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愛すべき少女

7500pvを超えました!

皆さんに、気にかけていただき、また読んでいただき、本当にありがとうございますっ! 

これからも見ていただけるように、頑張って書いて行こうと思います。

後、本当に恐縮なのですが、誤字、脱字があれば本当に報告をよろしくお願いします。

全く気がついていないので。お願いします(* >ω<)

周りがだんだんと暗くなってくる。

ミュアは、俺に襲われてしまったために、ぼろぼろの砂だらけなのに、笑って俺に抱きついてくれている。


俺は、乱暴にしてしまった罪悪感を感じながら、ミュアにとりあえず回復魔法と、洗浄魔法をかける。

体を綺麗にすると、ミュアが本当に可愛く感じてしまい、また抱きつきたくなるが、そこはあえて自分の感情を押さえる事にした。


砦を出てから、この酪農地で見た事まで、あまりにもいろいろな事が起こりすぎて、俺は、正直疲れてしまっていた。

さらに、太陽も最後の明かりを世界に届けている最中だ。

暗くなるまで、あまり時間が無い。


 今も、再びにこやかに俺に抱きついて来る少女が、本当に大切に思える。

このミュアに対する愛情のような感情が、自分のものなのか、それともミュアが俺に寄せてくれているものなのかはよく分からなかった。


俺は、再びこの酪農地の主だった二人の墓を見るも、さっきほどのどうしようも無い怒りと悲しみがゴチャ混ぜになったような感情は湧き上がってこなかった。


 ミュアと繋がった為か、死に対してかなりドライになっている自分を感じてしまう。カイナが死んだ事は、確かに悲しいが、人の死を見すぎたためなのか、ミュアには一つ一つの死を引きずる事がないように感じる。

昔なら、俺は心が耐えきれない痛みを受けていたはずのに。

ミュアの持つ感情が『魂の盟約』で繋がったためか、俺も共有出来るようになったためか。


冷静に二人の死を受け止めてしまえる。

だが、それでも俺はミュアほど強くない。

この酪農地は思い出が強すぎて長くいたくなかった。

目を瞑ると、飛び回るようにはしゃぐカイナが、楽しそうな笑顔が思い出されてしまい、俺は目を押さえた。


二人との楽しい思い出に、泣きそうになるのをこらえながら、俺たちは再びクアルに乗り王都のギルドに戻り報告に行く事にした。

暗闇は迫って来ているが、全く気にしていない様子でクアルは走って行く。

前は、歩いて数時間の道だったが、クアルの速さは凄く、一時間かからないくらいの時間で、俺たちは王都に帰って来れた。


ギルドに帰ると、俺は一通り報告をする事にした。

魔物ではない誰かに襲われていた事、その後魔物が食い荒らしている事を。

その間、ミュアは俺の横で手をつないでいた。

ミュアの心の辛さが流れ込んで来る。

全力で俺を心配してくれていた。

俺が話す全ての報告を聞きながら、受付のお姉さんは悲しい顔をしていた。


「野党が多くなっているのかも知れないですね。ギルドマスターには、報告しておきます」


そう言ってくれるが、残念ながら、俺のマップでは盗賊や、野党は確認できない。

つまり、[職業]盗賊 の人間はおらず、普通の人間が何かしでかしていると言う事なのだろう。

村人が野党になっても分からなかったみたいに、マップも完璧に全てが分かるわけではないから。


とりあえず、ナイフは証拠品としてギルドに提出して俺はギルドを出る。

ミュアは今までのように、俺の腕を掴んだりする事もなく、今までに比べたら少し離れて、俺の後ろを追いかけて来ている。


俺もミュアも、とりあえず帰って、二人でゆっくりしたかった。


「帰ろうか」

「はい」


俺の言葉にすぐ返事を返す。ミュアと一緒にクアルに乗り、俺たちは自分の拠点に帰る事にした。


普段のように歩きだと1日以上はかかる距離も、数時間程度の速さで、自分達の拠点に帰って来れた。


本当にクアルがいてくれて助かる。

食事よりも先にお風呂を沸かし、ゆっくり体を休める事にする。

ミュアと二人で自分の家の露天風呂に入っていると本当に幸せを感じるが、同時に罪悪感も感じてしまう。

しばらくすると、じっとこっちを見つめて来るミュア。


「マスター、もしかしてカイナさんの所であった事を後悔されていますか?あの、カイナさんには申し訳ないのですが、どんなきっかけであったとしても、私はマスターと本当の意味で一つになれて、嬉しいのです。だから、マスターが気にする事はないです」

ミュアは、俺に寄りかかるようにくっついて来ながら笑う。

俺は、ミュアが可愛くて、口づけをしてやる。


食事の時も、ミュアは、側にいたり離れたりしながら、笑っていた。

今までのように、ずっと俺に触れているわけではなく、少し距離を取りながら、俺の世話をしてくれる。


しかし、お互いにイライラしていたり、穏やかだったりとその時の気持ちが分かるため俺とミュアの距離は無いに等しかった。


別の意味で、ますます積極的になってきたミュアと一緒に久しぶりにゆっくりと過ごすのだった。


――――――――――――――――

昼過ぎまで寝ていた俺は、いきなり叩かれる扉の音に目が覚める。

とりあえず、手近なローブだけまとい、俺が家の扉を開けると、

そこには、いつか見たおっさんが立っていた。

珍しく、酒の匂いをさせていなかったが。

「なんだよ。ダルワン。また来たのか?てか、今日は飲んで無いのか」

「ああ、ちょっと面倒な頼まれ事をされちまってな。ほら、俺が面倒事を頼めるのは、お前ぐらいだしな」

「俺は、便利屋かよ」

あきれて、返事をしていると、奥からミュアが体を起こすのが分かった。


ん?ミュア?

俺は、あわてて、ベッドと玄関の間に、煙のような白い幕を風魔法ではり、()()ミュアを隠す。


「あ?ついに手を出したのか?そうか、そうか。ついに幼児趣味の帝王(ロリコンマスター)になったかっ」


隠し切れなかったミュアの姿を見て、嬉しそうに話すダルワンに、本気の殺気をぶつける俺。

仕方ないだろ?この家は人が来る予想なんてしていないから、玄関、キッチン、リビング、寝室は全てフルオープンで、壁なんて物を作って無く、崩れそうな所に柱を立てているだけなんだから。

ちなみに、トイレだけ囲いがあるが、面倒で扉をつけて無い。

川のような用水路に直接流す仕様にしてあるため、匂いは全くないし、廃水は生活用水とは別ラインで流れ続けているから、混ざる心配もない。

周りに人も家もないから出来る贅沢仕様だ。

ちなみに、落ちると危ないので、便座は洋式仕様にしてある。


さて、そんな事はさておき、俺の全力の殺気にもめげず、ダルワンは自分の頭を掻きながら、困った話しを続け出した。


話しは、いろいろ飛んで長かったが要約すると、知り合いの知り合いからの相談で、東にある港街の海に何かが来たらしい。

魔物だとは思うが、調べようが無い。

漁業にも影響が出始めていて、魚が取れ難くなっている。船の出入りも心配で交易も難しくなりそうだから、調査、及び追い払いをお願いしたいとの事だった。


ちょっといろいろあって海が恋しくなっていた俺は、そのお願いを聞いて見る事にしたのだった。


3/10 前半部分修正しました。

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