79話 戦う準備
「とにかくまずは帰って風呂入って飯食ってそれから爆睡だ。魔力を回復しなきゃどうにもならん」
リオウの演説後、疲労困憊の私達は体を休めるために寮へ戻る帰路を歩いていた。
今はあのオンボロベットでもなんでもいいから泥のように眠りたい……。
「ほら師匠、もう少しですからもうちょっと足に力入れてください」
「まったく、何でわたくしがこのようなことを」
現在動けない私を二人が一生懸命担いで運んでくれている。
ちょっと張り切りすぎたからな、ほらほら二人とも頑張ってー。
「というかリーゼはこっちでいいの? 自分の寮に戻った方がゆっくりできるんじゃ……」
「あら、その心配は要りませんわ。そろそろ出来上がってるはずですし」
おすし……じゃなくて。今エリーゼは何と言った? 何が出来上がってると?
「ほら、見えましたわよ」
いつも通る道を抜け、広い空間に出るとそこには私達の寮が……ない!?
代わりにそこにあったのは……。
「な、なに……この豪邸!?」
レオンが口をあんぐりとして呆けてしまった。そう、朝まで寮が存在していた場所にその何倍もの大きさを誇る豪邸が建っていたのだ。
「お帰りなさいませエリーゼ様。すでに食事と入浴と睡眠のための部屋のご用意はできております」
私とレオンがまだ呆気にとられていると、中から一人のメイドが現れた。
「いつもありがとう。まずは入浴からですわ、彼らの分も用意してあげて」
「かしこまりました」
彼女に対してエリーゼはなんの違和感も無く家の中へ入っていく。
「ほら、あなた達もぼさっとしてないでお上がりなさいな」
私達は言われるがままにその家に入ると、そこで待っていたのは至れりつくせりな待遇だった。
まずは風呂だ。水と火の魔石を使用した広い浴場ですっきりと汗を流す。こんないい風呂は日本の一般家庭でもそうそうないくらい高級な設備と言えるだろう。
「ぼ、僕お風呂に肩まで浸かったの初めてかもしれません」
というわけで、綺麗さっぱりしたとこでちょっとエリーゼを問い詰めようか。
「これはどういうことなんだ」
すでに用意されていた服に着替え、今は食卓のような場所に移っている。
「どうと言われましても、今日からわたくしもここに住むのですから少々リフォームを」
いやリフォームってレベルじゃねぇだろこれ。大改造劇的ビフォー○フターに登場する匠も真っ青だぞ。
「えっと、ここに住むって……いつから決めてたのリーゼ?」
「あなた方と組むと決めてからすぐですわ。ちゃんと上にも話は通して、ここに住む承認を貰い、建制ギルドの優秀な方々にリフォームをお願いしましたの。勿論お二人の生活寮もこの場所に登録されたままよ」
あの後すぐかよ、行動力ありすぎだ。まさか、あの建制ギルドの副マスターがいたのってこのためなのか……?
「お食事をお持ちいたしました」
暫くするとメイドさんが食事を持ってきてくれた。
さっきからこのメイドさんしか見ないが一人ですべてこなしてるんだろうか。
「食事ってことは……もしかして、また朝みたいなメニューが……」
あんなもの出てきたらレオンは値段を気にして味なんてわからないだろう。
ここはレオンのためにも普通の食事を出してもらうよう進言しておくか?
