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184話 勢力集結 反撃の兆し


 なんだこれは? ただのごつい重鎧の兵って感じでもない。そもそもこんなでかい人間そうそういないだろうし。

 それに鎧にしても造形がちょっとおかしい、胴体と肩の部分は完全に一体化しているし、何より足の形状が逆関節だ。んで、腕と手は人間のそれよりも数倍大きくて……胴体の上には丸い形状の透明なカバー、その中に微妙に人の頭が見える。


 つまり……これらの情報から割り出される答えは……。


「もしかして……魔導鎧かこれ?」


『はい、我々はヴォリンレクス魔導鎧部隊チームαです』


 おお、くぐもった声がどこかに内蔵されてるだろう拡声器を通じて聞こえてきた。しっかしマジか……これ全部ヴォリンレクスのものだっていうのか。

 しかし魔導鎧と言えば元々は新魔族の技術のものだったはずだよな。まさかヴォリンレクスはその技術を手に入れて自国用に改造と量産したということになる。


 それに、造形がなかなかカッコいいぞ。今まで新魔族が提供した魔導鎧はどれも丸っこくてずんぐりむっくりしたものばかりだったのに対し、この魔導鎧は機能性を重視しつつも突き出すところは突き出している、何とも男心くすぐられるロボ感溢れる造形だ。


『我らが指揮官があなたをお待ちです。どうか我々とともに国境城塞までお越しください』


「なるほど、そういうことなら全然オッケー。一応戦いも終わったことだし、これでゆっくりと話ができそうだ」


 おそらくサティ達もすでに城塞へ到着している頃だろう。この地の魔導師ギルドは撃退した、だが脅威自体が完全に去ったわけではない。

 ここからだ……長い道のりだったが、ようやく反撃の一手へと私達は歩み始めたといえるだろう。


「それじゃ、多分懐かしい顔も見れるだろうからさっさと向かうとしましょかね(そっすねー……って、この場所で懐かしい顔っていったい誰っすか?)」


 ま、それは行ってみればわかることだ。




「お、やっと帰ってきたなこのバカちんが」


 魔導鎧兵に連れられ城塞の中へと入ると、そこにはすでにサティ達がヴォリンレクス軍に受け入れられ私の帰りを待ってくれていた。

 けどちょっと怒ってるなサティ。まぁ一人で無茶して敵陣に突っ込んだからそりゃ不満も当然か。


「スマンスマン、だが結果オーライだったろ」


「結果がどうこうって問題じゃないんだよ。まったく、ほんとムゲンはいっつも唐突なんだから」


「サティ、やめとけ。どうせこいつは何度言ったところで聞きやしない」


「ワウ(その通りっすね)」


 言いたいこと言ってくれちゃって。というか犬もなに便乗してんだ。

 ま、こうして私のことをわかってくれる奴らがいるからこそ私もあんな無茶をやっても問題ないって思えるわけなんだが。


「ふふふ……どうやら、魔導師殿は変わりないようだな」


「おや、この声はもしや?」


 それは、先ほどの戦場で聞こえたヴォリンレクス側の指揮官の声と同じものだった。ジオ同様、やはり私にはこの声には聞き覚えがある。


 その人物の姿を確認しようと私は後ろを振り向くと、そこにいたのは……。


「やっぱりパスカルさんだ。久しぶり、元気そうでなによりだ」


「魔導師殿も、第六大陸へ向かってそのまま消息が絶ったという連絡を受けていたので、この知らせを聞けば陛下方も大変喜ばれるでしょう」


 そうか、ディーオ達はルイファン達との和平を結んだことで第六大陸の情勢も僅かながら入手するすべを持っている。おそらくミカーリャあたりから私がいなくなったことを聴いたんだろう。


「しかしパスカルさんがこの砦の指揮官やってるとは。この国もいろいろ変わってるみたいだけど……」


「はい、魔導師殿が発ってから我々はルイファン様方を含む一部の始原族と和平を結ぶことを決定いたしました。……しかし、それを見計らったかのように魔導師ギルドが女神政権と結託、我々と完全に敵対する形となってしまいました」


