8章 ー11
本気で怒る気にもならず、ふっと力を抜くと、サラも誤魔化し笑いじゃなく、いつもの笑顔を浮かべた。
「私はただの男爵令嬢に過ぎないから、今から嫌な事があるかも知れないわ。そんな時は話を聞いてくれる?」
「勿論じゃない!でも、ただの男爵家の令嬢じゃないから大丈夫よ」
うん、うんと、スズも頷く。
「うちの領に近いこの辺りはそうかも知れないけど、国外になったらそうもいかないと思うのよね」
例えば美々姫とか。
「あ!ジハ国の……うちの国って王族だけ重婚オッケーなんだっけ?」
「そんな筈ないじゃない!」
サラってば、なんてことを言い出すの!
終戦を迎え、王族も私達も重婚禁止となっいる。
「だよね~」
あはは~って笑ってるけど、今の本気じゃなかった?
「つまり、リリアが本命なのね」
スズが頬に手を添え、キャッキャッしてる。
「本命というか…王命と言うか…」
まだちょっぴり恥ずかしい。
素直になれない。
「そっか、そっか。噂は噂だもんね。まぁ、王子だって早々、お姫様に会う事はないだろうしね」
サラは機嫌良くミッシュブロートを取り出し、口を開けた。
「来月の誕生パーティーに喚ばれてるんだって」
サラはそのまま止まり、何も口に入れず「行くって?」と、顔だけ私に向ける。
「お兄様の代わりに行くそうよ」
途端、サラは「あら~」と、横目になった。




