幕間 レイア
全く。
本当に嫌になる。
自分では無鉄砲な事をしてるつもりはないのに。
自分では出来てるつもりなのに。
いつもシュンからは、無理するなって、叱られる。
けど、最近、シュンの叱り声すら嬉しく感じてしまっている私がいる。
シュンは多分いなくなると思う。
この恋心も消えないけど、彼には多分届かない。
昔は、もっとやんちゃな性格で、あまり周りを見たり、考えたりする性格じゃなかったのに。
隣で、杖を抱えて、にへら と笑っている幼なじみを見ていたら、自分がしっかりしなきゃいけなくなってしまった。
考えたりするのは、得意じゃなかったのに、いろいろ考えるようになってしまった。
全部、この色キチガイが悪いんだっ!
「ひひゃい、ひひゃい、れにあひゃ」
つい、にやけ続けてるライナの頬っぺたをひっばってしまった。
ロア先輩にこてんぱんにされて、気を失ったシュンくんの世話をかいがいしく焼いているライナを見ると、女の子してるなぁと感じる。
時々シュンにくっつくから、腹立つけど。
シュンはすごいと思う。
私達のフォローをしながら、魔物を狩ったり、私達の苦手なところ、得意なところをしっかり分かって訓練をしてくれる。
学校の授業の何重倍の濃いい訓練をさせてもらっているのが分かるし、一年で、対戦出場、初優勝なんて、夢みたいだった。
ほんとうに最近は初めてばっかりの事で、楽しくて仕方ない。
本当なら私は、泣き虫なんだと思う。
けど、泣くのは嫌いだった。
小さい頃に、両親が帰って来なかった時も。
ライナのところにお世話になっていた時も。
私は有名冒険者の娘。
むやみに泣くのはみっともないと思っていた。
顔は笑顔で、いつも、心で泣いていた。
けど、シュンがベッドに寝てる姿を見て、泣いてしまった。
ライナも大泣きしてたけど。
多分、私も大泣きしてた。
シュンがいなくなる事が怖かった。
もう、私の半分はシュンで埋まってる気すらしてる。
けど、私じゃ彼には追い付けない。
絶対足手纏いになる。
彼は、私たちといたら、飛べなくなる。
分かってる。けど諦められない。
「こんなにいろいろ考える性格じゃなかったのにな」
ぼそっと呟き、顔が赤くなる。
ライナが、またシュンのところに行くために部屋を出て行く音がした。
私は、自分の頬っぺたを叩いて、気合いを入れる。
私は、爆炎の女神。
この思いも、恋も、爆発させてやればいい!
砕け散るまで、燃えてやる!
気合いを入れて、シュンの部屋に入ると。
「ライナっ!シュンくんが、シュンくんが消えちゃった!」
と叫んでいた。
いや、ライナ。ライナはあなただから。
私は腹が立つやら、入れた気合いをどこに持って行けばいいのやら、とにかく困惑しながら、ライナをなだめる事を優先する。
けど、シュンくん。
帰って来たら、覚悟しなさい。
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