82話 想いを伝えるために 後編(VSリオウ)
通路を抜けた先、塔の最深部の広間でヤツは待っていた。高台の上に座り、こちらに背を向け瞑想をしているような体制だ。
「よ、数日ぶりだな。こんな辛気臭いところにいて息が詰まらないか?」
この場には緊張感溢れる雰囲気が漂うが、そんなものでこちらまで硬くなる必要はない。むしろぶち壊すくらいの余裕を持った方が強者っぽいだろ?
そんな私のおちゃらけた態度にリオウは腰を上げこちらに振り返る。あちらさんも特に驚いた様子はないようだ。
「どうもムゲンさん。シリカにはレオン君だけ通すよう伝えておいたんですが……やはりあなたが来ましたか」
まるで私が来るであろうことをわかっていたかのような物言いだな。まぁ私がレオンを自分に会わせないようにすることぐらい考えないわけないか。
あちらとしては二人きりの対話の機会さえあれば、勧誘に自身はあっただろうからな。
「じぃやは元々戦闘要員ではないからいいとして……シリカはあの二人が止めているのかな?」
「ああ、今頃あっちで仲良くお喋りでもしてるんじゃないか」
レオンはちゃんとシリカの想いを聞き出せたかね……。でもエリーゼとはかなり相性悪そうだったからな~、睨み合った瞬間即戦闘なんてことになってなきゃいいが。
(流石にそれはないか)
ちらっと後ろの通路を見る。もしかしたら、こんな状況だけどチャンスは今しかないと考え想いを伝えたシリカにエリーゼが対抗心を燃やし、レオンの取り合いになってたりしてな。
……ちくしょう、ラノベ主人公のように鈍感でどちらか決められないレオンがあたふたしてる感じが目に取れる。羨ましくなんてないんだからね……。
「そんなに残してきた二人が心配ですか」
私が通路の方へ妬みの念波を送っていると、余裕そうな表情でこちらに話しかけてくる。
「いや、二人にはみっちりと教えるものは教えといたからな、心配はしてないさ。むしろお前の方こそ妹のことが心配なんじゃないか?」
執事の話ではリオウはシリカの存在を知ってからというもの、それこそ過保護すぎるぐらい大切にしてきたとのこと。まぁ、その理由も今の私になら理解ができるが。
「シリカにはオルトロスがついてるし、相手がレオン君なら余程のことはないと思っているよ。……エリーゼは少々心配ですがね」
レオンと違ってエリーゼは容赦無いからな。ま、もしエリーゼがやり過ぎるようならレオンが抑えるだろ。
「てかさ、そろそろその堅苦しい喋り方やめたらどうだ。歳だってほとんど変わらないだろうし、レオンと話す時……いや、もっとお前らしい喋り方で構わないぜ」
「……どういう意味かはわからないが、まあいいだろう。ここには俺達以外には誰もいないわけだし」
奴とはできるだけありのままの自分で向き合ってほしい。
そうしなければ、奴の本当の心は見えてこないからな……。
「さて、あなたもせっかくここまで来てもらったんだ、もう一度聞こう……俺と一緒に世界を変える気はないか?」
「ないな」
今更この世界をどうこうしようなんて今の私には考えられない。ただ私が日本に帰るために邪魔になりそうな要因を排除する、それだけだ。
ま、今回ちょっと別の理由もあるんだけどな。
「即答か……まぁいいだろう」
ドゴォン……
この振動……どうやらすでに向こうでは戦いが始まっているみたいだな。
「なぁ、そろそろ不毛な話し合いはやめようぜ」
「と、言うと?」
「後はこれをやりながらじっくり語り合えばいい」
魔力を高める。そして、私の意図を察知したリオウも対抗するよう魔力を高めていく。
この感覚……久しぶりだな。実力者との一対一の魔術戦か、こちらに戻ってからはいつも団体戦みたいなものだったし。
「俺は……成さねばならない、この革命を! きっとそれこそ神が与えてくれた奇跡だ」
執事との話を思い出す。何かに囚われている……リオウの言う"神"とやらがその正体なのか。
いや違う、おそらくそれは奴が信念を貫き通すために作り上げた偶像。根源は……もっと別のところにある。
「『撃肉体強化』!」
「『遮る光柱の壁』!」
ギィン!
