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75話 真相へ近づくために


「起きなさい! あなた達いつまで寝ている気なの!」


 オルトロスの襲撃事件から一夜過ぎた翌朝。私達はボロ小屋に響く謎の大声によって叩き起こされた。


「わわっ!? お、おはようございま……ってエリーゼさん!?」


 なんと、まさか朝から美少女が起こしに来るなんてラノベかなにかか? 「べ、別にあなたのためじゃないんだからね!」と言いつつも毎朝起こしてくれるツンデレヒロインの誕生……。


「約束通り翌日になりましたので教えてもらいますわよ、あのオルトロスとかいうモンスターの詳細を」


 ですよねー。今までの話からしてそんな展開でもないしな。

 てか今何時……うわ、まだ六時前じゃねぇか。


「えっと、というかカギがかかってたはずなんだけど」


「ノブを回したら勝手に取れて開きましたわよ?」


 うわお、このボロ屋そこまで限界だったのかよ。嵐でも来たら全壊しそうだな。


「あなた方、いつもこんな馬小屋のような場所で生活していたの? わたくしなら耐えられないですわ……」


「うっ……」


 こんにゃろ、私達だって別に好きでこんなところにいるわけじゃ……あ、いや、レオンは結構気に入ってるんだっけここ。


「とにかく、今日こそは約束通り話してもらいますわよ!」


 こちらの状態も気にしないでずかずかと入り込んでくる。

……はっ! この状況はマズイ!


「レオン・アークナイト、あなたもいつまでも毛布を被ってないで出てきなさい!」


 そう言って引っぺがすようにレオンの毛布に手をかける。


「ちょ、ちょっと今はだ……」


バサッ!


 レオンの抵抗むなしく最後の牙城が崩されるとそこには……。



ぱおーん



「……」

「……」

「……」


 その瞬間その場にいた全員が凍りつく。レオンは顔を真っ赤にして、エリーゼは手をわなわなと動かし、そして犬はまだ爆睡中。

 仕方ない、ここは私がフォローするしかないようだな。


「うん、仕方ないさ、男の子だもの!」


 とまぁそれで場が収まるわけもなく。


「き、きゃあああああ!?」


パァン!


 オルトロス討伐作戦の朝はこうしてレオンの頬が叩かれる音ではじまった。




「ワフワフ(それにしても凄い悲鳴だったっすね。ぼくビックリして飛び起きちゃったっすよ)」


 あの悲劇を終え、着替えも済ませた私達は朝食をとるためにいつもの食堂に来ている。

 まぁそれだけならいつものことだが今日は……。


「何故わたくしまでついていかなければならないの」


 いつものメンバーに加えてエリーゼも一緒なのだ。

 最も彼女は私からさっさと話を聞きたいだけでありこの状況には不本意のようだが。


「腹が減っては戦も出来んし話も出来ん。焦らなくても教えてやるからまずは飯を食おうぜ。あ、おばちゃんいつもの」


「あ、僕も同じので。ほら、エリーゼさんも朝食べないと途中で倒れちゃうよ。朝食はしっかりとらなきゃ」


 ついこの間まで朝飯どころか昼飯までろくに食ってなかった奴がよく言うぜ。ま、レオンも毎日十分に食事をとることでその大切さがわかってきたってとこか。


「はぁ……仕方ないですわね。ではこれをお願いしますわ」


「「……!」」


「あら? どうかしましたの、そんなに驚いて」


 私達が驚くのも無理はない。彼女が頼んだメニューはこの食堂でも最高級のブレックファースト。


 100匹に1匹しかメスが生まれないと言われる貴重な鳥のそのまた1/100の確立で生まれる黄金の卵のポーチドエッグ。それをおばちゃんの超技術が光るフワッフワのパンケーキの上に脂身の少なくそのままでもおいしい地竜の薄切り肉乗せ、これまた贅沢な素材をふんだんに使ったソースをかけた一品。

 それに加え、ここから少し離れた高原で採れた新鮮シャキシャキな野菜を魔物の住む危険な道を通って送られた産地直送のサラダ。

 食後に出るおばちゃんオリジナルブレンドのコーヒーは昨日の疲れを忘れさせ朝の眠気を吹き飛ばす。


 そんな最強の朝食が今! 私達の目の前に存在している!

