不幸なエルフ
読んでいただきありがとうございますっ!
Pv3500回
ユニーク950人を越えました。
950人も見ていただいた事に本当に感謝です。
これからもさらに頑張りますっ!
奴隷商のおっさんがさっさと逃げてしまった。
とりあえず、俺は、ギルドへ行く事にする。
預金から、お金を送金してもらった方が早い。
女の子の首鎖を槍の熱で断ち切ると、ついて来るように伝える。
再びギルドに入ると、残っていた冒険者がざわざわし始めた。
「ちょっといいか?」
「シュンくん?フラれたからといって、こんな小さい女の子を、か、買うなんて、どうかしてますよっ!」
ギルドで受付に行くと、お姉さんから怒られる。
「それはね、寂しいのは分かりますけど、フラれた事を聞いてから、早すぎですっ。幻滅です」
ぶちぶちと、呟くお姉さん。
その話しを聞きながら、俺はまあそう見えるよな~とのんきに考える。衝動買いなのは、確かだから。
「その件で、奴隷商バングの口座にお金を入れたいんだが?」
「はい、はい。それだったら、商業者ギルドに行ったら?そんなギルドないですけどっ!やりたくないんですけどっ!口座はあるのよねっ。お金は?降ろすの?」
お姉さんの口調が。
「とりあえず、大金貨5枚降ろしたい」
とギルドカードを出す。
お姉さんは、カードを乱暴に認証機に突っ込むも。
「あれ?エラーになる。なんでだろう?シュンくんのギルドカードだよね?ついさっきは通ったのに」
何回やってもカードを認識しないらしい。
「こんな事は初めてだから、とりあえずこのカードは調べさせてもらうね。こっちが、仮カード。夕方にまた来ていただけますか?」
と、予備カードを渡してくれる。最後だけ接客語かいっ。と心で突っ込みを入れながら、
「分かった」
それだけ言って、ギルドを出た。
「おかしいなぁ」
私が、機械を触っていると。
シュンくんがギルドを出た瞬間、認識機が、ギルドカードを認識する。
「あ、できた。とりあえず、お金は出しといて、アンっ!シュンくん呼んで来てっ!」
と新人の子に声をかける。
お金がギルドの特殊空間収納から出てきた頃に、シュンくんが戻ってきた。
「出せたけど、やっぱり調べさせてね。これ、お金」
と、大金貨5枚をシュンくんに渡す。
お金がシュンくんにわたる寸前。
シュンくんの手が、一人の獣人の子の手首を握っていた。
「このタイミングで、スリに来るとは、なかなかやるな」
シュンくんがニヤリと笑う。
あ、多分シュンくん、怒ってる。
「吹き飛びたいか?」
シュンくんが笑うと、獣人のスリはブンブンと首を振る。
この子、冒険者じゃない。見た事ない子だ。
どさくさに紛れて、入り込んで来たのだろうけど。
瞬間。獣人の子供は、シュン君の頭の上で、振り回され、気を失って地面に倒れていた。
「あらあら、建物内でも竜巻には注意してね」
私は、気を失っている子に話しかけるのだった。
――――――――――――――――――――――
今日は、本当におかしかった。
まず、冒険者カードが認識できなくなった。
さらには、口座の違うところに入金されそうになり、あわてて切り替えたり。
スリには、3回も会い、馬車がいきなり蛇行をはじめて、牽かれそうになったり。
二階部分から、飾り鎧が落ちて来たり。
極めつけは、俺に、幼児趣味と2つ名がついていたり、服屋が軒並み休みだったので、奴隷の子の服が買えないため、ほとんど裸状態の子を連れまわしているため、何度も憲兵に職質されたり。
とにかく、運が悪い。
運が悪いで、済まされないくらい運が悪い。
呪いでもかかったのか?と俺は、ステータスを開いた。
[名前] シュンリンデンバーグ
[職業] Dランク冒険者(特殊任務請負)
[ステータス]
[Lv] (表示不可能) 45
[Hp] (1900) 980
[Mp] (1800) 850
[力] (1050) 400
[体] (600) 380
[魔] (1050) 600
[速] (900) 350