今の私が使える最高のブーストにより、高速でリオウにケルケイオンの一撃を加えようとするが、奴の魔術によりそれは遮られてしまった。
「こう来ることは予測済みってか!」
「副マスターのディガンのように接近戦が得意な者もいるからな。様々な対策は考えてある」
なるほどね、マステリオンはギルドを離れられない、ディガンは自由奔放……しかしやってこない保証はない。
実力ある魔導師との戦いも想定してるあたり、リオウの本気の度合いが伺える。
「だけど、その壁でいつまでも耐えきれるか? 第二術式展開、追加 《重力》『重力拳』!」
強化魔術からの重力を纏わせた拳でラッシュをかけていく。
重力の力が追加された重い一撃一撃により奴の壁の力が段々弱まっていくのが伝わってくる。
「これでどうだ!」
奴の魔力の反応からして後一撃で壊れる。私は大きく拳を振り上げ、リオウに向かってその一撃を突き出す……が、その瞬間奴は待っていたとばかりに顔をあげてこちらを見据え。
「甘い、その隙もらった! 魔術構成追加、ハジケろ『炸裂壁』!」
「んなっ!」
私が大振りの攻撃を仕掛けた瞬間、リオウを守っていた壁が多くの破片となってハジケ飛び襲い掛かってくる。その一発一発が鉛を投げつけられたような衝撃で、私はそのままふっ飛ばすされてしまった。
「グギギ……いってぇ」
「ワウ!(大丈夫っすかご主人!)」
なんとか大丈夫だな。『防御膜』によってダメージを抑えることはできる。
だが、これはかなり痛い……普通ならあちこち骨折していてもおかしくないなこりゃ。
「言ったはずだ、対策は考えてあると」
くそう……また高台の上でこっちを見下しやがって。
「なぁに、こっちだって今のはちょっとしたウォーミングアップさ。ここからが本番だぜ。覚悟しろよ」
「いいだろう、かかって来い!」
それじゃ遠慮無くいかせてもらうぜ。
「術式02、03展開! 『雷電波』、そして『軟体捕縛』」
直線的に向かっていく雷と周囲を取り囲むように発生させた粘着性のあるスライム。避ければ拘束、避けなければ力比べといったところだ。
私が狙うのはガチンコ勝負、全体的な魔力総量とケルケイオンの補助を考えれば私が有利だ。
「そういう狙いか……だが甘い! 先程の俺の魔術はまだ消えていないぞ! 魔術構成追加、属性 《水》『氷結の冷気』!」
これは……リオウが先程炸裂させた魔術の壁の破片から強烈な冷気が放たれている。
「くっ、私の魔術を逆に利用するか」
四散しているスライムはどんどん凍りついていき、やがて氷の足場がそこら中に作り上げられる。それによって逃げ道が確保され、雷をひょいと避けられてしまった。
「悪いが力比べをする気はない。以前の戦いからそれは得策ではないと学んだからな。『超肉体強化』!」
そうかよ、だがこっちだってそのままやられる訳にはいかないぜ。
肉体強化によって素早く動くリオウが足場を使いこちらへ向かってくるが、縦横無尽動き回る奴に挑戦的な魔術は当てづらい。
「だったらこうだ! 術式03追加、属性 《雷》『雷連鎖』!」
リオウの魔術で氷漬けにされようが元は私の魔術だ。大きな変化は望めないが、この程度の追加要素ならなんとかいける。
「なにっ! 空振りになったはずの雷の魔術が軌道を変えこちらに向かってくるだと!?」
『雷連鎖』は近くにある電撃を引きつける。ほれほれ、その内足場全体に雷が広がるぞ。
「ならば、『簡易足場』連続発動!」
足場から急いで飛び離れたリオウは地属性の魔術を使い空中に使い捨ての足場を次々に生成していく。
器用なことしやがる……って言ってる場合じゃないな、そのまま腰に挿していた剣を抜きこちらへ切りかかってきやがった!