 ……てかそんだけの食材を用意して調理するおばちゃんは一体何者なんだよ。


「え、えっと、エリーゼさんっていつもそんな朝食を……?」


 レオンが恐る恐る尋ねる。まぁレオンにとっては未知の次元の話だからな。


「いえ、そんなことはありませんわよ」


「そ、そうだよね、流石にいつもそれは……」


「普段はもう少し良い素材でオーダーしますわ。今日はその時間がなかったからこれでもマシな方ですわね」


「……」


 先生助けてっ! レオン君が息してないのっっ!!

 レオンがまるでこの世の終わりを除き見たかのようにガクガクと震えながらぶつぶつと何かつぶやいてる。


「こんな朝食が毎日……いやいつもはこれ以上って言ってたし……いやでもそれだと僕の家の数日分の食費にもなるだろうしそんなわけ……」


 やばい、レオンが現実逃避し始めた。僕の家というのはリュート村の村長の家のことだろうな。

 いつまでもこのままってわけにもいかんだろうしそろそろ現実を教えてやるか……。


 私はおもむろにレオンの肩に手をかけ、真実を語りかける。


「し、師匠?」


「いいかレオン、彼女はリュート村の皆が束になっても得られないほどの力……そう、財力を持っているんだ。きっとお前の知るピグヌスなんて食べたこともないだろう」


「そ、そんな……ピグヌスを食べたことがないだなんて……」


 あまりの衝撃的な事実にレオンの顔がどんどん青ざめていく。


「あなた達……先程からわたくしを馬鹿にしてらっしゃらない? ピグヌスくらい食べたことありますわよ」


「……! そ、そうだよね! ピグヌスなんて皆食べてるよね!」


 一筋の希望が見えたレオンはよかったよかったという風に胸をなでおろす。

 が、私は騙されんぞ……。


「エリーゼ……そのピグヌス、品種は?」


「当然最高級のブラックピグヌスですけど、なにか?」


 やはりな……ピグヌスの中でも黒いものは特に油が乗っていておいしい。

 一般家庭ではまずお目にかかれない代物だ。

 それを聞いた瞬間、レオンの顔から笑顔が消えた。


「も、もう嫌だあああああ!」


 諦めろレオン、これが格差社会の現実というものだ。




「それで? そろそろ話していただけないかしら。わたくし我慢の限界ですわよ」


 朝食を終えた帰り道、痺れを切らしたエリーゼが鋭い声で言い放つ。

 そうだな、そろそろギャグパートはお終いにしようか。


「いいだろう、ただしこれを伝えるには少し条件がある」


「今更そんなこと……まぁいいわ、言って御覧なさい」


 いちいち高圧的だねぇ。ま、ここまで引き伸ばして引くに引けない状況でイラつかないこともないか。


「条件は二つ……一つはオルトロス退治は私達と共に行うこと。二つ目は探索、戦闘においてすべて私の指示に従ってもらうことだ」


「つまり、わたくしにあなたの軍門に下れと言いたいわけ……?」


 私としてはただパーティーに招待しただけのつもりなんだが、プライドの高い彼女には他人に使われるという風に捕らえられるのだろう。

 やはり彼女を誘うのは少々難しいか……今回の作戦には出来るだけ少人数でかつ実力のある者で挑みたいんだがな。それらの点を踏まえても彼女は今回の作戦に適任なんだが。


「わたくし、誰かに使われるのは御免ですの」


 そう言ってエリーゼは後ろへ向き直りここから立ち去ろうと歩き出し。


「時間の無駄でしたわね、わたくしはこのままダンジョンへと向かわせてもらいます」


「待ってエリーゼさん! それは違うよ」


 私がエリーゼを止めるいい方法がないかと考えていたら、レオンが彼女を制止させた。


