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栗原さんは距離が近い  作者: タコヤキスト
5/7

竜也

学校が始まってから一週間程が経った。


クラスのみんなとも馴染んでいき、少しずつだが、友達も増えてきた。


「おはよう昴!」


「おはよう竜也。」


竜也は明るくて元気のあるクラスの中心的存在だ。


しかも文武両道で、顔だちも整っている。非の打ち所がない完璧人間だ。


皆からの強い推薦でクラス委員長にもなっている。


最初は話しかけるのに緊張していたが、今では普通に話せるようになった。


「なぁなぁ!昨日のドラマ見た?」


「もちろん!おもしろかったよね!」


「だよな!あの女優の演技がすげぇ良かったよな!」


「わかる!なんかこう……心に響いてさ!」


「だよな!あのシーンとかもう最高だったよ!」など、他愛もない話をしていると、


栗原さんが「おはよー!」と言いながら教室に入って来た。


栗原さんとはいつも通り一緒に登校しているが、他の人に見つかってしまうと大変なことになるので、教室に入るタイミングをずらすことにした。


栗原さんから、「別にバレても仲いいだけだって言えばよくない?」と結構反発をくらったが、バレると僕がいろんな意味で死にそうなので何とか妥協してもらった。


おかげで隠し通せてはいるが、洋一からは「怪しい…」と疑われているので危ないかもしれない。


彼女もまたクラスの中心人物になっていた。そりゃあ気さくで美人だもんな…と思いながら見惚れていると、


「昴君どうしたの?もうすぐHRはじまっちゃうよ?」


「え!?あ、そうだね。座らなきゃ。」と焦っていると、


「なあ、栗原は昴のこと最初から下の名前で呼んでたよな。もしかして小中一緒だったのか?」と、竜也が聞いてきた。


「い、いや、それは、、、」と戸惑っていると、チャイムが鳴り先生が教室に入ってきた。


「は~い、席に着いて~。」


助かった!と内心ホッとした。


その後も授業が続き、昼休みになった。


僕が弁当を食べようとしていると、携帯に通知が来た。


「昴君!昼休み一緒にお弁当食べよ!屋上に集合ね!」


「了解。先に行ってるね。」


栗原さんは女子に囲まれている。いつも大変そうだ。


屋上でのんびり待っていると、「お待たせ!」と、笑顔で駆け寄ってきた。


「お疲れ様。」


「ふぅー、やっと解放された。」


「やっぱり人気者だね。」と言うと、


「そんなことないよ!私なんて全然だし……。」と、少し暗い顔をしていた。


「そんなことないと思うけどな。ずっと囲まれてるのは、それだけ皆に好まれてるってことだと思うよ。栗原さんがちょっとうらやましいな。」


過去のことは思い出させたくないので全力で慰める。


「ありがとう!やっぱり昴君は優しいな…」


そんな話をしながらお弁当を食べる。


「今日は頑張ってタコさんウインナー作ってきたの!」


「とってもかわいいね!おいしそう。」


「昴君に食べてもらうために少し多めに作ってきたんだ!」


「え!そうなの?」


「はい、あ~ん」と箸を僕の口に近づけてくる。


恥ずかしがりながらも「あ、あ~ん」と口を開ける。


毎回こんな感じのやり取りをしている。距離が近すぎないか!?


昼食が終わり、教室に戻ると、竜也が僕の机に座っていた。


「なあ昴、ちょっと話があるんだ。いいか?」


「う、うん。わかった。」


そう答えると竜也が栗原さんのほうを見た後、


「ここじゃあれだな。場所を変えよう。」と引っ張られるような感じでつれていかれる。


栗原さんが心配そうな顔で僕を見ていたような気がした。


今は使われていない旧校舎に連れてこられた僕は、何をされるのかとビクビクしていた。


「そんなにビビるなよ。別にお前が思っているようなことはしないよ。」


「え?じゃあなんでこんなひと気のないとこまで…」


「それはな、気になることあったからだ。」


「うん。」


「単刀直入に聞くぞ昴。お前栗原のこと好きだろ。」


「……」言葉が出なかった。


「まぁその反応で確信したわ。」


「…そうだよ。僕は栗原さんが好きだ。」


「やっぱりな。お前、栗原のことよくチラチラ見てるし、他のやつよりも仲良さそうだもんな。」


除き見をしていたのがバレていたようだ。これからはできるだけ気を付けよう。そうだ!頭の中で栗原さんを想像すれば…


「おい!昴聞いてるのか?」


「え!ごめん聞いてなかった。」


「お前なあ、というかそんなに仲良いならもう告白しちゃえよ。」


「そ、それは無理だよ。」


「何でだ?」


「だって僕みたいな暗いやつが栗原さんに釣り合うわけないし…もし断られちゃったらもう立ち直れないよ。」


「はぁ~。相変わらず自己評価低いなお前。いい加減自覚しろよ。」


「え?」


「…お前はどんだけ鈍感なんだか。」


「まあいい!お前の恋を応援してやるよ!」


「ほ、本当?」


「ああ!もちろんだ!」


「あ、ありがとう。」


「おう!任せとけ!」と、頼もしいことを言ってくれた。


「まあそれが聞き語っただけだ。このことは絶対他の人にはいはないからな。」


「それじゃあ俺は先に戻るから、またな。」と言って、竜也は教室に戻っていった。


少しだけ元気が湧いた。(竜也はいいやつだな…)と思いながら僕も旧校舎を出ることにした。

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