13話 二年半後
「それじゃあ、ビデオ通話、切るね」
「あぁ…」
俺の人生の歯車が回り始めてから、二年半後。
俺は最愛の妻と山奥で暮らしていた。
小さな一軒家。
昔住んでいた所と比べれば、本当に小さい。
椅子に座りながら、外を見ている。
大きな窓には、大自然が広がる。
と言っても、今はもう、葉が枯れ落ちそうになる季節だ。
夏の若葉。
秋の紅葉。
冬に向けて葉は、枯れ落ちる。
何故自ら枯らすのか。
昔は分からなかった。
けど今は違う。
きっとこうだと思っている。
「次に、繋げる為に、美しく、散る」
今思い返せば、この山には、深い思い入れがある。
辛かった思い出、楽しかった思い出、そして――。
分かってる。
分かってる。
分かっているのだ。
そっと、重なるように、俺の手の上に妻の手が乗る。
優しい手。
優しい指。
全てで俺を気遣ってくれている。
触れるだけで安心する。
温かい。
凄く温かい。
「―――。大好きだ。世界で一番かわいい俺の妻――。結婚してくれて、ありがとう。――愛してる」
「私も、大好き――」
あぁ。
これが、『愛』か。
秋風は強く吹く。
枯れ葉を残す木々達は、俺と同じで流れに任せるようだ。
枯れ葉は、落ちていった――。
「…………」
俺の人生が変わったのは、あの日からだろう。
止まっていた俺の時間は、動き出し、今に至る。
多くを学び、多くを知り。
多く笑い、そして多く泣いた。
これは、俺が彼女達を通して、成長する話である。
どうか最後まで、見ていってほしい。