「お望みの接近戦だ、主導権は……こちらが握らせてもらうがね! 『影切り裂き』!」
「ッ! 『超感覚強化』……見切った!」
この距離なら避けられる。私の肉体強化もまだ残っている……が。
「ぐっ!?」
脇に痛みが走る。見れば私の脇は切り裂かれ、そこから赤い血が流れ始めていた。
なぜ……今のは完璧に避けたはず? だが痛みに悶絶している暇はない。私はすぐさまリオウの方へ顔を向け、強化された五感を駆使して奴の持っている剣を観察する。
(……あれは!)
奴の剣の後ろにうっすらと揺らめく影が見える。その切っ先には切り裂いた時に付いたであろう私の血が付着していた。
「実剣の後ろに見えない剣か。前方の剣筋を読んでも後ろの剣が得物を捕らえる……ってとこか」
「その通りだ、そして……!」
傷を手当する暇も与えられず、連続でこちらに切りかかってくる。実剣を避けようともやはり影の剣の軌道は読みづらく、私の体にはどんどん生傷が増えていく。
「確かにあなたの魔術は凄い。だがこちらの間合いに誘えば剣術においてはこちらが有利だ」
巧みな剣術で途切れること無く追い詰めてくるリオウ。
その表情にはどこか焦りのようなものが見える……戦いがヒートアップしてきて奴も感情が表に表れてきたか。
「俺はこの革命のため幼少期からやれることはすべてやってきた。すべてを投げ打ち、この身と魔力を鍛え、剣術を学び、政界へ繰り出し今までの準備を重ねてきた」
「それは……なんのためにだ」
「世界を正しくするためだ! 誰も苦しまない世界を作る。この腐った世界への苦悩があなたにわかるか!」
リオウの強靭な意思を宿したような一撃が振り下ろされる。……が、私とてこのままやられる訳にはいかない。
それに今ならこいつの本音も……いろいろ聞けるかもしれないからな。
ギィン!
「なっ!? 防いだ……たと。その傷で!?」
「ま、奥の手はとっておくものだからな」
私のかざす手のひらの中にはすでに[wall]を起動したスマホが握られている。残り17%、ギリギリか。
「この隙に回復させてもらうぞ、『再生治癒』」
攻撃を弾き、リオウが後退したところで生命属性魔術により傷の修復を行う。痛みはあるがこれで十分に動く事はできる。
「くっ、ならばもう一度だ!」
また巧みな剣術と影の剣が私に襲いかかる。だが……。
「悪いがそいつはもう効かん、『重力武装』」
ケルケイオンに重力を纏わせリオウの攻撃をいなす。
さらに影の斬撃を受け流すと同時に腹部へケルケイオンの柄を突き出し、重力の力を強めてぶっ飛ばす。
「なんだと……ぐあっ!?」
「残念だが私に同じ手は通じない」
先程の奴の攻撃もただ単にやられていた訳じゃない。影の剣の動きを観察し、傷を追いながらも動く範囲、大きさ、軌道を体で覚えた。
それに自分には剣術があると言うが私にも前世で培った様々な体術、杖術は身についている。
「なぁリオウ、お前はさっきこの世界を正しくするとか言ってたけど……それはただの正義心からくるものなのか?」
「……そうだ、理不尽な貴族を排除し清く正しい心を持った者達が世界を良くしていく未来を作り上げていくんだ」
「だったら、その中にお前は含まれないな」
「なん……だと?」
私の質問にリオウは一瞬……迷った。もしこいつがレオンのように真っ直ぐな心を持っていたら、エリーゼのように曲がらない信念があるとしたら即答できていたはずだ。
だがリオウは一瞬迷った。それは奴の心の中に『本当にこの心は正しいものなのか』という疑惑が少しでもあるからだ。しかしそれを別の強い感情が押し殺す。自分がやらなければならない、二度とあんな光景を見たくない……。
