これで終わりじゃ、ないんですから」


 今度は、フランシスカが息を呑む番だった。


「これから亜人と一緒にやっていくなら、怖がるだけじゃなくて、ちゃんと、知ってもらいたいんです」


 モノが直接、亜人の証をさらして歩き、言葉を発する。


「知りたがっている人が増えているなら、チャンスですよ」


 フランシスカは、長い間、沈黙していた。

 モノは姉を見つめる。

 確かに、賭けだ。モノにだって、それは分かる。だが、どこで帝都に本物の亜人を見せるかは、いずれ決断しなければならないことだった。


「……同じ話を、昨日もしましたね」


 フランシスカは口の端を引きつらせ、微笑の気配を漂わせた。最後に次女が折れるのも、昨日と同じだ。


「聖女フランシスカの名で、あなたに加護を祈ります」


 堅い指が、モノの額に触れる。ずっと書類を書いていたせいだろう。


「……本当に、思いもよらないことを考えます」


 続く声は優しい。


「これは成長と取りましょう」


 純粋な心配が、モノの心を温かくした。姉は、心配なだけだ。それだけ優しいということなのだ。

 布の中で、猫の耳が動いてしまう。


「ただし、重ねて言いますが。危険があれば、すぐに逃げるのですよ。運河に入れば、あなたを追える人はいない」

「は、はい!」


 モノは頷いた。


「入ってもいいかな?」


 窓の隙間から、ネズミが顔を出した。紫色のトサカが風に揺れている。

 次兄オットーが魂を宿している、ナナイロネズミだった。


「お兄様! どうですか?」

「ああ、表は……」

「そうじゃなくて」


 尋ねるモノに、ようやくオットーは察したようだ。


「ああ、似合ってるよ」


 モノは嬉しくなった。


「修道院の前に、もう神官がいた。無理もない。あんな紙をまくとしたら、フリューゲル家しかないからね」

「一応、神の家では沈黙を尊ぶべきなのですが」


 フランシスカはいくらか憮然とした表情だった。


「もう、街全体で噂になってる。賭けだと思うけど……確かに、これなら勝算もある」


 モノがボルサという小物入れを下ろしてやると、オットーがその中に飛び込んだ。モノは壁にかかっていたローブを手に取り、羽織る。頭にも、すっぽりとフードを被せた。遠目には、修道女に見えることだろう。