 女神政権は新魔族完全根絶を謳っている……奴らにとってはルイファンもベルゼブルも変わらず一括りの"悪"でしかない。そんな存在と和平を結んだヴォリンレクスも同様に"悪"であり、その意思に同調する魔導師ギルドと戦争がはじまってしまったわけか。


 長き渡り行われてきたヴォリンレクスと新魔族との戦いに終止符が打たれたと思ったらすぐまた新しい抗争がはじまってしまうとは……。


「でも戦況はかなり優勢みたいだな。特にあの魔導鎧……」


 整備ハッチのような場所へ次々と魔導鎧が整列し、その頭部から操縦士が降りてくる。


「これは以前俺達が戦ったものと同じものか? それにしては随分造形が異なるが……」


「いや、アタシが知ってるものよりも格段に凄いよこれ」


 サティ達が物珍しそうに魔導鎧の周りをグルグルと観察している。そういえば以前サティ達とは第二大陸で新魔族に提供された魔導鎧に対して一緒に戦ったっけか。

 サティに関しては元々新魔族側にいたからそちら側のものは知っているだろうしな。


「あの魔導鎧は、協力してくださったルイファン様の技術者のお力と……前皇帝ダンタリオンの残した魔導要塞を参考にして作り上げたヴォリンレクスの新たな主力兵器です」


「魔導要塞……そうか、あれの技術を」


 ダンタリオンとの戦いにおいて奴が最後に持ち出してきた決戦兵器。あれも元々は新魔族の技術によるものなんだろうが、どうにもベルゼブルと共に極秘で作り上げていたようで、その構造は今まで見た魔導鎧の技術を遥かに上回るものだったのは覚えている。


 私も第六大陸に渡ることがなければあれを調べ上げて別の形に作り変えて実験してた可能性だってあるからな。


「しっかし、戦争を助長していたダンタリオンら代々の皇帝の意思に反したっていうのに、結局はその力を使って戦争が大ごとになってるのは……やりきれないものがあるな」


「そうですね……ですが、今の我々には必要なものです。それに陛下はあれを他国を撃ち滅ぼすために作り上げたのではなく、一つでも多くの国を守るために製造を決断したのです」


 そいつはまたディーオらしい決断だ。心優しいあいつのことだからな、多分周囲の説得もあってのことだろう。


 ……しかし見れば見る程ロボットだよなあれ。技術者達のセンスの良さが伺える。

 というかもう『魔導鎧』なんて名前もダサいよな、どう見ても"鎧"じゃねぇよ。なんかもっとカッコイイ名前が欲しいところだ。


「元々五分の戦いでしたが、あれが完成してから戦況は完全にこちらの優位に変わりました。現在は量産も進み、密かに同盟の準備を進めていた国へも防衛策として提供する手はずとなっている」


「なに! あの『魔導機人まどうきじんVR』をか!?」


「え? ま、まど……ぶいあーる?」


 おっとしまった、つい考え付いた名前をとっさに口にしてしまった。超進化を遂げたあの兵器はもはや機械の人と呼ぶにふさわしい、ちなみに末尾に着けたVRはヴォリンレクスの略称だ。


「私が勝手につけた名前だ、よければ使ってくれ。とにかく、同盟国にも防衛用としてあれを提供するというのは本当なのか」


「はい、一台あれば並みの魔導師が数十人束になっても打ち倒せるほどの性能はありますから。あくまで『魔導師ギルドからの防衛用』として我々の兵と共に常駐していただく契約をさせてもらうことになってますよ」


