4章 ー04
「リリア?」
お店からスズが顔を出す。
「本当にスズだ!何、してるの?」
スズはいつもガイヤのお母さんがしてるみたいな白いエプロンに三角巾をしている。
「ガイヤのお母さんがケガしたから、お店手伝ってるの」
恥ずかしそうにスズが私の耳に小声で教えてくれた。
「スズ似合ってる」
「有り難う。お店に戻るね」
スズがパタパタと走ってお店に戻る後ろ姿が初々しい。
新妻さんみたいな?
ニンマリしていると、ガラス張りの店内でガイヤがスズに何か言っているのが見える。
スズが振り向く。
私が手を振ると、二人とも笑顔で手を振り返してくれた。
「お嬢様、買わないのですか?」
ヴァイセンが言う。
「今は良いわ」
そっとしておきたい気分なのよ。
私が言うと「かしこまりました」と、ヴァイセンが一礼した。
ダンさんが教えてくれた陶器屋さんはガイヤの店から20分くらいの所にあった。
煉瓦で建てられた店でお洒落だわ。
「こんにちは」
店を開けるとカラン、カランと鈴が鳴る。
これまた素敵ね。
「いらっしゃい」
顔を出したのはまだ30歳にもなっていないような人だった。
「睡蓮鉢が欲しいのですが」
「深いの?浅いの?」
そう言って、縦じまの入った灰色の鉢を紹介してくれた。
石も入れたいから深い方が良いわよね。
間口は30センチくらいあれば良いかしら?
「こちらの鉢を頂くわ」
「有り難うございます」
ヴァイセンはこれを持てるかしら?
振り向くとヴァイセンは力強く頷いている。
大丈夫のようね。
あら?
「そちらも気に入りましたか?」
玄関ホームに飾れそうな花瓶を見ている事に鋭く気づかれた。
「素敵ですね」
彼は縦じまが好きなのか、花瓶も縦じま模様。
花瓶の3つの脚の先が、くるんと半円を描くみたいに上に向いていて可愛いわ。
「こちらも頂くわ」
初めてのお店は品質が分からないから、1つしかいつもなら買わないけど、気に入ったから買って帰りましょ。




