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その後 総力戦

「来るぞ!」

誰の声だったか。


翼のように生えた手が、一斉に突っ込んで来る。


「気持ちわるいからっ!あっちいけぇ!」

リルがその手を打ち返す。


「ほんとに気持ち悪いっ!」

シリュの魔法が、手を撃ち落とす。

「シリュ!油断しすぎです!」

ママの声が響く。

シリュが、後ろから来た手に捕まれ。

その手に、無数の矢が刺さりシリュが落ちて行く。


「助かったぁ」

シリュが笑い、アティは、次の手に向けて矢を放つ。

「これ、は、、さすがに、、きっついの!」

無数にばらまいた薬品が手を一瞬にしてぼろぼろにしていく。

「流石に、、きついっ」

僕も何十本も斬り落としているのに。


その先から、次々と手が伸びて来る。

「無限に生えて来てるでしょ!」

叫びながら次の手を切り落とした時。

目の前に、竜がいた。

骨の頭の。

竜が羽ばたく。

竜巻は僕を空中に、、持ち上げなかった。


「アンデットのウロボロスまで出て来ている!気をつけろ!」

パパの声と絶対結界が、僕たちを守っていた。


「気を付けろって言ってもね」

リルの声はそのまま僕たちの声だ。

「無理でしょ!」

切り捨てたトラのアンデットを見る余裕すらない。

四方の魔物もミリの結界を突破してきている。


「無理だからっ!」

大剣が数匹の魔物を吹き飛ばす。

「けど、やるしかないっ!」

リルに飛び掛かって行ったオオカミのアンデットを数匹まとめて空中でバラバラにする。


着地しようとしたとき。

足元に転がる骨で、バランスを崩してしまった。

「しまっ」

完全に倒れる前に、僕は何かに咥えられて再び空中へと戻る。

「危なっかしいにゃあ!」

空中に放り出され、にゃあの背中に飛び乗る。

「助かったよ。」

「あたりまえにゃあ。にゃあは、にゃあ、にゃあ」

妻とリルが言ったのを気にしているのか、必死アピールするにゃあ。


「けど、この数は、さすがに、、」

アティが呟いた時。


空中から、無数の矢が降り注ぐ。

「え」


ふと遠くを見ると、失われたはずの馬にのった大軍。

「アティ嬢を助けるぞ!全軍一斉射!」

「助けに来たぞ!」

笑いながら手を振っているのは、ヒゲ面の男。

「父上は、、まったく」

アティの顔が緩む。


しかし、まったくアンデットはひるむ様子は無い。

ウロボロスのアンデットが舞いあがり、草原の民を全て薙ぎ払おうと翼を広げる。

しかし、その翼は羽ばたく事が出来なかった。


何故なら。

巨大な白い犬に空中で轢かれていたから。

「おじいさんにゃあ」

にゃあが叫ぶ。

「いつまで待っても来ないから、来てやったわ!いつまで待たせる気だ、友よ」

白い犬は、パパを見てにやりと笑う。

パパはというと少し苦笑いをしていた。


一気に歓声とともに、アンデットが吹き飛んで行く。

あちこちに、土の柱が立ち、アンデットを串刺しにしていく。

「無茶するなって、あれほど言ってるだろうが!」

笑いながら、ヒウマおじさんが突っ込んで行く。

土の鎧をまとったおじさんは無敵だと思う。


「年寄りなんだから、無茶しないで欲しいのにゃん」

にゃんおぼさんが、黒い光となって、大量の敵を弾き飛ばす。


その全てを掴み取ろうと、無数の手が伸びて来た時。

一閃。

手が斬り落とされる。

「来てやるって行っただろ?男は、やるときはやらなきゃなぁ」

虎が大剣を持って笑っている。

「ミオ!来たよ!」

隣で、小さなトラが笑いながら手を切り落としていた。

彼を飛ばしているのは、鳥型の魔人。

「ウル!戦闘中によそ見しないでっていつも言ってるでしょ!一晩中羽に包むよっ!」

「や、やめて、シミュの翼の中、サウナより熱いんだからっ!」

「だったら、集中するっ!」

「はいっ!」


「おもいっきり尻にしかれてるにゃあ」

ウルが、大声で返事をしているのを聞いて、にゃあが笑う。

「いいだろ?うちの嫁さん候補だ」

タイガおじさんは笑いながら、剣を一振りする。


それだけで、地面が揺れるほどの衝撃と一緒に、アンデットが吹き飛んで行く。


「魔の森の長タイガ!やるぜぇ!」

大剣を肩に担ぎ、にやりと笑う。

「同じく、次代の長、ウル!行きます!」

シミュと呼ばれた鳥の魔物に乗ったままウルは空中で回転するように剣を振る。

再び手が数本落ちて行く。


「あ!危ない!」

ウルが剣を振り切った隙をついて、手が伸びて行く。

しかし。

「助かったよ!」

僕の爪がその手を切り落としていた。

にゃあの背中に空中で着地して。

「行くよっ」

僕の声に、剣で返事をするウル。

 僕たちは二人そろって、大玉に向かって突撃を始めるのだった。


「あの子たちは、誰に似たのです?」

リュイが笑いながら、飛んで行く子供を見ている。


「そりゃ、パパに似るのは当たり前なのっ!」

その声だけを言い残して、ミリがとんでもない速さで走って行く。


何かを書いているらしい。

「ミリの支援、お願いね。パパ」

シリュが笑う。

本当に、、この子たちは。


俺は、妻と顔を合わせ、絶望の戦場の中で笑っていたのだった。





遅くなりましたすみません。 多分次くらいで終わります。

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