5章 ー05
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嫌な事があっても自由に泳ぐメグを見ていたらいつもなら癒されるのに、全く今はそんな感じにならない。
「はぁ…」
白い目で見られないような対策が、新しい婚約を見つけるということだったのなら、もっとそう分かりやすく言ってくれれば良いのに。
仲良くなった分、裏切られた気がする。
頭も心もモヤモヤする。
「はぁあ」
溜め息を吐いてもちっともスッキリしないのだけど、つい溜め息がでるわ。
アルフレッド様の事は置いといて、ガイヤは家が一番過ぎるんじゃない?
でも、男の人ってそうなのかな?
家を守らなきゃいけないだろうし……。
ガイヤだって店がどうでも良い子なんて、嫁にできないよね。自分の大切な物を分かり合える、そんな人が良いものね。
アルフレッド様だって家の事がある。
外交問題だってきっとあるわ。
あれ?
またアルフレッド様の事を考えてる。
「なんでモヤモヤしてるんだろうね?」
メグに聞いたって答えてくれない。可愛く私を見つめて尾を左右に振っているだけ。
そもそも婚約破棄は私が望んだ事なんだから、手放しで喜んだら良いのよ!
「……駄目だわ」
ちっとも喜べない。
「お嬢様!」
ヴァイセンが珍しくノックもせずに、温室に入ってきた。
「なぁに、ヴァイセン。夕食の支度なら軽くしてあるから、まだ大丈夫よ」
「そうじゃありません!第三王子がお見えです」
「なんですって?!」
直接婚約破棄について言いに来たのかしら?!
わざわざ良いのに…。
憂鬱な気分でヴァイセンの後を付いていく。
門の入り口には馬の手綱を握り、脇にヘルムを抱えたアルフレッド様がいた。
鎧が砂ぼこりにまみれてるから、野営から直接きたっていう感じがする。
「リリア!」
私に気づいた彼はパッと笑顔になった。
そんな風にされると勘違いしちゃうじゃない。
「遅くなって悪かった。向こうで大雨が降って、予定より帰りが遅れてしまった。もう少しで約束を違えるところだったから、そのまま来てしまった」
汗くさいから近づかない事にするよと、いつもの笑みを浮かべている。
アルフレッド様はいつも通りだわ。




