2章 ー05
一緒に戻る事もあるまいと、アルフレッド様は皆の所に戻らず、私だけ戻ると、サラとガイヤが机に伏していた。
「折角の機会だったのに、緊張し過ぎてアルフレッド王子に何も言えなかったよ~」
「俺の勘違いだったと言うのか……」
二人ともどうやって慰めたら良いのかしら?
「あら、リリアだけ?」
スズが私の姿を見て、首を傾げた。
「うん。見かけたから挨拶しただけだって」
「そう?挨拶なら朝にしていたと思うけど」
スズったら本当に鋭い。
「ほら、朝はバタバタしてたじゃない?」
苦しいかな?!
「ふーん、そう」
こわ~い!
スズは諦めたのか、聞いても無駄だと思ったのか、ガイヤから貰ったクロワッサンを齧り出した。
「ん~!」
スズったら幸せそうな顔。
「バターの良い香りとちょうど良い塩気が堪らないわ」
…私も食べたくなってきちゃったな。
「その良さが分かるのか!」
え?いつの間にガイヤ復活したの?!
ガイヤは嬉々とした顔で身を乗り出す。
「親父が、高いけどそのバターにこだわってるんだ。勿論、麦はリリアのところで収穫したのを使っているんだが、その他の卵とかは親父が実際に育てている所を見て買ってたりしてさ、良さが分かってもらえたらめっちゃ嬉しいんだわ」
ガイヤは良い笑顔をスズに向けた。
スズは頬を赤く染めてる…本当にガイヤに気があるんだ。
確かに、こうやって話ガイヤは悪くないわね。
「…案外、お似合いなんじゃない?」
「あれ?サラ、いつから起きてたの?」
サラが机に顎を乗せた体勢で二人を見ている。
「ガイヤが語ってる声で正気に戻ったのよ」
正気って…。
「でも、そうだね。私もそう思うわ」
パンについて熱く語るガイヤを微笑ましそうに見ているスズを私もサラも黙って見守った。