そういう心情は私も……少なからず経験したことがある。
「お前中にあるのはドス黒い復讐心と拭い切れない後悔の念だけだ。それを正当化するために世界を良くするだの正義のためだと綺麗な言葉を並べているだけでしかない」
「なっ! ……貴様に、貴様に俺の何がわかる! ただの異世界人である貴様なんかに!」
私にはわかる、ただ世界を……争いや貧困をなくしたとしても、時が経つにつれて人の心は変わり、いつかまた新たな苦しみは生まれる……どれだけこちらが頑張ったとしてもだ。
変わっていくべきは……正さなくてはいけないのはその人間の心なのだから。
それをリオウが知る頃にはもう遅い。その時になればきっと奴は絶望を味わうだろう。
「わかるさ、お前のことも……その想いもな」
そうだ、きっと私はこの世界中の誰よりもリオウのことをわかっている。
だからこそ、私が救ってやらなければならないんだ。
「黙れ! 俺が世界を変えるんだ、もうあんなことが二度と起こらぬように!」
リオウの魔力がこれ以上のないほど膨れ上がっている。どうやら次の攻防で決着をつけるつもりらしいな。
「いいだろう、全力でこい! 私も全身全霊でそれに答えてやる!」
「魔術構成、《水》《風》《雷》超魔術『嵐の剛拳』!」
リオウが魔術を唱えると風が巻き起こり、流水が暴れ、雷が唸る。そして、嵐は集束し巨大な拳となって放たれた。
そちらが本気なら……こちらも本気でいくしかないだろう!
「術式展開! いきなりいくぞ、『青き炎の制裁』!」
あちらの攻撃に合わせ、私も準備していた魔術を解き放つ。
巨大な青き炎の球体と嵐の拳による純粋な力と力のぶつかり合い……だが、おそらくこのままでは終わらない、奴も私もな!
「これで終わりだ! 魔術構成追加、これが今の俺にできる俺の最強魔術だ! 『氷結と流水の巨人』!」
やはりそれできたか! 氷の巨人に私の炎球が包み込まれていく。
「だったらこっちもいくぞ! 全開術式展開! 『青き炎の獰猛』!」
全開術式の解放により青き炎はその勢いを取り戻し、竜人の形となり氷の巨人を押さえつける。
以前の勝負では魔力量の差で私が優勢だったが……。
「残念だが今回は以前とは違う! やれ!」
あの氷の巨人の腕から発生したあれは……先ほどの嵐の拳か! このままではいくら私の方が魔力総量が多かろうが威力で負けていれば押し切られてしまう。
「俺は……必ず貴族共を潰して平和な未来を作るんだ! それが俺の過去の精算! それこそが……俺が捧げるミレイユへ手向けだ!」
『青き炎の獰猛』がその勢いを失っていく。
「そうか……それがお前の心の闇か」
今、私の中ですべてが繋がった。やはりそうだったんだな……リオウ。お前はあの時の……。
「な、なぜ……笑っているんだ」
なぜだろうな……この感じはドラゴスに再会した時と似ているかもしれない。
私はリオウと……いや、昔のリオウとの直接的な繋がりはなかった。けれど確かな繋がりはある、私の胸の中に確実に。
「だから、お前を救う! それがミレイユと交わした私の約束だからな!」
「!? 今……なんと」
「集束しろ、解放されし私の魔力よ! この腕に、熱き想いを乗せた赤き炎よ、絆を繋ぐ青き炎よ!」
消えかけていた『青き炎の獰猛』へさらなる命令式を追加。
全開にした私の魔力、そのすべてをこの両腕に集束させる! 待ってろよリオウ、お前のその怨念で凍りついた悲しい魔術、私の炎で貫いてやるぜ!
「《炎》全開集束魔術! 『螺旋渦巻く炎竜撃』!」
「と、止めろ氷結と流水の巨人!」
氷の巨人が嵐を纏うその両腕で『螺旋渦巻く炎竜撃』に抵抗してくる。だがその程度でこの私の燃え上がる心を抑えきれはしない!
