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第2話 紫の世界の物語(紫音)
とある強欲な貴族が、工芸品を作るために、労働者を集めて、強制的に働かせていた。
紫音という少年も、その中の一人だった。
紫音は体が弱かったが、何とか労働をこなせた。
それは、貴族が提供するとある飲み物のおかげだった。
人の身体能力を各段に上げる事ができるので、紫音も戦力になった。
労働にはたくさんの報酬がもらえる。
労働者には還元されないが、離れた所にいる家族や故郷にはそのお金が送付されているはずだった。
それがそうではないと分かるのは、ずっと後のことだったが。
ともかく紫音たちは、そんな状況だったので、その労働環境から抜け出そうとは思っていなかった。
自分達が飲まされているものが、毒であると判明するまでは。
身体能力が上がる代わりに、紫音達は寿命が減っていた。
その事実を知った彼らは逃げようとしたが、逃げることなどできなかった。
皆、強欲な貴族に始末されてしまったからだ。
そうしてまた、労働者が補充される。
新しい者達は知らずに、貴族が提供する飲み物に口をつけた。