「大丈夫ですよ。本日はレオン様が第三大陸出身ということで、その特産品を使用した家庭料理をお出しするようエリーゼ様より言われていますから」
そう言ってメイドさんがレオンに微笑みながら出す料理は一般家庭で出されるようなごく普通の料理だった。
「え……あっ、ほんとだ。このパイ包みなんて昔家で食べてたのと一緒だよ! ありがとうリーゼ!」
「べ、別に……レオンのためではなく、たまにはこのような庶民の味を食べたいと思っただけですわ」
エリーゼのツンデレ発言は不本当にわかりやすいな。
それにしてもうまいうまい。この世界に飛ばされてから初めてリュート村の村長とこの食卓を思い出すな。
「いやー、エリーゼのことだから専属の料理人がバンバン出てきて食べきれないほどの高級な食事が出てくると思ったが。こんなにも庶民的な料理を作るメイドさん一人とはな。それにしても本当にうまいうまい」
「ふふ、ありがとうございます。私は元々庶民の出でエリーゼ様に拾ってもらった身ですから、こういった料理の扱いは慣れておりますから」
ふーん……って拾ってもらった? どこかで聞いた話だな……。
「ねぇリーゼ、この人って……もしかしてダンジョンで話してくれた……」
「ええ、そうですわよ」
やっぱりか、ご飯の支度をして待ってるとかも言ってたしな。
てことはこの人がマレルの母親か。
「自己紹介が遅れました、本日よりこの屋敷のメイドを勤めさせて頂くことになりました、フィオネと申します。ギルドの皆様にはいつも娘がお世話になっております」
娘さんと違ってこちらは礼儀正しい。マレルは明るい性格だが時々失礼な時があるからな。
「えっと、フィオネさん?」
「フィオで結構です。なんでしょうかレオン様」
様付けなんて慣れてないレオンはこの雰囲気にちょっと動揺しているな。
「じゃあフィオさん。少し失礼なことを聞きますけど……本当に以前誰かに復讐しようと?」
「はい、あの頃の私に残されたのはその思いと娘のマレルしかいませんでした。結果は……無残なものでしたが」
やはり本当のことなんだな。今の世の中の一番の問題は、危険な未開拓地でも新魔族の脅威でもなく、そんな貴族達の暴走なのかもしれない。
「ですが私はエリーゼ様に救って頂きました。そしてその理想に共感し、この一生をかけて支えていく所存です」
「ありがとうフィオ。わたくしもあなたのような優秀な人間に支えられて幸せよ」
「勿体無いお言葉です」
美しい主従関係! 前世では私にもこうやってついてきてくれる奴らが……いや、あいつらは大体自分勝手に動いてた気が……。
ま、まぁ今はレオンのように私を慕ってくれる奴もいるし……。
「……」
おや? そのレオンの顔がなんだか元気がなさそうに見えるが。どうかしたのだろうか。
「どうしたレオン、食いすぎて腹でも下したか?」
「そんなんじゃないですよ。ただ……リーゼの理想もリオウ君の理想、どちらもこの世界を良くしたい気持ちは一緒なのに……って思って」
「……なんですって?」
その言葉にエリーゼが ピクッ と反応し、少しいら立ちの混じったようなような表情でレオンを睨む。
「レオン、わたくしの気持ちがあのリオウと同じだと言いたいの……」
「だってそうじゃないか、やり方はどうあれ二人とも理想は同じようなものでしょ。だったらもし協力し合えればもっと……」
「お黙りなさい、レオン・アークナイト」
その言葉にレオンはそれ以上言葉を出せなくなる。
こういった世界の話は、レオンには理解し辛いかもしれないな……。
「今回の失言はあなたが混じりけのない善意のものだから無しにしてもいいわ。でもこれだけは覚えておきなさい。わたくしの理想と同じものを持つ人間なんてこの世にはいないということを」
「ど、どうして……」
「わたくしのこの理想はわたくし自身が抱き、わたくしが導き、そして成し遂げることこそ意味があるものなの。誰かの理想と同じだと考えれば気持ちが楽になり、その理想は弱くなる」
確かに同じ考えを持つ仲間は大切だろう。しかし『自分のやりたいことを誰かがやってくれようとしている』と考え、その後ろをついていくことになれば、それはもう自分のものではない。
ならば『皆の理想』として一丸となって叶えればいいと考えるのは悪いことではない。
だが、結局は誰かが先導しなければならないだろう。その役目を自分が担うことこそが彼女の理想なんだろう。
「わたくしにはその強い覚悟があります。そしてあのリオウ・ラクシャラスもそれは同じこと。だからわたくし達が道を共にすることはまずありえませんわ」
