その後。 悪化する騒動
個人的に忙しくて、更新できませんでした。すみません。
「ここでいいんだよね?」
ミオは恐れながら、森の中に入って行く。
パパからは、まだ早いと言われている森の中だ。
はっきり言って、怖くないと言ったらウソになる。
けど、僕も一人前の冒険者なんだ!
そう自分に言い聞かせながら、森の中を歩いて行くミオ。
「この先にいるって聞いたんだけどな」
魔物の中でも一番おいしいと言われている、ホワイトピック。
その群れがいると聞いたミオは、この森に入って来ていたのだった。
「ヒウマのおじさんもこの辺りだって言ってたし」
ミオはゆっくりと巨大なツタのような木の間を歩いて行く。
ふと、何個目かのツタの横を通り過ぎた時。
ミオはとんでもなく嫌な気配を感じて、振るえる。
「何?これ」
びくっと来た震えを感じながら、ゆっくりと拳を構える。
その前に見えたのは、巨大な豚。
ホワイトピックじゃない事は確か。
なぜなら、その豚は、二足歩行の上、剣まで持っているのだから。
「ヤバイ、、オークだ、、、」
ミオは小さく震えながら後ろに下がり始める。
確かに、あの時。オークよりもとんでもない敵と戦ったけど。
あの時は、どんな敵が来ても勝てる気がしていたけど。
でも今は。
無理、、、、。
ミオはそう判断して、咄嗟に後ろに振り返り、逃げようとする。
「ミオーーー!いたのにゃーーー!」
突然、大声でミオを呼ぶ声がする。
目の前から、人が乗れそうなくらい大きな灰色の猫が走ってくるのがみえる。
にゃあ。。。。
ミオは呆気にとられてその姿を見てしまう。
何でにゃあが、ここに来ているのか。
ヒウマおじさんの家に帰っていたはずじゃないのか。
そんな事を思っていると、ミオの前でにゃあは立ち止まり、喉を鳴らし始める。
思わずミオがその喉を撫でていると。
「gyギャーー」
ミオの耳に聞きたくない声が聞こえる。
そっと後ろを振り返る。
そこには、オークが、、、いや。
オークの足元に、ゴブリンがいた。
「ムリ、、、、」
ミオは小さく呟く。
「むりにゃあ。。。」
にゃあも、その異常事態に気が付いたらしい。
小さく呟く。
「逃げるよ!!!」
ミオの言葉に、とっさに頭をかがめ。
ミオを乗せたまま、走り出すにゃあ。
にゃあが走り出し。
数メートル走った所で、にゃあは突然、その場に倒れ込む。
神獣状態から、人の姿に戻ったにゃあは、酷く汗をかいている。
そして、その右腕に、黒い矢が刺さっているのが見えた。
「え・え・え」
ミオは泣きそうな声になる。
毒?麻痺? まさか、、、、
一番最悪な事が浮かんでしまう。
ミオは大好きな人が目の前で苦しんでいる姿に気を取られてしまい、見えていない。
後ろに巨大な豚が迫っている事に。
その巨大な剣が振り下ろされようとしている事に。
そして、巨大な剣がミオを容赦なく斬ろうとした時。
その剣は座り込んだミオを切る事なく、巨大な石の腕に受け止められる。
「何をしてるっ1」
「何をしてるにゃっ!逃げるにゃっ!」
突然の怒りの声と、知った声にびっくりして顔を上げると、そこにいたのは、巨大な石の鎧をまとったヒウマおじさんだった。
「にゃあが、、毒に、、」、
ミオが小さく呟くと。
ヒウマおじさんは小さく舌打ちする。
にゃんおぼさんがその言葉を聞いて、にゃあを見る。
「だめにゃ、、わからないにゃ、、」
「にゃん!にゃあを連れて、一旦帰れ!」
ヒウマおじさんの声が少し焦っているように聞こえる。
そんな会話をしている間も、にゃあの汗は激しく噴き出すように出続け。
「ミオ、、、大好きだにゃあ、、、」
小さく呟くように手を伸ばすにゃあ。
ミオはその手を掴み。。。
助けて!
激しく、心から祈る。
「ぐっ」
突然聞こえたヒウマおじさんのうめき声に、びっくりして目を向けると、ヒウマおじさんの腹に、矢が刺さっているのが見える。
ああ。そうだった。
いるのは、オークだけじゃない。
ゴブリンもいる。
しかも、矢を打つゴブリンが。
終った。
この世界は優しくないと、自分の母親がいなくなった時、この心に刻んだはずなのに。
そんな事を思いながら、目をつぶると。
突然、辺り一面が緑色に光り出す。
緑は、ゆっくりとした光となり。
にゃあの体に集まり始める。
緑の竜巻のような光がにゃあを包み込み。
激しい光がにゃあを吹き飛ばしそうなくらい巻き上がり。
その光が治まった時、にゃあはきょとんとした目でその場に座っていた。
「ミオ。後でお仕置きです」
「まあ、間に合って良かった。いろいろとな」
そんな言葉と一緒に現れた二人に、ミオは思わず叫びながら泣いていた。
「ナイスタイミング。って言いたいけど、ヤバいぜ。この数は」
ヒウマおじさんの声が聞こえて来る。
その言葉を聞きながら、ミオの父親。シュンは武器を取り出す。
収納面積が半分になったから使いずらい。
なんて言ってたけど、パパの収納力は町どころか、都市をはるかに超えると聞いた事がある。
「ヒウマも、無理するなよ。その矢、致死毒だぞ」
「お前が来てくれたから、安心してるんだよ」
ヒウマおじさんの声に少しだけ張りがない。
そんなヒウマおじさんの返事にため息で返したパパは、ゆっくりと杖を振るうのだった。




