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異変

最近、依頼が多くなった。

本当にそう思う。冒険者の依頼リストは、全て討伐依頼で埋め尽くされていた。


しかも、討伐依頼のレベルが少し上がって来ている。


前に、ヒウマ先輩と戦ったジャイアントバッファロー討伐まで出ている。

ランクC相当の魔物が湧きすぎていた。

最近では、本来湧かない平野で、魔物が生まれた所をみたと言う報告までがギルドに上がっているらしい。


今も、シルバーウルフと呼ばれる、銀色オオカミの討伐をこなして来た所だけど。

中級レベルでも、魔法や武器で傷すらつけられない魔物の討伐依頼がよく舞い込んでくる。

四苦八苦しながら討伐する事になるのだが、そう言った魔物の討伐依頼は、俺や、ロア先輩、ヒウマ先輩に回ってくる事が多かった。


先輩方も、ひっきりなしに来る討伐依頼を受けているとの事だった。

そうそう。ちなみに、ジャイアントバッファロー討伐の時に、俺がジャイアントバッファローを一匹まるまる空間収納に入れたら、ヒウマがボソッとこのチートめ と言っていた。


話しは戻るけど、ジャイアントバッファローくらいのレベルの敵になると、ライナと、レイアでは、傷すらつけられない。

今は、足止めや回復に専念してもらっているか、二人は見学するだけの依頼も多くなってしまっていた。


「シュンさん、シルバーウルフ討伐、確認しました。解体はこちらでさせていただきますから、手数料を引いて、金貨2枚です。

そして、こちらが、お願いしたい次の緊急依頼になります」

最近はインターバルもないみたいだ。


ホーンバッファローと言われる、水牛の群れの討伐、ジャイアントアントの巣の駆除、ワイルドウルフの追い返し、おいおい。ビックバイパーの巣の駆除とか、普通なら絶対無理な依頼も混じってるしっ!

蛇の巣に突っ込む馬鹿は居ないと思うが。


「とりあえず、最近連続で依頼を受けているので、ちょっと休憩したいのですが。二人も疲れて来ていますので」

「それでしたら、通常依頼として、この依頼をお願いしてもいいですか?」

と、お姉さんが差し出したのは、迷いの森の探索依頼だった。

Fランク指定の通常依頼。


いや、休みたいって言ってるだろ?

二人を見ると、疲れているのが、よくわかる。


「学校も行けてないです」

「実践あるのみ。みたいになっているわよね」

二人とも、俺に付き合っているから、ほぼ休み無しで、依頼をこなしている。


学校に行けないのも、なんだかなと思い、二人に数日、依頼は休む事を伝えて、その日は別れた。 

俺も休みが欲しかったし。依頼はもちろん、断った。


――――――――――――――――――――――――――



「ねえ、ライナ。シュンくん最近疲れてるよね」

「はい。歩いていてもため息をついたりする事が増えてます」

私たちも疲れてるけど。

でも、シュン君ほどじゃないと思う。

ヒウマ先輩たちと、絶対勝てないような魔物を退治したり、魔物の群れに突っ込んだりしてるわけじゃないし。

歩いて疲れてるだけ。

「ねぇ、私達で、さっきの依頼、やっちゃわない?」

「え!ダメですっ!危ないです!」

「大丈夫だよ。依頼内容は調査だけで、依頼ランクはFだったよ?」

「それは、確かに受けれるランクですけど」


シュンくんは、緊急依頼をこなし続けている。

最近は、ダルワンさんも忙しいのか着いてくる事が少なくなっている。

で、私たちもついでにと言わないばかりに、卒業認定をされてしまい、Fランク冒険者として、ライセンスをもらっていた。


というか、討伐依頼が多すぎて、常に依頼に出て欲しい感じだった。

ロア先輩も、ヒウマ先輩も、シュンくんと同じで、ずっと頼まれて、緊急依頼を受け続けている。


ギルドのお姉さんも言っていた。こんな事は初めてだと。


シュンくんは、何故か、みなし冒険者の扱いのままだったけど、緊急で、Cランク依頼を受けてもらうためには、みなし冒険者の方が問題が無いらしい。

なぜなら、シュンくんや先輩達は、冒険者ギルドでは無く、みなし冒険者として、学校が雇っている、臨時トラブル処理職員という形にまでなっていて、護衛騎士に準ずる権限が与えられていたから。


私がそれを聞いた時、お父様に直談判に行こうかと思ったくらい怒った。

だって、都合のいい私用騎士の扱いよ。安い給料で、危ない依頼をいっぱいさせられてる。


校長からは、私たちも含めて、頭を下げられているし。

緊急事態だから、お願いすると言われて。

冒険者ギルドのマスターからも、頭を下げられた。


シュンくんは、自由に戦いに行けるならいいよ。みたいな感じだったから、あまり強く言えなかったけど。


けど、やっぱりシュンくん、最近疲れてる。


「ね。私たちも軽い依頼ならできる事を見せて、シュンくんを休ませて上げようよっ!」


私は、悩みながら、レイアの提案にうなずくのだった。


―――――――――――――――――――――――――――


次の日。

私たちは、ギルドに来ていた。

「あの、昨日見たんですけど、森の探索の依頼ありませんか?」

「あ、ちょっと待って下さいね。あ、この辺にあったような。あれ?無い?あっちに貼り出して無いですよね?」

いつもいるお姉さんでは無く、今日はすごい可愛い感じの娘が受付に立っていた。

「あ~!」

女の子の叫び声と一緒にバサバサっと書類が落ちる音がする。


「ひぁ~。あ、ありました!Fランクの依頼ですね!」


女の子が、差し出して来たのは、昨日シュンくんと見た依頼だった。


『迷いの森の探索。 異常がないか、半日程度探索して結果の報告。中央部には入る必要は無し。戦闘を避けて、少し奥の現状を見て来る事。 Fランク推奨』


「うん。これを受けるわ」


二人して、ギルドカードを渡す。


「すごいですねっ!私より年下みたいなのに、Fランク冒険者なんてっ!頑張って下さいねっ!」

「ところで、いつものお姉さんは?」

「なんか、最近忙しすぎて、休みがなかったみたいで、今日はお休みですっ!」

「あなたは、新人さんですか?」

「はいっ。これから、よろしくお願いしますねっ」

「私達も、冒険者になったばかりなの。お互い頑張りましょうね」

「そうなんですねっ!私頑張りますっ」


元気な娘だな~と思いながら、私達は依頼を受けて、ギルドを出るのだった。



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