「なるほど、そういうことなら……」


 もうすでに簡単な話は聞いているだろうが、私はパスカルさんに私達がここまでやってきた理由と経緯を説明する。

 共にやってきたサティとレイ達の国の事情についても詳しく話をさせてもらい、すでにメルト王国との了承も得てあとはヴォリンレクスの了承次第だということも。


「そういうことでしたか……。ならば、早急に第二大陸との同盟を承諾し、そちらの国にもこれらの提供の手はずを進めましょう」


「おお、やった……って、なんかパスカルさんがとんとん拍子に決めちゃってるけどそれでいいの? ディーオに確認とか取った方がいいんじゃない?」


 いくらパスカルさんが軍事の最高責任者といってもこんな重要な案件を今この場でポンポンと決めてしまうのはいかがなものだとは思うのだが……。


「ふふ、我らが陛下が断ると思いますか?」


「あー……そうだな、ディーオなら二つ返事で了承するか」


 どこまでもお人好しで、何と言ってもその器の広さがあいつのいいところだからな。同じように困っている国から頼まれて放っておくはずもないか。


 しかし、パスカルさんの話からディーオは相変わらずのようで安心した。周囲の状況は大きく変わってしまったが、あいつはあいつのまま今自分がやるべきことに全力を尽くしているんだ。


「なぁムゲン、つまりこれでアタシらの本来の目的は完遂したってことになるのか?」


「ああ、これでお前達の国はもう安心だ。ただ……」


「それに喜んで俺達だけ今すぐ帰るわけにもいかない……そうだな?」


 レイの言う通りだ、確かにヴォリンレクスと同盟を結び魔導師ギルドへの対抗手段を確立させるという当初の目的は達成された。

 だが、二人としてもただ守ってもらう約束だけして何もしないというのはおこがましい話だ。マールガルド王から私達がヴォリンレクスに協力する約束もある。


 だからまずは……。


「パスカルさん、私達はこのままディーオの下へ向かいたいと思う」


「そう言うと思ってましたよ。安心してください、移動手段の用意、それと陛下への謁見のための話はこちらから連絡しておきますので」


 流石に物分かりが良くて助かる。こちらとしてはまずディーオに合わなければ次に移れないからな。

 パスカルさんから話は通るだろうがサティ達もケジメとしてディーオに会う必要はある。


 そして、そこからだ……。今このヴォリンレクスには私の知る強力な戦力が揃いつつある。

 私達の反撃は……ここからだ!




 ……と、意気込むのはいいんだが、とにかくまずはディーオ達の下へたどり着かなければ話にならない。


「てなわけで……はいっ! そんなこんなでヴォリンレクスの帝都に到着しましたー」


「ワウ……(どこに向かって実況してるんすか……)」


 まぁ状況確認も踏まえているのでそう細かいことは気にしない気にしない。

 ここまでの道のりは特に何事もなく過ぎていった。流石にヴォリンレクス帝国の領内ともなれば外敵の心配もなくスムーズなものだ。


「さてと……それでムゲン、アタシらはこれからどこへ向かえばいいんだ?」


「そうだな……」


 パスカルさんが先に向かわせていた伝令隊がいるので、おそらくディーオに私達の情報は伝わっているとは思うのだが……。

 このまま王城のある区画へと向かった方がよいだろうか? いや、あそこに入るのにも先に手続きをしないといけないだろうし……それよりも以前見た役所のような場所へ行った方がいいか?


 そういえば、魔導師ギルドとの敵対関係が明白になったことで役所の隣にあった魔導師ギルド支部は完全に撤去されたそうな。


「とりあえず、まずは役所に向かってみ……」


ワァアアアアア……!