* 絶対不幸付与中
[スキル]
(データベース) (EPシステム) (火炎魔法・使用不可)
水魔法 氷魔法 風魔法 土魔法 光魔法(偽装) 回復魔法 絶対結界 武器作成 防具作成 魔法付与 所有物スキル付与
無詠唱 連続詠唱 同時詠唱 魔法同時発動 高速並列思考
筋力強化魔法 速度強化魔法 魔法球 異空間収納魔法
[名前] ミュア
[職業] シュンの奴隷
[種族]ハーフエルフ
[年齢]13
[ステータス]
[Lv] 10
[Hp] 200
[Mp] 300
[力] 30
[体] 25
[魔] 50
[速] 20
[スキル]
絶対不幸 精霊言語
迅速 精霊魔法 (火 土)
[称号]
森の使い
シュンの所有物
ステータスを開くと、なぜか、少女のステータスも出る。
そして。
俺は、そのステータスを見て、頭を抱えた。
少女、ミュアと言うらしいのだが。
まず、精霊言語が母国語らしい。人間の言葉は理解できないと思う。しかも、言葉が話せないと、軽く説明もされた気がする。
次に、俺の所有物という一文を推しすぎ。
レベルが低すぎ。
エルフではなく、ハーフエルフ。
突っ込みところしかないステータスだが。
一番厄介なのは。
[絶対不幸]
自分と自分の周りに不幸を撒き散らす。
こいつが厄介だった。
このスキルが、全ての行動の邪魔をしている。
これでは、不幸ではなく、呪いだ。
俺はため息を吐くと。
データベースさんを発動、音声翻訳をオンにする。
『キミ、ナマエ ハ?』
俺が精霊言語を話した事にびっくりした顔をする。
『わたしは、ミュア。森の根のタイアと、高い白花ミンの子供』
うん話せる。 エルフも2つ名があるみたいだけど、それを聞いて、雑談ができるほどには精霊言語なんて話せない。
『キミ、ワタシ ガ カッタ。 キミ フコウ アル。 ミ ニ オボエ アル?』
『わからない。気がついたら、お母さんもお父さんもいなかった。人間に連れて来られて、好き放題されているだけ』
あなたもどうせ、同じなんでしょう?
とい抜くような目でこちらを見るミュア。
不幸の原因がわからないのなら、なんとかしないと。
これじゃあ、街も歩けない。
考える振りをしながら、データベースをもう一度検索。
不幸解除
で、検索してみるが該当なし。
代わりに呪い解除というスキルが、1000であるのが分かった。
ミュアが俺の所有物だと、推して来るなら、俺のスキル、所有物スキル付与でなんとかならないか?
俺は、とりあえずミュアに呪い解除のスキルを付与してみる。
EPはこれでなくなるが仕方ない。
すると。
『ああああっ!』
バリバリと言う音とともに、付与したスキルが削られて行く。
「ミュアっ!」
わけがわからない。
苦しそうにしているミュアをとりあえず抱きしめながら、考える。
もう一度検索してみると。
[絶対不幸]
邪神の呪い。通常での解除不可能。スキル切除不可能。
自分と周りに不幸を撒き散らす。
説明文が増えていた。
てか、邪神の呪いって。モロかよっ!
さらに、いろいろ考える。
データベースを検索し、呪い解除の別の方法やスキル、削除されないスキルを探す。
スキルに、常時発動 があるのを見つける。
スキル固定 を見つける。
呪い解除と、呪い返し を見つける。
さらに、呪い絶対解除を見つけた。
全てのスキルを付与するには、5万EP必要。
この子を買わなきゃ良かったと激しく後悔する。
『あの、マスター?見られてます』
ミュアの言葉に、ふと周りをみると。
遠巻きに、人だかりが出来ていた。
なぜ?と俺が疑問に思うと。
《30分近く、ミュアを抱きしめて、考え事をされていましたので、不審者と勘違いされました。通報がなかったのは、ミュアに奴隷の首輪があったためのようです》
データベースさんが、音声で現状を報告してくれた。
ミュアの顔が少し、赤くなっている。
そして、この日。
絶対幼女趣味と言う2つ名が俺についてしまった。
不幸だ。不幸すぎる。




