死亡
私があの男に言っても何の返答もなかった。
「…やっぱり、最初から私に殺させようとしてたってことか」
あの男の考えそうなことだ。
私がショウくんを殺せば、その姿に酔いしれるのがあの男だ。
おそらく上から望みながら見ている。
あのマジックミラーになって見えない向こう側で、私を嘲笑っている。
ふざけるな。
私は、ショウくんを守る。
自決用の拳銃がないなら、何でもいいから自分の命を絶ってやる。
ふと辺りを見るとさっき頭部を破壊した少年が直前に出した鋭い鋭利な牙みたいなものがあった。
アレにする。
私は覚悟を決めた。
自分の体を超能力で動かし、勢いを増してアレに突き刺す。
自らの体を刺し貫き、その衝撃で吐血する。
痛い。
死ぬほど痛い。
しかしこれは罰だ。
人を殺した私の、大きな最後の罰。
痛みでおかしくなりそうだ。
ショウくんの方を見る。
驚いた顔で私を見ていた。
私は最後の力で自分の体を抜くと、君に向かおうとする。
そのせいで足も超能力も痛みで動かなくなり、限界になって地面に倒れる。
さっき殺した人たちの血の海に沈みかける。
それでも私は諦めずに這う。
ショウくんが好きだから。
でも半ばで力が入らなくなる。
ショウくんにたどり着けない。
疲れた。
目ももう何も見えない。
全てが暗闇に覆われる。
怖い。
怖くて怖くて仕方なかった。
でも
「……あぁ、あ…ち……お…」
その時聞こえた声は、どんな光よりも眩しくて私から恐怖を取り除いてくれた。
ちお。
今まで呼んでくれなかった私の名前だ。
「……よう、やく……名前、で呼んで……く……れ………」
どんなに待ち望んだ事だろうか。
やっと私を認めてくれた。
私はふと笑ってから君が最後に言ってくれた私の名前に嬉しく、そのまま安心して……
死んだ。