 おう? なんだ、どこに向かおうか決めようとした途端に道の奥の方からこの街の入り口まで届く程の歓声が聞こえてくる。


「なんか騒がしいね?」


「どうやら向こうの方から聞こえてくるようだが……なにかあったのか?」


 しかもこの歓声、どこか遠くのものではなく、その規模を広げながら確実に近づいている……私達の方へ。

 そして……その騒動の元凶であるだろうものが、私達の前に姿を現す。


「あの集団がこの騒ぎの原因か? なぜこちらに向かってくるんだ」


「ちょ、ちょっとそこの人! あ、あれは何なんだい!?」


 状況が飲み込めずあたふたするサティとレイは慌てて歓声を挙げるその辺の人にこの状況の説明を求めると……。


「なんだいあんたら知らないのかい? あれはだな……この帝国を収める皇帝様の一団だよ!」


 二人がその発言に驚くが、それを頭で整理する暇もないままその一団は私達の目の前まで迫ってきていた。

 そこには、姿恰好は統一されておらず様々な風貌な集団が揃ってはいるものの、一人の人物を中心としてどこか統率が取れているように感じさせられる。


 そして、その中心人物こそが……。



「ぬおおおおおっ! ムゲンよー! よくぞ余の下へ戻ってきてくれたーっ! うおおおおおっ! おぬしがいれば余らの戦力も十倍、いや百倍、いやいや千倍なのだーっ!」


「ディーオ様、それは言い過ぎかと思います」



 うわー……久しぶりだなこの感じ。周囲には歓声も湧き上がっているというのにそれを上回る騒音っぷりは変わっていないようだ。

 それにサロマも、相変わらずディーオに付きっきりか。


 ここに到着するまではディーオも初めての他国との大戦に若干何かしらの心境の変化はあるのではないかとも思っていたが……この一瞬だけでそんな不安は取り越し苦労だったと理解できる。


「てか皇子さんは毎度毎度声と動作がデケェんだよ! んな騒がなくてもわかんだろうが!」


「でも、騒ぎたくなる気持ちは私達にもわからないでもないでしょ」


「それに、カロフも騒がしさでは似たようなものですわ」


「おお、お前らも……」


 続けてディーオの後ろから現れたのはカロフとリィナの第三大陸騎士コンビ……それにこの国で出会ったアリステルも一緒だ。後ろには専属騎士のカトレアも礼儀正しく控えている。


「まぁまぁ皆さん落ち着いて……。こんなに騒がしいと流石に師匠も戸惑っちゃいますよ」


「あら? この人はこの程度で委縮するほど神経が細い方でもないでしょう」


「エリーゼさん、その言い方はちょっと失礼じゃ……。あ、それとお久しぶりですムゲンさん」


「お前らも相変わらずのようだな……」


 マレルとフィオさんからレオン達はヴォリンレクスに滞在していると聞いてからなんとなく予想はしていたが、やはりディーオのところに厄介になっていたか。

 どうやらこいつらもあまり変わっていないようだ。……少しだけ悲し気な表情が見えるのはやはり魔導師ギルドが変わってしまったからなんだろうが。


 とにかく三人の無事を確認出来てよかった……それと。


「ガウッ!」


「わっふぅ!?(にょおおおおお!? テメェもいたんすかうひいいいいい!)」


「あら、オルちゃんも久しぶりに犬さんに会えて嬉しいみたいですね」


 犬のケツを楽しそうに追っかける人工魔物オルトロス。相変わらず犬はこいつのことが苦手のようだな。

 というか二匹で私の周りをグルグル回るのやめい。


 しかし勢ぞろいだなこりゃ。まぁ問題は、どうして勢ぞろいしてこんなところにやってきたのか……だが。


「……というか全員そろってこんなところで何してんの?」


「おぬしを迎えに来たに決まっておるだろーっ!? パスカルからの連絡で今日おぬしが到着するという知らせを受け大急ぎで出迎えの準備を済ませたのだぞーっ! それなのにどうしておぬしはそんなに冷めた表情なのだーっ!?」


 いや、こうも周囲が騒がしいと逆に冷静になるというか、私まではっちゃけたら収拾がつかないからというか……。

 再会できたこと自体はとても嬉しく思ってはいるがな。


「お、おいムゲン……いきなりの状況すぎて俺達はまだ頭の整理が追い付いていないんだが……」


「もしかして……そこにいるのが?」


「ああ、このヴォリンレクス帝国の皇帝、ディーオスヘルム・グロリアス・ノーブルその人だよ」


「あーっ! ムゲンよ、なぜおぬしがそれを言ってしまうのだーっ! 自己紹介は自分でしなければ余の皇帝としての威厳が示せぬではないかーっ!」


 その事実の真偽を私に確かめるも未だ信じられないという様子で唖然としてしまっているサティとレイ。その気持ちはわからんでもないが、これに慣れておかなければこの国じゃやっていけないぞ。


