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17話 夏休みの計画

 七月になった。


 新学期から三ヶ月も経てば、クラスに馴染むと思った。

 意外にもそうではなかった。

 けど友達は出来た。


 隣の席の女子。

 名前は東紗あずさ


 そして若葉わかば

 席は離れているが、休み時間になると、話をする。

 残念ながら、男友達は出来なかった。


 それはさて置き。

 東紗と若葉の関係性が大分分かってきた。

 二人は中学からの友達らしい。



ーーー



 ある七月上旬の昼休み。

 いつもの三人で、屋上で昼ご飯を楽しんでいた。

 西夏は居ない。

 一緒に食べたい人が多いから抜け出せないらしい。

 俺と違って人気者だ。


「もう少しで夏休みかぁ」


「その前に期末テストがありますよ」


 もうすぐで来る夏休みを思っていた所。

 横から釘を刺すように東紗が現実を突きつける。


 知ってる。

 敢えて触れなかったのに。

 前回の中間テストは散々な結果だったから、期末は頑張りたい。

 もし赤点でも取ったら。

 夏休みが減る。


「夏休み、どこかに遊びに行きたいなぁ」


「それ、いいわね! どこにする?」


 若葉が食いついてきた。

 端から行きたい場所は決まっていた。

 

 海。

 決して二人の水着姿を見たいからではない。

 単純に海に興味が湧いたからだ。


 子供の頃から山にしか遊びに行ったことがない。

 何故か父さんは海に行きたがらなかったからだ。

 理由は知らない。


「二人共、その前に期末テストが――」


「海! 海に行こう!」


「………」


 あからさまに若葉が嫌そうな顔をする。

 そこまでか?

 まさか泳げないとか。


「大丈夫大丈夫。俺も泳げないから」


「そういう問題じゃないし……」


「――? じゃあなんで――」


 パン―――ッ!


 東紗が大きく手を叩く。


「夏休みの予定は期末テストが終わってからです」


 顔を近づけ、睨みながら、言ってくる。

 どうやら無視された事がよっぽど嫌だったのだろう。


「はいはい。今は期末テストだけを見るよ」


「それでよろしいです。……、若葉さん?」


「……ちょっと、お手洗いに行ってくるわ……」


 若葉はそのまま屋上から姿を消した。

 どうしたのだろうか。

 何処と無く覇気が感じられなかった。


 屋上に残された二人。

 無言だったが、気不味さはない。

 東紗は普段からあまり喋らない方。

 クラスでも、俺と若葉意外の人と話している所は見ない。

 たまに手伝いをして他人と関わる程度。

 世間話をするでもない。

 ただ他人を助ける。

 お人好しだ。


「海、やめませんか……」


「え?」


 夏休みの計画について。

 期末テストが終わるまでは話すなと言われた矢先。

 東紗は掘り出してくる。

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