6章 ー04
「距離の近い殿方は叩いても宜しかったですわよね!?」
「俺は駄目に決まっているだろう」
さも当然と言わんばかりの顔ね。
「やっとリリアが前向きになってくれたんだ。少しは許して欲しいものだ」
だからって近い。
それに前から近くなかった?
「そう!外交問題!」
「外交問題?」
私はアルフレッド様の胸を少し押し返す。
「お話は応接室で」
応接室の扉を開けた。
応接室には中央にソファとテーブルがあり、壁沿いに書庫が置いてある。
建てた当初のままの古いデザインのシャンデリアが天井から下がっている。
私はここの雰囲気は好き。
玄関ホールの大きなシャンデリアとか家の装飾品の殆どは売ってしまったけど、ここは私が生まれた時のままだ。
「絵も飾ってあるのだな」
「はい」
誰が描いたのか知らないけど。
コンコンッ
「紅茶をお持ちしました」
久しぶりに見たわ。
お母様が亡くなってから、このティーセットを見ることはなかった。
椅子に座ってヴァイセンが紅茶を淹れるのを眺めるのも懐かしい気分。
ヴァイセンは紅茶を淹れると部屋を出ていった。
「手際が良いな」
アルフレッド様が紅茶の香りをかぐ。
「お母様はお茶会が好きでしたから」
私はお茶会を好むお母様の望むような娘ではない。
「リリアの挨拶の仕方とかは母から習ったのだろ?エスコリーネ男爵婦人は社交の場にもよく出ていたと聞く」
調べたの?
アルフレッド様の言う通り、お母様は貴族である事が誇りで、私にも最低限の教養としてお辞儀の仕方や歩く姿勢を教えてくれた。
物凄く厳しかったけれど……。
「それで、外交問題とは?」
アルフレッド様に言われ、頭を降り母の影を追いやる。
「美々王女と婚約されないと外交問題になるのでは?と思いまして……」




