9章 ー11
「なら、良いではないか」
良くないわよ……。
そんな私の心の声なんて聞こえる筈もなく、アルフレッド様は後ろから抱き締めてくる。
私は小さいからアルフレッド様の頬置きになれそうね。
「そうだ。話すのを忘れるところだった」
「朝食用に昨日買ったパンの事ですか?」
昨日買った美味しそうなパンをまだ食べてないわ。
「リリアは昨日、お腹がパンパンだと言っていたが、入りそうか?」
「無理に入れれば」
「では後にしよう。話をしておきたかったのは今から流れだ。まず、グラダナ婦人は貿易都市であるバンクルを治める弟王の妻であり、社交界に置いて母の次に発言力があると言っても過言ではない」
流れだって言ったのに、なんだかとんでもない事、言ってない?
王妃様の次に発言力のある人ですって?
ちょっと心の準備が……。
「その婦人がリリアとお茶か昼食をと言われて、顔合わせ程度にお茶を飲む事にした」
そんなさらっと!
「憶測に過ぎないが、話題はメグだろうから心配はいらない。部屋を借りて昼食に昨日買ったパンをそこで食べるか?」
「ちょっと、頭がついていかないです」
頭痛がする気もするわ。
「はは。メグに興味のある人への説明は午後から頼むな」
ちゃんと出来るかしら!?
「ほらリリア。バンクル邸が見えてきた」
微かに頭上でアルフレッド様が顔を動かす気配がした。