 お昼を示す、定時課の鐘が鳴った。


「さぁ、行きましょう!」


 修道院の外に出た。

 風の強い日だった。

 初夏の熱気を含んだ風が、モノに襲いかかる。フードを押さえ、思わず目をつぶると、鋭い口論が聞こえてきた。


「これは、いったいどういうことです!」


 修道院の前には、人だかりができていた。入り口をぐるりと囲うように、法衣の神官が集まっている。その後ろにいるのは、野次馬だろう。


「どうやら、注目は集められたみたいだね」


 オットーがこっそりと耳打ちする。

 モノは頷いた。神官達の抗議が、図らずもこの場所に人目を集めているのだ。


「昨晩、帝都中にある紙がまかれました!」


 神官が振り上げた手には、モノ達がばらまいたパンフレットがある。

 モノ達の主張を広めるため、パンフレットを大量に用意していた。それを夜の内から、一斉に配っていたのだ。

 神官達は、フランシスカを怪しんで、ここに乗り込んできたのだろう。


「これは、フリューゲル家の主張を刷ったもの。この修道会が、手引きをしたのではありませんか?」


 詰めかけた神官の一人が、言いつのる。彼は入り口から出てきたモノに、目を留めた。より正確に言うなら、フードの隙間からのぞく、褐色の肌に。

 風でフードがはためき、中身が見えてしまったのだ。


「ん?」


 最初は、どうも見間違いだと思ったらしい。何気なく見送ろうとして、ぎょっとし、二度見する。人々の目が、まん丸に見開かれていく。

 モノは、わざと大げさにフードを取り払った。


「こ」


 短い声は、驚きの証だった。

 目が皿のように見開かれる。


「あ、あ、亜人……? いや、ままま、まさか?」


 口々に、震えた声がこぼれる。さぁ、勝負だ。モノは臆せず、告げた。


「私をお捜しですか」


 堂々と、言う。モノは胸に、褐色の手を当てた。

 背後でフランシスカが合わせてくれた。錫杖を地面につき、涼しげな音を鳴らす。


「公女シモーネ・モノリスの身分は、フランシスカ修道会が認めた公的なものです。ウォレス自治区の教区より、彼女はすでに『異民族閉め出し令』の例外です」


 神官達の体は、震えてきた。こちらを見る目は、叱責を通り越して、憎悪に近い。

 長く、帝国は亜人を閉め出してきた。

 差別をして、蔑んできた相手というわけだ。


「これから、宮廷へ向かいます!」

「あ、亜人が、帝都を歩くだとっ?」


 騒ぎは、あっという間に周りへと伝播した。

 頭の布をとって、猫の耳を使うまでもない。噂が噂を呼び、モノの動きが瞬く間に広がっていく。まるで巨大な石を、湖に落としたみたいだ。


「ふ、フランシスカ様!」


 鐘楼から、声がする。太った神官が、いつの間にか鐘をつこうとしていた。


「さぁ、今のうちに!」


 神官達の絶叫は、鐘の音に塗りつぶされた。荘厳な鐘の音に見送られ、モノは行進を開始する。

 モノはフードを被り直した。褐色の肌は、常にさらしておくには刺激が強すぎる。本番は、まだこれからなのだ。

 フランシスカも用意してあった馬車に乗る。モノが歩き、フランシスカが馬車に乗るのは、目立つ馬車を囮にするためだった。


「ま、待て!」


 呆けたようになっていた神官らが、我を取り戻す。

 行く手を阻もうと駆け出す彼らを、さらに馬蹄が遮った。


「公女様!」


 やってきたのは、騎士だった。鞍上で面頬をぐいとあげる。久しぶりの再会に、モノは胸が熱くなった。


「ヘルマン!」


 島からずっと支えてくれた老戦士は、宮廷へ長く折衝に出ていたのだ。ヘルマンは周囲を見回し、苦笑する。


「鐘の合図が、予想より早かったもので。なるほど、こういうことでしたか」


 おお、と声が生まれた。ヘルマンの後ろには、騎士が従っている。人数は、三十名ほどだろうか。馬と鎧には、紋章が彫り込まれていた。


「予定より、人数が多いね」

「オットー様。これは、アクセル様の善戦のおかげです。宮廷にも、味方が増えたのです」


 遠い南の空から、長兄の笑い声が聞こえた気がした。モノが助けた、目つきのきつい精霊術師も。


「さぁ! 公女の、お通りであるぞぉ!」


 行進に騎兵を増やして、モノは前進を再開する。人々の注目が、さらに集まる。派手の好きのイザベラなどは、加われないことを悔しがっているかも知れない。


「だ、誰か、止めないか!」


 そう言って止めようとする神官もいた。でも、彼らは言うばかりで、直接手を出して止めようとはしなかった。

 かえって行列の賑やかしになっているくらいだ。

 人々の視線が集中する。フードを被った小柄な娘を先頭に、その前後を騎士が守り、狼狽した神官らが後を追う。

 異様な行列は、進むたびに注目をさらった。

 視線に次ぐ、視線。

 頬がかっと熱くなって、まるで雲の上を歩いているみたいだ。そのくせ、足は止まらない。前へ、前へと靴が石畳を噛んでいく。

 目的の場所に出るまでは、あっという間に感じた。


「ここだ」


 運河を渡る橋だった。

 初日に通った場所だ。大聖堂がある広場は、今日も人で賑わっていた。あちこちにパンフレットがまかれていて、今日も演説の声がやかましい。


「勝負所だよ、モノ」


 オットーが小物入れの中から囁いた。


「やるんだね?」

「はい……!」


 ちらりと見ると、壁に聖教府の張り紙が貼られていた。


(こんな亜人、見たことないよ)


 ほとんど怪物のような絵なのだ。

 モノは、フランシスカの馬車によじ登った。思わぬ身体能力に、周囲の人々が目を見張る。

 フードを、外す。

 ついてきた神官達のどよめきが、注目への呼び水となった。賑わっていた広場が、一瞬、水を打ったように静まりかえる。

 風にさらされたのは、褐色の肌だ。

 モノは頭の布に手を伸ばす。帽子でないのは、すぐにほどけて中身を見せるためだった。


「はじめまして」


 モノは、ゲール語で語りかける。助けてくれるのは、オットーの音の魔術だった。


「……へ」


 猫耳がとらえた最初の言葉を、モノはきっと一生、忘れないだろう。

 困惑と、混乱。理解できないものを見つけたように、人々はモノの頭と、肌を見つめてくる。

 それも当然かも知れない。帝都に、亜人はいるはずがないのだから。あるいは、いるのに無視し続けてきたのが、今の帝都なのだ。

 人々の反応は、タチの悪いだまし絵を見たようだ。小ぎれいな馬車の上に、褐色肌の、獣の耳を持つ娘が立っている。


「私は、モノリスといいます」


 まずは、名乗る。


「フリューゲル家の、亜人の娘です」


 だんだんと、人々が正気に戻っていく。あんぐりと口を開けて、そのまま腰を抜かす人もいた。


「馬鹿め」


 神官らが、遠巻きに吐き捨てた。


「自ら、尻尾を出すとは」

「うまくいくはずがない」

「急に出てきて、何ができる」


 神官らは、ひそひそと話し合う。モノは首を振った。帝都が亜人に厳しいのは、知っている。それでも――


「聞いてほしいことが、あるんです」


 モノは口を開く。人々の内の、何人か――まだ非常に少ない何人かは、公女のよく動く猫耳に気づいていた。それが本物であると。

 モノがこれから語るのは、これまでの旅路。モノは知る限りのことを話すつもりだった。


「この近くに、運河がありますよね? この運河を下って、ずっとずっと行くと、小さな島があるんです――」


 未知を、恐れないで。

 思いを口に出したとき、モノは本当の意味で、公女となっていた。


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