「違うとはどういうことですの?」


「なにも師匠は君をいいように使いたいってことじゃない。ただ僕達と協力……仲間になろうってことなんだよ」


「仲間?」


「指示に従ってもらうのだっていいように使いたいからじゃなくて、少しでも僕らの安全のためなんだよ、きっと」


 私の言いたいことを全部レオンが言ってしまった。まったく、他人をそこまで信じるなんて底抜けのお人よしだな……。


「そうだな、私も言い方が悪かった。奴を倒すために協力してくれエリーゼ」


「僕からもお願いします!」


 私と一緒に頭を下げるレオン。こういうのはこちらから誠意を見せる者だ。

 しかし、ちょっと真剣になると前世の頃の威圧感で話してしまうのは悪い癖だな。魔導師ムゲンはもっとおちゃらけていかんと!


「……はぁ、そこまでされてお断わりなんてしたらわたくしの威厳にかかわりますわ。いいでしょう、協力してさしあげます」


「ありがとうエリーゼさん!」


 そう言ってレオンがエリーゼの手を握ると、彼女の顔がどんどん赤くなっていった。


「なっ! べ、別にあなた達のために手を組むのではなくてわたくしの目的を達成するうえであなた達に手を貸すだけよ!」


「それでも、ありがとうエリーゼさん」


「……あ、あと、これから共に行動するのですから他人行儀な呼び方はなしですわ! 特別にリーゼと呼ぶことを許可します。代わりにわたくしもレオンと呼びますわ!」


「え、う、うん。わかったよ……リーゼ」


 ……はいチョロイン来ましたー。まぁなんとなくそんな雰囲気はかもし出していたしな。


「よし、では私も……」


「あなたは以前から呼び捨てにしていたでしょう。そのままでいいですわよ」


 しかし私にはこの冷めた態度……何故だ。

 いや、でもそうだよな、実際ピンチを守ったのはレオンだしあの二人は以前から関わりがあったから親密度からしても当然の結果か。


 くそう、なんで私には180度クルッと手のひらを返してくれるチョロインが現れないんだろう……。


「ワウ……(ご主人、惨めっす……)」


 ええいうるさいうるさい! はい、ラブコメ空間終わり!


「はいそこ! いつまでもピンク色の雰囲気出してんじゃない! これからオルトロスの概要説明するから耳の穴かっぽじってよく聞けやゴラァ!」


「ワフゥ(もうヤケクソっすね)」


 いつか……いつかきっと私にもヒロインが現れると信じて今は耐えてやる!

 だから今は説明じゃオラァ!




「まず最初に言っておく、あのオルトロスは人の手によって作られたものだ」


「え?」


「はい?」


 二人は私の言葉に理解が追いついてないようでキョトンとしている。

 いきなりの衝撃発言だから無理もないだろうがな。


「ちょ、ちょっと待ってください師匠。あの怪物が人の手で作られたんですか?」


「あ、あり得ませんわ。そもそもモンスターは自然に生まれて消える時は塵も残らない魔力の生命体でしょう?」


 エリーゼは学舎で習ったであろう知識をペラペラ語るが、その内容は私に言わせれば『研究不足』の一言に尽きる。

 聞いた限りでは、現在の世界では人がモンスターを作ることはないようだが、私の前世の時代では魔物の構造はもっと深いところまで研究されつくしていた。


「じゃあまずは人工魔物について軽く説明しよう」


 モンスター、魔物はこの世界の溢れたマナが居場所を求めて彷徨った成れの果ての姿だ。生命に宿れなかったマナがその地の生命体の姿を参考に独自の姿を得る。だがその時点でただ本能のままに生きるようになる。そして魔物は仲間を増やすため、マナの濃い場所をよく好む、『巨人の爪痕』のようにな。


