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第1話 白の世界の物語(真白)
真白という少女は、白の世界の聖女だった。
聖女は人々を癒す存在。
怪我や病気という不幸から、人々を救うのが使命だった。
だから真白は、修練を積み、聖女になった。
たくさんの人を助けることができる。
真白はとても喜んだ。
しかし結果は、そうはならなかった。
世界の理が変わり、魔法の効果が反転したからだ。
大勢の人たちが事故で苦しんでいる。
その知らせを受けた真白は、事故現場へ赴いた。
そして、人々のために力を使ったが、結果は燦燦たるものだった。
誰も生き残らず、誰もが苦しみ、誰もが亡くなった。
聖女の心も砕け散り、誰もが不幸になった。
けれど、その後の世界では、反転した世界で魔法の取り扱いは慎重に行われ、人が大量に死亡するようなことは起きなかった。