それでもレオンはまだ納得してない様子だ。まったく、飯時にする話じゃないだろこれ。
「はいはいこの話はお終いだ、明日からみっちり話し合いするからそれまでとっとけ。お前らも疲れてるんだからさっさと食って寝ろ」
その後、鍵を渡され自室に案内される。部屋は六部屋あり、私が二階の部屋、レオンとエリーゼが一階の部屋で隣同士だ。
「……何か意図的なものを感じるんだが」
「ふふ、そうですね。エリーゼ様があそこまでご執心になるなんて初めてで私も驚いてます」
案内してくれたフィオさんがふふっと笑う。この人は何から何までこなして、本当にできるメイドさんだな。
「そういえば部屋も空いてるしフィオさんもここに住むのか? 家族のマレルもここに連れてきたりして」
「いえ、私は元々住んでいた場所から通うことになります」
「そうなのか、ちょっと残念だな」
「ワフ……(まさかご主人、フィオさんに手を出す気だったんすか……それはちょっと……)」
「んなわけあるかい」
未亡人という響に男として引かれるものはあるが、私とてそこまで見境ないわけではない。ただフィオさんも住むなら娘のマレルも一緒に住んでもっと親密になれるかな~とか思っただけだ。
「あの、どうかしましたか?」
おっと、犬の声は私以外には聞こえないからこれ以上続けたらちょっと頭のおかしい人に見えるかもしれない。
「いや、なんでもない。マレルによろしく言っといてくれ」
「わかりました。不出来な娘ですがこれからも仲良くしてください。ではおやすみなさい」
さて、私もそろそろ寝るか。部屋の中は以前と比べるとそれこそ天と地の差、レオンが気絶してないか心配だ。明かりの魔道具の光を消しベットの上にダイブ、そのまま目を閉じる。
さて、落ち着いたところで今日のことを少し振り返ってみるか。
今回の敵は首謀者であるリオウだ。協力者はその妹であるシリカ、それともう一人迷宮を操作する人物……この人物はおそらく、リオウに信頼されているが戦闘力は低い人物だろう。どこの誰かもわからない奴に迷宮の権限を渡したくないだろうし、リオウは奴隷というものが好きではないからその線も考えなくていい。
今日塔へ乗り込んだ者達も奇怪に動く迷宮のせいでほとんど登れなかったと聞く。現在では塔の迷宮攻略の対策を取ろうとギルドの魔導師達が躍起になってはいるが、時間もほとんどないのに対策など取れるはずもない。
「だが、私にはこれがある」
「ワウン(新しいアプリっすね。ホントどうなってるんすかそのスマホ)」
「どういう構造で魔術が入っていたり発動するかはわかってるんだがな」
「ワフゥ……ワウ!?(そうっすねぇ……って、構造わかってるんすか!?)」
実はそこんところはバッチリだ。魔力は電力を溜める場所に入れられることがわかっているし、魔術アプリはそこから電子回路を通って記憶媒体に収納されているアプリにちょちょいと繋がれば発動する。
が、問題は……。
「記憶媒体への魔術の組み込み方だな」
これらのアプリは謎の発信源から勝手にダウンロード、インストールされてしまうので出所はわからない。
設備さえあれば一度分解してみてじっくり調べ上げるんだがな。
「ワウン……(軽くホラーっすよねその現象……)」
「まぁ機会があれば正体は突き止めるさ、日本に帰れるまでに見つけられたらの話だけど……な」
ともかく、もう少し実験が必要だが塔の迷宮はこれで問題ない。だが、塔を登りきれば必ず奴らとの戦闘は避けられないだろう。
リオウ、シリカ、そしてオルトロス。元々オルトロスの力は三人で挑まなければかなり苦戦を強いられるのに、そこにサポートのシリカが加わることで倒すことはさらに難しくなる。命令でもうエリーゼだけを猪突猛進に襲うことはなくなったし、攻撃や咆哮のタイミングも自由自在。
それなのにまだ最大の問題が残されている。
「リオウ……奴の魔術知識は前世でもかなりの術者に相当する」
術式の追加だけならまだしも、こちらの攻撃に合わせた的確な魔術構築と敵を倒すために組まれた圧倒的な魔力回路はかなりの経験を積まなければ成しえないものだ。
「ワウワウ(でもそれってかなり子供のころからやってないと無理って話っすけど。でもあの人ご主人とそう歳はかわらないはずっすよね)」
そう、確かにあの年齢であそこまで魔力回路を整えるのは不可能ではない。私だってケルケイオンの力で短期間でここまでいけたからな。
だがそれは私に知識があったからだ、たとえもの心ついた時期から勉強したとしても補助器具なしであそこまでいくのは到底無理な話……では一体どうやったのか?
