3章 ー06
ドキドキに気付かれないよう早足で温室へと入る。
温室には大きいメインの水槽があり、南に面する2側面の壁と平行に長机が置いてある。
そこに20センチの小さい水槽を幾つか置き、稚魚や卵を分けて飼育している。
「さすがだな」
アルフレッド様はキョロキョロと辺りを見渡す。
私はメグの水槽の水足し方法と、排水の使い道を説明した。
「どうやらメグの排泄物がコリンダーに良いようで」
「成る程。肥料となっているのだな」
「そのようです」
こんな風にお話できる相手が出来て嬉しい!
スズは黙って聞いてくれるけど、サラはもう全く興味なし!と言わんばかりの態度を取るし、こういった話を出来る人は家族しかいなかった。
「ところで、一番気になるのはメグの色なんだが…」
アルフレッド様はメインの水槽を覗く。
そこには淡いオレンジ色のメグがいつも通り可愛く泳いでいる。
「可愛いですよね」
「そもそもこれはメグなのか?」
「3年前にお父様のご友人から、麦の苗のお礼に…と、頂いたのですが、ごく希に灰色の色素の薄いメグが他にもいることに気がつき、その2匹を掛け合わせたんです」
あの時は届いたのが生き物でびっくりしたわ。
でも珍しいオレンジがかったメグを見て、私はその後、大興奮。毎日、川に他にもオレンジのような色のメグがいないか見に行ったものよ。
「リリアはオス・メスが区別つくのか?」
「勿論ですわ。この尻ビレが長いのがオスですわ」
「……泳いでいるいるのによく分かるな」
あれ?分からない?
「それにしても下に敷いてある黒ぽい石のせいかとても綺麗に見えるな」
「綺麗でしょ?!可愛いでしょ?!いつか池を作ってそこで飼うのが夢なんですの」
日光浴大好きなあの子達を太陽の下で、小さい水槽なんかじゃなくて、広い池で泳がせてあげたいわ!!
…しまった。
これよ、これ。
ついハイテンションで語ってしまう私の悪い癖。
「ビオトープか」
意外にもアルフレッド様は普通に返してくれる。
こんな事、初めてだわ。




