始業式
家に戻り料理を始めた。いつも通り作り終えると父さんが帰ってきた。
「ただいまー」
「お帰り父さん。」
我が家は父子家庭で、僕が幼いころにお母さんが浮気をして離婚になった。
お父さんは今までつらい生活をしてきたと思うが、僕の前では一度もそんな表情をしたことがない。
とても偉大で尊敬する父だが、これ以上負担はかけたくないので、家事全般は僕がしている。
「今日のご飯はなんだい?」と期待しながら聞いてくる。
「今日はオムライスだよ」
「おお!久しぶりだな~楽しみにしてたんだよ。いただきます」と喜んで食べてくれた。
僕はその様子をみてうれしくなり、自然と笑顔になった。
食事を終えて洗い物をしていると、
「昴、澄ヶ原高校を見てきたんだろう。どんな感じだった?」と聞かれたので、
「思ってたよりも大きくてキレイなとこだったよ」
「あ、あと友達もできたよ!」と答えた。
「そうか、なら良かった。」と言ってくれた。
それからしばらく雑談をし、お風呂に入って寝ることにした。
ベッドに入ると栗原さんのことが頭から離れなくなった。
「明日学校に行くのが楽しみだなぁ」と呟いていると、ピロン♪と携帯の通知が鳴った。
見てみると栗原さんからだった。
「いきなりごめんね。もう寝ちゃってるかなって思ったんだけどどうしても伝えたくて。私、転校する前はいじめられてたんだ。ずっと苦しかった。でもね、昴君に話しかけてもらって、友達になれて、今はすごく楽しいの。それは全部昴君のおかげ。ありがとう。私、澄ヶ原高校で頑張るから!」と書いてあった。
「そうだったんだ。これからは幸せで最高の高校生活にしていこうね」と返信した。
「過去に何があったかは分からないけど、これからは僕が栗原さんを助けるんだ。」と心の中で決意した。
「明日に備えて早く寝よう」と布団をかぶって眠りについた。
翌日、早めに目が覚めたので、朝食を作り、お父さんの分はラップに閉じて先に家を出ることにした。
「行ってきまーす」と元気よく扉を開けるとそこには栗原さんが立っていた。
「おはよう昴君!一緒に行こうと思って待ってたんだ!」と栗原さんが満面の笑みで言った。
「お、おはよう。早いね。」とドキドキしながら「連絡してくれたらすぐに用意したのに…」と言った
「昴君と一緒に登校したいと思ったの!ちょっと驚かせようと思って…迷惑じゃなかった?」
「全然大丈夫だよ。むしろ嬉しいくらいかな。」
「そっか……それなら良かったよ」と照れながら言った。
「今日から高校生だね。これからもよろしくね!」
「うん!こちらこそよろしく。」と他愛もない会話をしているうちに学校についた。
校門にあるクラス表を見ながら自分さんと栗原さんの名前がどこにあるかを探した。
「あ、私達同じクラスだね」と嬉しそうな声が聞こえてきた。
「そうだね。」と返事をしながらクラス表を確認した。
1年C組 5番:遠藤昴 10番:栗原美穂 担任 鈴木美奈 と書かれていた。
「やったー!隣だね!」と喜んでいる彼女を見ながら、僕も内心はウキウキ状態だった。
僕は一番後ろの右端で、栗原さんは僕の隣だった。
「席が近いと話しやすくて楽だね」と話しかけると、
「そうだね!昴君と一緒のクラスでうれしいよ」と返してくれて、僕のテンションは最高潮になっていた。
入学式が始まり、校長先生の長い話を聞いていた。
眠気と戦いながら話を聞いていると、いつの間にか終わっていた。
その後教室へ戻りホームルームが始まった。
「みなさんこんにちは。私はこのクラスの担任になりました、鈴木美奈です。一年間よろしくお願いします。」と先生が挨拶をした。
鈴木先生は茶髪のロングヘアーで眼鏡をしていた。
いかにも優しそうな先生だ。
すると生徒の自己紹介タイムが始まった。
すぐに自分の番になり、かなり緊張しながらも自己紹介をした。
「えっと……はじめまして。僕は遠藤昴といいます。趣味はゲームや漫画を読むことで、部活はまだ決めていません。みんなと仲良くなれたらいいなと思います。これからよろしくお願いします。」
何とか言い終え、ほっとしていると、もう栗原さんの番になっていた。
「私の名前は栗原美穂です。好きなことは料理をすることです。中学まではずっと女子校だったので、共学に通えてうれしいです!皆さん、これからよろしくお願いします」と言い終わった。
栗原さん、女子高だったんだな…と考えながら他の人の自己紹介を聞いていると、最後の人になったようだ。
「初めまして。俺は、若島竜也だ。部活動はサッカー部に入ろうと思ってる。困っている人がいれば助けてやろうと思う。これからの一年間で、たくさんの思い出を作っていこうじゃないか。以上だ。」
カッコいいやつだなと思っていると、いつの間にかホームルームが終わり、下校の時間となっていた。
帰り道、「初めての学校、どうだった?」と聞いてみると、
「やっぱり不安だったよ。でも昴君がいるから安心できるよ」
「そう言ってくれるとありがたいよ」
「昴君はどうだった?」
「僕は結構ワクワクしてたよ」
「そっか、それはよかったよ」と笑い合いながら帰った。
家に着き、いつも通り家事をこなしてご飯を食べていると、父さんが帰ってきた。
「ただいまー。」
「おかえり父さん」
「あ、昴。友達できたか?」と心配そうに聞いてきた。
「まだできてないかな。でも昨日できた友達とは同じクラスで、隣席だったんだ。」
「おお、すごいな!それは良かった」と喜んでくれた。
「もしかしてその友達って…女の子か?」と聞いてきた。
「えっうん。そうだけどどうしてわかったの?!」
「今日の朝、玄関で女の子の声がしたからな。もうそこまでの関係になってるとはな。ついに昴にも春が来たか~」と父さんは笑いながら言った。
「そ、そんなんじゃないよ!」と顔を真っ赤にしながら反論した。
「まあ、がんばりな。」と応援してくれた。
僕は恥ずかしくなってすぐにご飯を食べ終えた。
食器を洗い、風呂を済ませてすぐに部屋に戻ると、携帯に通知が来ていた。
見てみると栗原さんからのメッセージだった。
「今日はありがとう!昴君のおかげで楽しい一日を過ごすことができたよ!明日からもよろしくね!」
「こちらこそありがとう!僕も楽しかったよ。明日からも一緒に頑張ろうね!」と送り返した。
「さてと、明日の準備をして寝るか」と呟きながらベッドに入った。
「これからどんな高校生活になるんだろ」と考えているうちに眠りについた。




