18/55
30人
君は口を閉ざして黙ってしまった。
僕の両親も何も聞けなかった。
もし今の話が本当なら、それは彼女が人殺しをしてきた事になるからだ。
黙っている君に僕は「今日はもう休もう」といってとにかく空いた部屋に連れて行った。
一軒家の僕の家でもあまり使わない部屋に来客用の布団を敷いてあげていた時、君は僕に言った。
「私、30人以上殺した」
僕はそれを聞いても、動きを止めずに準備する。
もし手を止めたら、君を信用してない事になりそうで怖かったからだ。
「君が生きているだけで十分だ」
「こんな超能力があるせいで親が死んだのに? たくさんん人が死んだのに?」
声から絞り出すように言う君。
そこまで言われて僕は動きを止めてしまう。
「それでも…」
僕は慰めの言葉を掛けようとした。
でも言葉が思い浮かばなかった。
僕にはそんな強さなんてなかったから。