「ここまでが普通の魔物、人工魔物は根本がまず違う」


 人工魔物は魔物から抜き出した情報を自分の魔力で霧散しないようにして、様々な要素を取り入れ生成する言わばキメラ生物だ。こういった生物には大抵元になった魔物がいる、あのオルトロスの大本はおそらくヘルハウンドあたりだろう。

 さらに、この魔物には様々なカスタマイズが可能でそこらへんの魔物にはないオリジナル能力もつけられる。ただし、調子に乗ってめちゃくちゃに入れまくると、制御の利かないヤバイ奴が出来てしまうこともあり注意が必要だぞ。


「つまり、あの体積の変化や魔術を無効する咆哮は誰かが考えて組み込んだもの、ということね」


 これだけの解説でもうそこまで理解したのか、エリーゼは飲み込みが早いな。


「その通りだ。さらに奴を蹴った時、ショックの吸収するためにいくつもの魔物の皮膚構造が折り重なってるのも確認済みだ」


 最初見た時から怪しいとは睨んでいたが、吠えた瞬間に奴が人工魔物だという確信に変わった。


「……! ちょっと待ちなさい。ということは」


「ああ、可能性はほぼ確実だろう」


 どうやらどうやら私達はこの事件の真相に近づいてきたみたいだな。


「え? え? ど、どういうことなの? リーゼ、師匠」


 ……ただ一人レオンを除いて。


「いいかレオン、あれが人工魔物ということは制作者がいるということなんだ。つまりこの事件は裏で誰かが手を引いている可能性が限りなく高いってことだ」


「そんな……」


 しかし、その黒幕は一体誰なのか、なんのためにこんな事件を起こすのか、真相はおそらくダンジョンの中に隠されている。


「それで、あのオルトロスが人工魔物ということはわかったけれど、対抗策はあるの?」


「なかったら今頃寮のベットでふて腐れながら寝てるさ」


 そのためのチームでもあるしな。今の私では一人でなんでもやるには限界がある。


「それじゃあ、今度はあの咆哮について教えようかね」


 あの咆哮は言ってしまえば私達の使う魔術とそう変わらない。ただあの咆哮は術を形にせず、魔力に属性を乗せた衝撃波がこちらの魔術内の魔力とぶつかり合っている。

 この世界にはいわゆる反対属性は存在せず、同じ属性の魔力同士がぶつかると力の大きい方が残る仕組みだ。すでに魔術として出来上がってるもの同士がぶつかっても、その外堀だけがぶつかってこの現象は起きない。だが強い魔力のみを波動として打ち出せば相手の魔術を消すこともできる。それを一応私は『対魔力衝撃ディスペル』と呼んでいる。

 ……まぁそんなことしても相手にダメージが入るわけでもないし想像以上に魔力を使うため私はおススメしないがな。せいぜい一回やってびっくりさせる程度だ。


「私の見立てではあのオルトロス、右の頭が自然属性、左の頭が特殊属性を打ち消す仕組みになってるようだ」


 二つの頭で吠えた時その八属性の波動がビンビン響いたからな。しかもその前は私の強化魔術を消すためにピンポイントで生命属性を打ち消してきた。


(現在は特殊属性は付与とひとくくりされているのにあの的格さ……制作者は完全に光、闇、生命の三属性に関する細かい仕組みを理解している)


 ここまでの話を聞いた二人の顔が険しくなる。それほど今の時代ではとんでもない事態なんだろう。


「でも師匠、咆哮で魔術が消されるとなると……勝ち目なんてないんじゃないですか?」


「いや、そんなことはない。あの咆哮は一見隙がないように見えるがそうでもない。第一に、見たところあれは連続で放てない。そして第二に、あの衝撃は魔術の表面しか攻撃できないんだ、だから私の魔術は破壊されにくかった」


