ヒロイン転生した俺涙目
なろうでははじめましてです。
ノリで書いたので、軽い気持ちで読んでもらえると嬉しいです。
いきなりだが、おまえら「姉」って言葉で何思い浮かべる?
甘やかしてくれる?一番近い異性??
そんなふうに答えるおまえらは、漫画やアニメの見すぎだ。
そんな姉は二次元にしか存在しません。
リアル姉がいたオレが現実を15文字以内で述べよう。
姉とはジャイ○ンである。(←12字)
いたいけな弟のものを勝手に強奪るだけに収まらず、人の食うものや着るものをネチネチ細かく言ってくるババア系ジャイ○ンだ。
ところで、おまえら、女にもギャルゲーがあるって知ってるか?
CMでもやってたから知ってるヤツも多いだろうが、ギャルゲーの逆――冴えない女がイケメンを攻略するゲーム――だけじゃないんだ。腐った女向けに男と男がウホッやらないか?なゲームも存在するんだぜ?
その場合、ヒロインは男だ。何を言っているのかわからねえと思うが、オレもよくわからなかった。
男の場合も確かに冴えない。美形っちゃあ美形なんだが、女顔でチビ。え?コイツ、ちんこ付いてんの?ってヤツがイケメンにズッコンバッコンされる。ちなみに、ズッコンバッコンする男のほうも女顔寄りだが、イケメンに見えなくてもえ?それってイケメンなのと姉に訊いてはいけない。ボコられるからな。
恐ろしいことに、いきなり性的に襲われるのもお約束らしい。刑務所の世界だなって言ったら、ジャイ○ン(注:姉の二つ名)にボコボコボコられた。
おまえら、こいつはなんでそんな話してんだって思っていると思う。
今やっと、説明のために必要な説明が終わったとこだよ。
オレは今生、ジャイ○ンがやってた女向けギャルゲーのヒロインとして生きています。
ギャルゲーの主人公じゃないんだぜ。女向けギャルゲーの主人公に転生したんだ。
はい、大事なことなので二度(略)
先に言っとくが、ウホッ乙のほうじゃねえぞ。冴えない女のほうな。
ウホッ乙は別にいるから。そっちは今生オレの双子の弟担当だ。
どういうことかって言うと、最初にヒロインが選べるゲームなんだよ。
プレイヤーは、性別以外はうり双子(=うりふたつな双子)な姉弟のどちらかをヒロインに選んでゲームスタート。姉ヒロインなら男と女でいちゃついて、弟ヒロインなら男と男でいちゃつく、いちタイトルで二粒美味しいですよーってわけだ。
ウホッ乙が美少女顔なら、それに激似な今のオレは冴えない女じゃねえんじゃないかだって?
そこは、弟ヒロインルートでは、姉の振りしてイケメン共を攻略するって時点でお察しください。
中世もどきの世界で露出低いとはいえ、それでカバーできないレベルでガリガリ。モデル体型っていえば聞こえはいいが、おっぱいはお情け程度、尻ふとももなんて男と変わらねえ。
鏡見て自家発電なんてキモさの極みだから、冴えなくても別に問題はないがな。
ただ、どうせ女転生するなら、せめてモブメイドがよかった。
それだったら大欲情――もとい大浴場で毎日が眼福だったろうに。
今生オレはいいとこの令嬢。傅かれる立場だから、一方的に洗われるだけで終わりだ。相手は着衣だし雰囲気ゼロ。
お貴族様の特権意識が芽生える前に、日本産庶民だったもんだから、介助されてるとしか思えねえんだよ。
けど、トータルで見れば、そんなに悪い今生ではない。
いいとこの令嬢とはいえ男とズッコンバッコン不可避ってわけじゃないんだ。
弟ヒロインルートだと、弟を応援して偽装結婚がデフォだったりする。
そこで弟を調教した結果、女装がデフォの大変香ばしい弟に成長した。
オレの振りして攻略対象のイケメン共とキャッキャッウフフしてる。
今は「みんなお友達だよ☆」なノリだが、そのうち一人に絞ることだろう。
そんなわけで、オレは仮面妻として、メイドさん達を愛でたり、サロンのお姉様を眺めたりな一生を送る予定である。
ハード百合な展開があってもいいよな。オレ、女の子受けする外見してるみたいだし、お姉様を目指してみるのも悪くなくね?
――なんて思っていた時期がオレにもありました。
オレのライフワークは、錠前の開発です。どこかの無能王が趣味でやってたが、オレのは道楽じゃなく生きる為の技術だ。
サロンのお姉様? オレには、そんな閑人共の集まりに参加してるひまなんかねえんだよ!
メイドさんを愛でる? そんなやすやすと背景もわからんやつをオレのフィールドに入れられるか、馬鹿野郎!
「姉様」
「クソッ! また破られたか」
音もなく特製錠前を破ってくる敵。
敵は屋敷内に有りだった。数か月前からオレの日常は常に非常事態宣言である。
「いい加減に諦めてよ 王太子に次期宰相それから近衛副隊長加えて人気芸術家おまけに大商人。どれもいい話でしょう?」
数か月前からこいつは攻略対象共との偽装結婚を薦めてくるようになった。そこまでは計画通りだった。
「嫌だ どいつを選んでも同じことじゃねえか!」
「特典が違うよ 王太子は正妃にするって、次期宰相と近衛副隊長は自領を好きにしていいって言うし、人気芸術家は作品全てを捧げる、大商人は外遊し放題だってさ」
オレの弟が悪女チートすぎて怖い。
手玉にとった対象を、属性呼びのうえに特典以外同じ扱いとか、マジ鬼畜。
ていうか、王家は言うまでもねえけど、宰相領は歴史ある第2の都だし、近衛副隊長は振興の要衝を直轄してる。芸術家って兵器の設計もしてるし、大商人の家はいち海軍並の船舶と人材がいるよな?
下手したら、国盗れる重いものを特典なんて軽さで済ませてはいけないと思います。
セクハラ親父のごとく身体を触ろうとした手を華麗にかわす。
なぜ気づかなかった、昔のオレ。弟の瞳が怖い。どうみても肉食獣の瞳です。ありがとうございました。じゃねえか!
「ああ…いいなあ、この貌。僕を雄だって理解している貌だ」
姉、しかも、うり双子のガチ姉を性的に狙うとは、どんな性癖だ。
その違いを肉の柔らかみや汗のにおいやらで語られたときには、背筋がゾワワとなった。
鏡で自家発電しているかについては限りなく黒に近いグレーだ。
この成長ぶりは、香ばしいどころの話じゃない。黒コゲだ。むしろコゲしかない。
「僕としては選んでくれなくてもいいけどね 形だけとはいえ、姉様が他の雄のモノになるなんて不愉快ではあるんだ」
偽装結婚はできる。だが、それはこの弟にズッコンバッコンされるのが条件だ。
それは嫌なので、独身を貫こうとしているが、この屋敷を継ぐのはこの弟。そうなれば、容赦なく襲撃(性的に)コース一直線だ。
マジで、どこをどうミスったんだ、これ。
男は嫌だ。イケメンだろうが、男の娘寄りだろうが、男は嫌だ!
よって、オレは今日も叫ぶ。
「どいつも、こいつも、おまえも、嫌じゃあああ!!!」
ジャイ○ン姉の許容範囲が海より広い件。
攻略対象が男(女)にも惚れるなんて、間口は広いほうな私ですらアウトーってなりますけど。
乙女×BL。そんなゲーム、実際にあったら絶対売れないと思います。