「では改めて……余がこの帝国の皇帝であるディーオスヘルム・グロリアス・ノーブルなのだーっ! おぬしらのことも聞いておるぞ、第二大陸からやってきたという親善大使であろう! わざわざ遠いところからはるばるご苦労なのだ! しかし、この混乱する時代の中で余に助けを求めるとはおぬしらもなかなかに賢い選択をしたのう! なに、任せておくがよい、こうして手を交わし友となった今! おぬしらと余の国の友好は確実なものとなった! これからは共に平和な世界のために頑張ろうではないかーっ!」


 怒涛のトークとともにずいっとレイに近づくと、そのままガッチリと握手を交わして勢いよく上下にブンブン振り回すディーオ。

 こちらの代表は一応サティなのだが、背丈の関係でレイの方を選んだな。


「お……おお。いや……俺達は……」


 そのいきなりの行動にレイももはやわけも分からず受け入れてしまう。やはり、ディーオが絡むと大抵のやつは調子を狂わされるんだなぁ……。


「えーっと……皇帝サマ? あのー、アタシが第二大陸代表『紅聖騎団クリムゾンレイダーズ』のリーダーなんだけど……」


「ぬぬっ! おぬしがそうであったか! 話は大体聞いておるぞーっ! えーっと、確か同盟と協力と……」


「我がヴォリンレクス帝国からメルト王国を経由し第二大陸間までの連携同盟の結託。および両国への魔導兵器部隊の提供……こちらは現在進行形で準備が進んでおり、完了後数日中には中央大陸全土にその旨を表明される手はずとなっております。加えて各同盟国から我々への協力の証として『紅聖騎団クリムゾンレイダーズ』のお二人がムゲン様に同行する形で参られたのですよディーオ様」


「うむ、そうであったそうであったーっ! その通りであるぞサロマ! 余も今それを説明しようと思っておったところだ!」


 流石出来るメイド、相変わらずディーオの足りないところを完璧にサポートしているな。以前よりも表情豊かにディーオの隣に立つその姿を見ていると、この国も将来安泰な気がしてくるほどだ。


「何からなにまで任せちゃってるみたいで申し訳ないねぇ。アタシはそういうのあんまり詳しくないから」


「第二大陸『紅聖騎団クリムゾンレイダーズ』のサティ様ですね。わたくしはディーオ様の専属使用人のサロマと申します。ここに到着するまでの経緯は聞き及んでおります。……それと、サティ様自身のことも」


「いやー、これはどうもご丁寧に……ん? アタシ自身のこと?」


 サロマの差し出した手をガシッと握り返すサティだったが、その言葉にどこか違和感を覚えキョトンとした表情に変わる。

 私にはそのサロマの言葉の真意はすぐに理解できた……そしてそれが、サティとってよくないことというのも……。


 それは……サロマの後ろからその体をよじ登って頭上からひょっこりと現れた。


「おおー本当にサっちんがいるぞー。すっごい久しぶりだなー、相変わらずいろんなところがおっきいなーサっちんはー」


「……っておわぁ!? る、る、ルイ姉ぇ!?」


 その人物は、数百年前からヴォリンレクス帝国と戦い続けた“傲慢”の魔王と呼ばれた新魔族……なのだが、その実態はこんなにちっさいロリっ子である。

 でもこんな見た目だからといって甘く見ると軽く捻り潰される(物理的に)から注意だぞ。


「もー、サっちんがベルゼブルのとこ行っちゃってからあたいはいろいろ心配してたんだぞー」


「あー……そのー……ご、ごめんなさい」


「でも今は幸せそうだって聞いたから安心したぞー、このー」


「ああ……ルイ姉ぇ、頭ペチペチしないでくれ……潰れる」


 その言葉通り、サティの頭が叩かれる度にその余波がこちらにまで伝わってきて吹き飛ばされそうになる……。おまけにサティの立っている地面が少しづつ沈んでいっているし……。

 サティじゃなかったら死んでるだろあれ。


 しかし、第二大陸組はヴォリンレクスのスケールのでかさにいろんな意味で圧倒されっぱなしだな。

 ま、無事再開もできたし、とりあえずは。


「そろそろゆっくり話せる場所に移動しようぜ……」


 この晒し者状態をどうにかしたいところだ……。




というわけで1章、2章、3章、6章がついに合流

ここまで多いと上手く会話をまとめられるかちょっと不安…


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