「……どういうことですの?」


 この辺から現在の魔導師では理解しづらいものになってくるだろう。

 私の魔術は一つの魔術にどんどん新しい魔術を組み込んで強力にしていくのが基本だ。そしてその追加された術式は最初の術の内側へ入り作用していく。


「脚部鎧の魔術を使用中に対自然属性の咆哮を受けた時、術に若干ダメージはあったが完全には破壊されなかった。これは前後に組み込んである術式がなんとか形を崩さないよう壊れた術式の破片を繋ぎ止めていたんだ」


 流石に二回目の咆哮でさらに奥にある術式まで壊されれば維持をすることは出来なかったがな。

 だが追加術式を行っていけば咆哮のインターバルよりも早く魔術の再構成が可能だ。


「まぁちょっと高度な技術が必要だけどな」


 一応私の魔術理論は魔術をそれなりに扱えればちょちょいと使うことはできる、レイみたいにな。


「うう、僕まだ第三術式までしか組めないからなぁ……」


「いや、レオン。お前にはこの連続術式意外にも奴に対向する手段を使うことができる」


「え、僕が……?」


「正確には私とお前だ」


 先程説明したようにオルトロスの咆哮はこの世界八つの属性を利用してくる。だがその八属性に当てはまらないものだったら……。


「レオン、私達が使う重力属性の魔術は奴の力の影響を受けない。お前の『重力壁グラヴィティウォール』も影響を受けなかっただろ」


「そういえば……あの時は必死でそんなこと考えてる余裕もなかったけど、確かに」


 オルトロスを作った奴はこの世界を動かす理をよく理解している……だが所詮はそこ止まりだ。

 私は知っている、この世界にはその理に従っているだけでは到底辿りつけぬ領域があることを。理をねじ曲げ、世界そのものに反逆する力……それが禁術属性。


「作戦はこうだ。私とレオンがオルトロスを翻弄し、奴の咆哮の隙をついてエリーゼが構築した魔術をぶつけていく」


 オルトロスの戦闘スタイルからして、咆哮で防げる魔術を軽視して魔術耐性は低く、代わりに物理防御が強度になるよう設計されてるはずだ。

 強力な魔術を何発も打ち込まれれば流石にあの怪物もお陀仏だろうさ。


「だが問題は背後に黒幕がいる可能性があることだ。戦う時は常にその存在を意識して注意しろ。じゃ出発するか」


「わわっ! 唐突ですね師匠」


「ちょっと待ちなさい、わたくしはまだあなたの魔術理論とやらを教えてもらってないわよ」


「……それもそうだな。それじゃあちょっと後ろ向いてくれ」


「後ろを? まぁいいですけれど」


 普通に教えてもいいがその後の回路の調整などを自力でやらせ時間を食うのも面倒なのでこれで済ますぜ。

 何するかって? あれだよ、ケルケイオンを振りかぶってぇ……。


「そりゃ」


ブスリ!


「へ……きゃあああああ!? あ、頭に何か刺さっ……でも痛くないですわ?」


 初めて体験する不思議な感覚に顔をしかめるエリーゼ。その横で「うわぁ……」といった様子でレオンも同じような顔をしていた。


「僕もあんな風にやられてたんだなぁ……」


 そんなこんなでエリーゼの魔力回路の解析完了だ。

 ふむ……やはり彼女はそこそこ整った回路が形成されてるようだ。


「よし、ここまでわかればあとは歩きながらでも説明できる」


「まったく、いいかげんですわねあなたの師は」


「あはは……でもそこが師匠のいいところだから」


 真面目にやっててもつまらないだけだからな。とにかく作戦も決まったことだし今度こそ出発だ。

 ここは一発ビシッと私がキメて……。


「ではムゲンさん、レオン、ダンジョンへ参りましょう。今度こそあのオルトロスを倒すために」


「うん! 僕達の手で絶対にこの事件を解決しよう。リーゼ、師匠!」


 ……なんだろう、そんな予感はしていた。

 前世ではあんなに私が中心になって号令かけてたのになぁ……。


「ワフゥ……(ご主人、哀れっす……)」




修正しました(10章時点)


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