53/102
7章 ー03
「すぐ帰るつもりだったんだが……」
動き始めた馬車の中、隣に座っているアルフレッド様が溜め息混じりに呟く。
「男爵令嬢と今度デートするって言ってる奴がいたから、すぐに帰るに帰れなくなってしまった」
ん?
それは私がお昼にサラから聞いた話かしら?
さっきアルフレッド様、笑顔だったけど、怖くて彼の方を見れない。
なんて言ったら良いの?!
サラの事を悪くは言えないし!
「そ、その話はなくなりましたわ」
頑張って笑みを繕う。
「無くなってなかったら、対象者を消すところだったよ」
笑顔で怖い事、言ってるわ!
「冗談はさておき」
冗談!?目が本気だったように思うけど!?
「婚約の事は正式にまだ発表していないから大きな声で言えない。だが、悪い虫が付かないようにしたい」
ふ~ん。そんな事、思うんだ?
「対策として婚約指輪を贈りたいのだが、リリアは嵌めてくれるか?」
婚約指輪って、私達の親の代に流行ってたプロポーズの際に渡す指輪よね?
結婚したらしなくなると理由で、今ではめっきり見なくなった。