「あいつには……色々話を聞かなきゃいけないみたいだな」
リオウとは何かを話さなければならない、何かそんな予感がする……。
「とにかく起きたら作戦会議だ。おまむみ~」
次の日の朝、フィオさんの料理を頂いた後、私達は外へ出て作戦会議を始めた。
「ではこれより『打倒リオウ! 塔を駆け上がるぜ大作戦!』の会議を始めたいと思う」
「またそんな変なネーミングですの……」
「師匠はいつも平常運行ですね」
そういうお前らは昨日の夜からのギスギスは少しは納まったみたいだな。
まぁ元々こんな関係の二人だったし一晩寝れば収まりもするか。
「けれど作戦会議ならいちいち外へ出る必要はないんじゃないかしら?」
む、エリーゼの鋭い突っ込み。だが考えならあるぞ、青空学級のように開放的な空間で話し合うことでいつもよりも広い心で……って訳でもないけど。
「あの……師匠。もしかしてその後ろにいる方々? と何か関係があるんでしょうか……」
「ああ、その通りだ」
レオンが指摘したのは、今私の後ろでストレッチの動きをしながらまだかまだかとスタンバっている二体の岩石生命体のガ○ダムとザ○だ。
「どうして作戦会議にそのようなものが必要なの?」
「とりあえず私の話を聞け。コホン……ぶっちゃけ今回は作戦らしい作戦はない!」
私の言葉にレオンはポカーンと、エリーゼは呆れたような表情でこちらを見る。
「え、えっと、じゃあこのままその人達? を連れて出発ってことですか?」
んなわきゃあるかい。岩石生命体は普通の人間サイズしか通れない塔の入り口に入れないっつーの。
「そもそも作戦がないとは言ったが問題がないとは一言も言ってないぞ」
前回の戦いを覚えてないのかお前ら。
足りないところがあったらすぐ改善するよう心がけなきゃだめだぜ。
「問題なんてありませんわ。リオウの不意打ちさえなければわたくしもまだ戦えましたし」
「リーゼ、あまり驕りが過ぎるのは良くないよ。僕もこの前の戦いはあまり役に立てたとは思わない。最終的に全部師匠の請け負わせる形になっちゃったし……」
「……」
エリーゼもわかってはいるが認めたくないんだろうな。しかし、レオンの強い言い分に観念したかのように「はぁ」、とため息をついて。
「わかりましたわよ。わたくしにも至らない点があったことは認めます。だから素直にあなたの言う問題というのを聞かせてもらいますわ」
なんというか、エリーゼもここ数日で大分丸くなったと思う。こうやって本当の仲間になっていくのは前世を思い出すなぁ。
っと、しみじみ思い出してる場合ではない。
「よし、まず二人の問題点だが……魔術に関してはこのまま修練していけば何も問題はない。だが動きに問題がある」
「動き?」
そう、動きだ。最近の軟弱魔導師は近接の戦い方や流れ弾の対処などがまったくできていない、どっしりと構えてりゃいいもんじゃないんだぜ。
エリーゼは今までの経験から少しは動けるようだがレオンはまるっきり駄目だ。オルトロスとの戦闘の時、エリーゼは逃げ遅れ、レオンはいとも簡単に黒棒を弾き飛ばされてしまった。
簡単に言えば、二人に足りないのは戦闘のセンスということだ。
「そこで、二人ともそれぞれの得物を生かした最低限の動きを身につけるんだ」
レオンは黒棒、エリーゼはフルーレだ。これだけ見るとお前ら本当に魔導師かよと思うかもしれないが、無理に杖を使うよりも自分に合った得物を使うのが一番だ。
レオンは黒棒しか持ってないだけなんだがな。
