8章 ー10
「……どうしてそうなったの?」
反応を見るのが怖くて指の隙間を埋めたから、サラがどんな顔をしてるか分からないけど、声が固い。
「お父様の麦のお陰で飢饉にならずにすんだって国王様が褒めて下さって……それで、褒美にって」
「凄いじゃない!」
「え?」
サラが私の手を取る。
「この前、男子がお礼を言ってた通りリリアは凄いよ!私ね、詳しく知らなかったんだけど、リリアも麦のお手伝いしてたんでしょ?それを認められて、縁を結んでも良いって思われたって事でしょ?!」
認められて……。
「やだ、リリア、泣いてるの?」
国王様が褒めて下さった時も泣きそうになったけど、サラに言われると涙は待ってくれなかった。
どんな害虫がいるか調べたり、水温と穂数の関係をグラフにしたり……色んな事が本当にあった。
お父様は励ましてくれたり、褒めたりしてくれたけど、他の令嬢が羨ましいと思わなかったと言ったら嘘になる。
近くにいてくれる友人、特にサラみたいに真っ直ぐに意見を言う人から頑張りを認めてもらえると泣く事を我慢出来なかった。
私はサラに身を寄せて、ハンカチで涙を押さえる。
「有り難う、サラ」
「何が?むしろ今まで知らなくて、ごめんね。リリアはただの品種改良好きの人かと思ってた」
へへへと、サラは笑った。
「ただの品種改良好きって…」
そんな認識だったわけ?
私が半目でサラを見ると、サラはへへっと頭を掻いた。




