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絶望的な手違い

休み明け。

久しぶりに休みをもらえて、お買い物なんかして、いっぱいリフレッシュできた。


まさか、特殊依頼を受けてくれる3人が揃って、休みが欲しいって言うとは思わなかったから。

緊急依頼を捌く事がなければ、新人の子でも大丈夫。

そんな事を思って、私も久しぶりの休みを満喫していた。



私が買い物に行ってる間に、シュンくんを見かけた。

なんか、肉屋に寄り、アクセサリー屋さんにも寄っていた。

 多分、二人への贈り物ね。

シュンくんは、本当にマメだと思う。

私も恋人にするなら、あんな人がいいな。

シュンくんは、まだ子供だから、私の守備範囲じゃあ無いけどね。



出勤してみて、依頼済みの書類を確認して、私は思わず目を見開く。

「え?!この依頼、出したのっ!?誰にっ!」

私はギルドで、依頼済み、報告待ちの書類を確認していた時にとんでもないものを見つけてしまった。


シュンくんに出して断られた依頼。

「え、Fランクパーティー冒険者が、やりたいって言ってたから、私よりも年下っぽい可愛い人達でしたけど」

新人の娘が、意味を理解せずに返事をする。


依頼を受けたのは昨日。依頼受注者Fランク、レイア。

間違いない。あの二人だ。

シュンくんの恋人達。

でもシュンくんは昨日、完全にオフだった。

私もギルドで何年も働いてはいない。

依頼を受けている冒険者は、休憩中でも、休暇中でも、どことなく緊張感をまとっている。

リラックスして買い物をしていたシュン君の姿を思い出す。

私の経験から、はっきりと言える。この事を、シュン君は知らない。


私はそこまで理解すると、新人の娘に怒鳴る。

「言いたい事はいっぱいあるけどっ!何してるのって言いたいけどっ!ギルドマスターにすべて報告してきてっ!私達の手に負えないからっ!後、シュンくんにすぐ連絡つけるように、ギルドマスターにお願いしてっ!絶対よっ!命かかってるからっ!」


私は、新人の娘に怒鳴りながら指示を飛ばす。

お願い。間に合って。


―――――――――――――――――――――――

昨日、普通にFランクの依頼を訪ねられて、受け付けただけなのに、今日、朝から先輩に怒鳴られた。

 訳がわからないけど、先輩が涙声だったのが気になる。

ギルドマスターに報告しろと言われたので、報告したら、

「シュンくんのパーティーだろう?」

と返されたから、先輩の言葉をそのままギルド長に伝える。

「だから、先輩から、そのシュンくんに連絡とってもらうように手配してと言われたんですが?」

「ん?何の依頼だったんだ?そこまで慌てる物か?」

「森の探索の依頼なんですけど、、Fランクの依頼だったので、お二人に、そのまま、、」


その一言で、ギルドマスターが勢いよく立ち上がる。とんでも無い事に気が付いたのだ。

「シュンくん抜きで、あの依頼を出したのかっ!」

ギルドマスターが怖い。震えながら、私は首を縦に振る。

ギルドマスターはそれを見て、鼓膜が破れそうな大声でサブマスターを呼ぶ。

すぐにシュンくんを連れて来るように指示を出していた。

 みんなのあまりの剣幕に、震えていた私が、あの娘達に出した依頼が、とても危険な物だった事を始めて知ってしまった。

あの依頼。実は、以前にCランクパーティに引き受けてもらっていた事。

でも何かが起きたのか、手に負えなかったのか、そのCランクパーティが行方不明になってしまい。

その調査もかねて、常識外れと言われている、シュウ君、アムさん、ヒウマさんの3人の誰かにお願いする予定の特殊任務に格上げされていた依頼だったと知らされたのは、少し後になってからだった。


「だから、あんな積み上げられた査定予定の書類の束の中に入っていたんだ」

私は、自分のミスで、死地に妹みたいな二人を送り出してしまった事実に、その場にへたりこむのだった。


―――――――――――――――――――――――


休みを取る事を決めて、町をぶらぶら歩いていた。

何気なく、アクセサリー屋の前を通ると、かわいい髪止めがあった。

ふわふわヘアにしているライナにワンポイントあると可愛いかなぁと、衝動買いしてしまう。

そして、レイアにも買わないと喧嘩になると思い、レイア用にも髪止めを買う。

 レイアに合いそうな髪止めがなくて、5件くらい回ってしまった。


次の日。

渡そうと思ったら、二人とも宿舎にいなかった。

買い物に行くと言って出て行って、昨日帰って来なかったため、心配している、何か知らないか?と宿屋の主人に聞いて見るも、首を横に振るだけ。


どこに行ったのかと、考えていたら、冒険者ギルドのサブマスターが、走って来るのが見えた。

サブマスが走るのは、なにかの異常事態が起きたとしか思えない。

すぐ、ギルドに来て欲しいと荒い息のまま言われて、俺は、ギルドに行く事になった。


そこで、馬鹿みたいな話しを聞く事になった。


この前、俺にお願いしてきた依頼。

森の探索依頼をライナ達、二人だけで受けて、行ってしまった事。

 そもそも、森にジャイアントバッファローが出たため、Fランク依頼としては、取り扱わず、特殊冒険者扱いの俺や、先輩達にだけ依頼するつもりだった事。

さらにCランクパーティーが行方不明になっている事もあり、ダルワンさんやネクロさんも動員するつもりだった事。


つまり。Bランク相当になりそうなくらい、危ない依頼がFランク指定のまま、放置されていた事になる。


その話を部屋の隅で聞いていた新人っぽい見た事のないギルドの受付の子が真っ青を通り越して、死んだような顔をしていた。

俺は、全てを聞く前にギルドを飛び出していた。

ギルドに怒りをぶつける時間が惜しい。


――――――――――――――――――

「すまないが、今回の事は、私達ギルドの失敗だ。もう一走りお願いできないかな?彼女達の救出依頼を出す。指定依頼で、ロアくん、ヒウマくん、ダルワン、ネクロ。その他、Cランクパーティーにもだ。依頼主は、私。冒険者ギルドとしてだ。みんな手の空いている人は伝えに行ってくれ。頼んだ」


ギルド長は深々と頭を下げ。

新人の子も、ギルドから走り出るのだった。




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