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みなし冒険者

学校の魔法対戦という、スポーツ大会ではっちゃけたら、飛び級で、卒業してもいいよ。と言われてしまった。

ただ、冒険者ライセンスには年齢制限があるから、みなしでね。

と言う事らしい。

で、収納魔法も使いたくて、さらにはっちゃけたら、他の冒険者から怖がられる存在になりました。  なぜだろう?

「校長、とりあえず、ギルドには説明をして、みなしとして、登録をお願いするように、話をしましたが、これからどうするのですか?」


担任が額のあたりを押さえながら、校長に話しをする。

 慢性の頭痛のようだ。


校長も、両手で頭を抱えている。


「シュンリンデンバーク君のような存在が出て来たために、私もいろいろ大変になったのだよ。

 まず、冒険者とみなし冒険者の規約の見直しをギルドマスターと早急に話しをさせてもらった。 まさか、登録前に、街の外に出て、魔物を狩りつくす14才がいるとは、思いもしなかった。

例外とはいえ、事例が出てしまった以上、対応するしかない。

他の冒険者の稼ぎを横取りする、死活問題に発展する可能性があるからな。

とりあえず、シュンリンデンバーク君については、対応する事にした。 とばっちりは、ロア君と、ヒウマ君にも行っているが、仕方ない」


頭を抱えたまま。校長は独り言のように返事をする。


「とりあえず、これが、今回のシュンリンデンバーク君問題で発生した、みなし冒険者規約変更事項だよ。目を通していてくれ。私は、少し寝る事にするよ」


校長は、ふらふらと、部屋の奥へ移動し始める。


「校長、寝込むのは、禁止ですよ‼️ あと、シュンリンデンバーク君が卒業したら、絶対っ!長期休暇をいただきますからねっ!」


担任は、治まることの無い頭痛と戦いながら、校長の後ろ姿に向かって叫ぶのだった。


―――――――――――――――――――――――――


依頼をギルドで受けて、森に行こうとするとすぐに声をかけられた。

40歳くらいの、シワが出始めた中年のおじさんだった。

やる気のなさが全面に出ている。

 黒いローブと、腕くらいの長さの杖を持ってるから、魔法使いかな?



「依頼を早々と受けてやる気があるのはいいことなんだが、みなし冒険者の規定が変わってな。君達が暴走しないように、見張り役をやれと言われた、ダルワンだ。まあ、君も面倒だと思うが、よろしく頼む」

と握手を求めて来た。


「えーと、規約の変更とは?」


「今までは、みなし冒険者は、冒険者として一人で活動する事も許されていたのだが、どっかの誰かが、嘘か、本当か、魔物を狩り尽くしたらしい」


俺の額に汗がにじむ。それ、僕です。


「で、他の冒険者が収入がなくなって、大変だから、みなし冒険者は、依頼を受けない限り、魔物討伐は禁止。依頼を受けても、指導員と一緒にいないと、魔物討伐は禁止する。また、特別待遇の冒険者活動は全面禁止し、特別待遇にしていた者は、一律みなし冒険者にする規約が追加されたらしい」


俺は、その話しを聞いて、後輩に本当にごめんなさいと心の中で謝りながら、ダルワンさんの手を握り返したのだった。


後の世に、リンデンバーク改定規約と呼ばれるようになった、『チートな人による暴走を予防するために作られた規約』の爆誕であった。


―――――――――――――――――――


「このあたりかな?」


俺は、ライナ達3人とはちょっと放れた場所で、とりあえず、薬草を取っていた

依頼分と、さらに自分用も。


マップを使用したら、穴空きマーカーがつくから、早々と探索できる。


ダルワンさんの目を盗んで、別の薬草や、毒草も採取しては、空間収納に突っ込んで行った。


自分の収納容量は途方もない広さ。多分琵琶湖くらいはある気がする。


牛くらいならどんどん入れてもいっぱいになる気はしない。


ライナ達も、ダルワンさんに教えてもらって、薬草を見つけていた。


こっちをチラチラ見てる二人だけど、ごめん。

俺は、薬草の探しかたを知っているわけではなくて、マップというチート技を使ってるだけなんです。


だから、探しかたは、ダルワンさんの方がよく知ってる。



しばらく、薬草取りをしていたら、マップに赤いマーカーが突然生まれていた。


森の中から、敵が湧いたらしい。

ちなみに、500ポイントで、マップ進化があり、自分たちが勝てない危険な魔物が生まれると、赤点滅とアラームで教えてくれるようになった。


普通の赤マーカーは、普通の魔物の印。

マップ上で、赤マーカーが近くに寄って来るのが見える。


すると、ダルワンさんが杖を地面に刺した。


「周辺察知魔法です」


何をしてるのか?と疑問に思うと、うちの検索スキルさんが仕事をしてくれる。


ダルワンさんが何か魔法を唱えると、赤いマーカーの方を向いて、


「敵が来るぞっ!」

と叫んだ。


さすが。

やる気はなさそうだったけど、かなりのベテランさんみたいだ。


俺の中で、ダルワンさんの評価が上がる。


森の木の間から出て来たのは、角付き馬(ホーンカウ)。かなりの暴れ馬だ。


ただ、群れると厄介なだけで、一体ならそうでもない。


杖を構えるダルワンさん。


「森の手前側なのに、厄介なやつが出て来たなぁ」


「土よ、汝は水であり、筒である。細く細くなり、柵となれ、楔となれ、汝はその身の上を通す事無しっ! アースバインドっ!」


地面から、網目のような柵が生まれ、馬の走る足元をふさぐ。


おお~ 詠唱だっ。久しぶりに聞いた。

そして、かなり恥ずかしいんだよなぁ。魔法詠唱って。


あと、馬にそれは、悪手じゃあ?飛び越えるよ?

と思ったら、馬の首くらいまで柵は伸び、馬は土の柵に力一杯衝突した。


痛がる馬。

 俺は、魔法球を出し、魔法を使おうとするけど。


遅いっ!

移動が、馬鹿みたいに遅いっ!


亀が地面から、乗れそうな遅さだっ!


ロア先輩の魔法球が早いのかと一瞬思ったけど、うちの優秀な検索さんがトドメをくれる。


『ロアは、予知スキルで、何をするか分かるため先読みしているだけです』


つまり。


このスキル使えねぇぇぇ!

俺が亀より遅い魔法球を操っている間に、ライナと、レイアの魔法連打で、あっさりと馬は地面に倒れるのだった。



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