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プロローグ

 近未来の時代においてもなお、エネルギー問題の根本的な解決は、人類にとって悲願の夢だった。特に、文明が高度に発達したが為に、社会では新たな価値が見出せづらくなっており、エネルギー問題を重要な事柄と考える人も多かった。

 それがある時になって、真空から連続的に、物質とエネルギーを同時に取り出せることが分かった。初めはアフリカにある超大型の素粒子加速器で実証されたが、やがて莫大な物質・エネルギーの生産によって、軍事や民間への転用も可能なった。

 有り余るパワーを手にした人々の中には、宇宙へと進出した者もいた。資本主義や個人主義を掲げた「自由」という概念も、ここ数百年の時間をかけて萎縮してきていたが、宇宙というフロンティアの開拓が大きく現実味を帯びてくると、マイ宇宙船とかマイ衛星といった大昔ばりの夢を膨らます人が出てきても、決して不思議なことではなかった。


 ある野心家は、地球とは別の、しかも地球より理想化された世界を作ることを宣言した。そして、その活動に共感した人々を引き連れて、宇宙空間の片隅に一つの世界を作った。その世界は、国家であり工場でもあった。人々は何かしらの利益を受け取ったり、あるいは今後も生き続けていくため、その世界で労働することになった。多くの人々は、たとえ辛い経験をしたとしても、それはあくまで一時的なものだと信じ、その世界に貢献し続けた。

 やがて、表向きの支配者である通称「幹部」と、姿は見せないが実質的な指揮を執る通称「イデア」が、その世界を独裁的に統治した。「新世界」という構想に取りつかれた集団は、もはやある意味での「宗教」に変わりなかった。

 もちろんここまで来れば、新世界構想が「妄想」であって、この世界に来た人々は「騙された」のではないかと、反発する人も出てきた。しかし、今さら自力で地球に戻ることは難しく、反抗分子は新世界の法律で適切に処理されるだけだった。そして何十年もの間、住人達はそこで生活することになった。

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