「貫けえええええ!」
「そ……そんな」
螺旋の炎は嵐を飲み込み、腕を砕き、その体を飲み込む。部屋中が水蒸気に包み込まれ、視界が完全に塞がれる。
ついに私の魔術により氷の巨人は完全に崩れ落ちた。だが、まだだ……まだ奴の魔力反応は残っている。
こちらへ近づいているな、これが本当の最後の勝負になる。
「だあああああ!」
「ぬぅ!」
奴の剣と私のケルケイオンがぶつかり合う。先程の攻防でお互いに魔力はかなり消費した……次の一撃ですべてが決まる。
「答えろ! ミレイユとの約束とはどういう意味だ! なぜミレイユのことを!」
「それはな……私も同じだからだよ、このわからずやの転生者!」
ギィン!
お互いに弾き合い距離を取る。ここで私が止まる訳にはいかない。
「来るか、ならば『遮る光柱の壁』! これで貴様を止める!」
あれは最初に使われた強固な防壁か。しかし言ったはずだ、私に同じ手は二度と通用しないと。
すでにケルケイオンのブーストは発動済みだ。一撃で……決める!
「もう一発いくぞオラァ! 《雷》全開集束魔術! 『反逆の雷突』!」
貫く、あいつの想いを絶対に届けるために。
「そんな、壁が……壊れる!?」
バリンッ!
私の魔術がリオウの壁を壊す。二人共これで魔力はほぼゼロ、体にもあまり力は残っていない。
「これ……で」
リオウは最後の力を振り絞り私に剣を振り下ろそうとしている。だが……。
パリッ……
「あっ……!? がっ……これ……は?」
「[stun gun]……悪いな、私の勝ちだ」
剣が振り下ろされる前にスマホをリオウに押し付け[stun gun]を起動させた。そのままリオウは私の前に崩れ落ちる。
「俺は……必……ず、助け……」
[stun gun]のショックで夢と現実が混同しているようだ。その姿はいつか見たあの男に……ミレイユの兄と重なる。
だから私はもう一度言葉を交わす、今度はこいつ自身を救うために。
俺は……負けたのか? 意識が薄れていく……嫌だ、ここで終わりたくない。
俺はあの日、体を貫かれ確かに死んだ。しかし、目覚めた時俺は赤ん坊となりこの未来に生を受けた。
(俺は前世で何もできずに終わった。ミレイユを助けられず、傲慢な貴族共に殺され……)
だからこそこ現代に蘇った俺は昔と変わらない……いや、昔よりもさらに酷い今の世の現状が許せなかった。
自らが貴族だということも許せなかった。あんな奴らと一緒になりたくない、政界に出てさらに嫌気が差していた。そんな時に出会ったのがシリカだった。
じぃやから彼女が俺の妹だと知らされた時、ミレイユの顔が浮かんだ。
(今度こそ、今度こそ守ろう。妹を……そしてこの世界を)
そして俺は行動に出た。だが行動する度に俺の心に影がちらついた。これは本当に正しいことなのか? ……と。
(ミレイユは……絶対許さなかっただろうな)
本当は誰かに止めて欲しかったのかもしれない。あの前世の最後の日、夢で見る最後の光景。
俺を救ってくれる言葉を投げかけてくれる、神の存在が……。
「俺は……必……ず、助け……」
もうわからない、これが夢なのか現実なのか。このまま目を閉じて終わってしまうのもいいかもしれない……。
(お兄ちゃん、起きて。目を開ければ、きっとその人がお兄ちゃんを救ってくるれるから)
もう二度と聞くことがないと思っていた声、その言葉に導かれ目をうっすらと開けると……そこにはいつも見ることができなかった夢の続きがそこにあった。
「お前も、お前の妹も必ず助けてやる。だから安心しろ……」
いつしか俺の瞳からは涙が溢れかえっていた。
そうか……俺は間違えていたんだな。あの日から……すっとこの方は俺を救おうとしてくれていたんだ。
「あなたこそが……我が神だったのですね」
修正しました(10章時点)