「ま、だらだらと長ったらしく説明しても日が暮れるだけだしぱぱっと始めるか」
岩石生命体も待ちきれなくてフュー○ョンのポーズの練習始めてるしな。
「あのー……てことはあのゴーレム達は」
「おう、お前らの特訓用だ」
「やはりそうでしたか……。けれどこんなことをしてる暇なんてありますの? 三日後にはもう終わりですのよ」
「だからこそ後二日間みっちり特訓して万全の状態で戦いに挑むんだ」
一歩も引かない私に観念したかのように二人はおのおのの武器を構える。こういうのは体で覚えるのが一番だ。
「こいつらはそれぞれお前らに動きを覚えさせる特訓をするようインプットしてある。あと使っていいのは強化魔術だけだ、いいな!」
「ぼ、僕そんなに強化魔術は得意じゃ……」
知らん、気合でなんとかなる。有無を言わせず特訓開始だ。
エリーゼはともかくレオンはもう少し戦いとはどんなものかを学んだ方がいいからな。
「では私は塔の様子を見てくる。犬を見張りにつけとくから魔術使ってズルしたらすぐわかるからなー」
念のため犬に[wiretap]をつけ、いつでも状況は確認できるようにしておく。これで完璧だ。
「んじゃよろしく頼むぞ犬」
「ワウ!(了解であります!)」
私も自分の仕事をしにいくか。森を抜け、街の出てダンジョン近くに聳え立つ塔へ向かうぞ。
「てなわけでやってきたぜ」
陰謀渦巻く塔の迷宮。その周りには攻略に失敗した他国の兵士や各ギルドの強豪がたたずんでいた。
酷い怪我をしているわけではないが数日は動けないであろう傷を受けている者もいる。回復魔術を使っても痛みが残り、再び登るのは無理か……むしろわざとそうしてるのかもな、無意味な犠牲者を出さないために。
「迷宮を動かしてる奴はそれほど悪い人間じゃなさそうだな」
おそらくリオウと通信していた何者かだろうが立ちはだかるならこちらも全力でいかせてもらう。
つーことでお邪魔しまーす。
「お、おいお前一人で行く気か! やめとけ、死ぬぞ!」
負傷した兵達が止めるが気にしないで進むぜ。
「なに、ちょっと様子を見るだけだし危ないことは……」
「いやいいから戻って来い。じゃないと……」
まったく大げさな奴だな、入り口に入っただけでこんなに騒ぐなん……。
ゴゴゴゴゴ……
……なんだこの音、段々近づいてきているような。
「って何だこりゃ!?」
「うわあ、言わんこっちゃない! 皆離れろー!」
突然入り口目掛けて通路を埋め尽くすほど大きな岩が転がってきた。
もしかしてここにいる奴らほとんどこれでやられたのか……。
「いきなり歓迎が手荒すぎるぞ! とりゃ!」
フッ……
「な、なんだ!? いきなり岩が消えたぞ?」
後ろで見ていた奴らは何が起きたのかわからずキョトンとしている。
何をしたかというと、スマホの[map]上にあった丸い罠アイコンを摘んでゴミ箱にポイしただけだ。どうやら迷宮内のトラップもこのようにらくらく解除できるらしい。
「でも一回に魔力を10%も使うのはもったいない気もするな」
つまり[map]で罠を回避しつつ[magical labyrinth]で最短ルートを形成していくのが一番効率がいいか。
「ま、もう少し進んで試してみるか」
その後、迷宮内でアプリを実験した後、寮へ戻るとぐったりとしたレオンとエリーゼが横たわっていた。
二人は明日もきっとこの調子だな。残された期限は少ない……決戦の日に向けて私もやれるだけのことをやっておこう。
修正しました(10章時点)




